アレルギー外来ニュース 平成22年1-3月号

第98号 平成22年1-3月号

 暖冬と予測された割には、まとまった雪が何度も降り、気温の変化も激しい冬でしたが、喘息や皮膚炎の調子はいかがですか? 今年は、スギ花粉が飛ぶ量は少ないと言われていますが、それでも春先にはやはり鼻や目の症状は多くなるようです。今回のテーマは、LABA(効果の持続時間が長い気管支拡張薬)についてです。

今月のテーマ「長〜く効く気管支拡張薬、LABAの使い方」

 気管支喘息では、気道(気管から肺までの空気の通り道)がアレルギーによって炎症(発赤やタダレのようなもの)をおこし、その結果として慢性的な狭窄(空気の通り道が狭くなる)状態になっています。そう考えると、炎症を抑える吸入ステロイド薬と狭窄を改善させる気管支拡張薬(=β刺激薬)を同時に吸入することは、理にかなっている治療法ということになります。しかし、以前には、気管支拡張薬の効果持続時間(一度吸入するとどの位長い時間気管支を広げておけるか)が短かったために、長期間にわたって毎日気管支拡張薬を定期的に吸入することは困難でした。その後、効果が長持ちする気管支拡張薬が開発されて(long-acting beta-agonistという英語なので、略してLABA(ラバ)と呼ばれています)、吸入ステロイド薬と同じように1日2回の吸入で持続的な効果が得られるようになり(第66号)、最近ではこれら二つの薬をひとつのパッケージにした、いわゆる「合剤」と呼ばれるものが開発され、世界的によく使われるようになりました。
 しかし、「全ての喘息患者さんに使う必要があるのか?」という意見も出されています。と言いますのは、実際の喘息というのは、上の図のように気道の炎症と狭窄が身体のなかで別々に存在するのではなく、むしろ下の図のように、アレルギー反応によって気道の炎症が起り、その炎症がすっきりしないために気管支が細くなりやすくなって喘息症状として現れると考えられているからです。そのため、時々は気管支拡張薬を止めてみて、それでも症状が安定したままであるのかを確認することが良いと言われています。もし、すぐに悪化するようであれば、気管支の炎症がまだ治まっていないと考えられますから、単に気管支拡張薬を再開するだけでなく、炎症をさらに抑えるような方法(吸入ステロイド薬の増量、他の長期管理薬の併用、ダニ・ペットや受動喫煙などへの配慮)を行った方が良いでしょう。

気管支が慢性的に細くなっているか
どうかは肺機能を測ればわかります

 小学生以上の子どもさんであれば、比較的容易に肺機能を測定することができます。上記の「合剤」を長期間使用される場合には、定期的な測定をお薦めします。
【編集後記】 最近20年間で喘息の治療は飛躍的に進歩して、今では重症喘息と呼ばれる子どもたちの数が激減しましたが、問題点もまだまだあるようです!(You)
富山大学小児科アレルギー外来

last modified 10.05.07
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