小児循環器専門医研修プログラムの概要
研究内容
グループメンバーの紹介
小児循環器外科治療成績
第一外科メンバーの紹介
主な研究業績

          
          



 先天性心疾患、川崎病、心筋症、不整脈や起立性調節障害など、子供の循環器にかかわる疾患をお持ちの患者さんのための外来です。手術が必要な場合には第一外科と協力し、術前から術後まで一貫した体制で、治療に全力を注いでいます。心臓病を持ったお子さんの予防接種や日常の健康管理、発達相談などトータルケアを目指しています。冬季のRSウィルスを初めとする感染予防にも、積極的に取り組んでいます。治療方針に関するセカンドオピニオンも、ご希望に応じて受け付けております。
 学校心臓検診に関しても、積極的に取り組んでいます。異常を指摘されたお子さんの精密検査も行っております。運動制限や日常の健康管理に関して、家庭、学校、病院の連携を常に心がけています。学校の養護の先生や担任の先生もご不明の点があればご相談に応じています。
 予約制ですから、小児科外来へ電話し(076-434-7703、7704)、予約してください。
初診の患者さんは、検査があるため午前中のなるべく9時迄に来院をお願いします。
 外来では、胸部レントゲン、心電図、心エコー、ホルター24時間心電図、運動負荷試験などの検査を行ないます。木曜午前は、第一外科も併診される患者さんが多く、混んでいます。運動負荷試験は、木曜午後、心筋シンチは、木曜午前です。夏休み中は、学校心臓検診のため外来が混んでいて待ち時間が長くなりますことをご了承ください。


 在胎18週から可能ですが、産科の先生の紹介状が必要です。火曜の午後、胎児心エコー外来がありますので、小児科外来へ電話で予約してください(076-434-7703)。これまでに650例、年間100例以上の実績があり、2008年1月より、先進医療として認可されました。



 先天性心疾患や川崎病などで、診断治療のため必要な検査です。検査後もベッド上で安静にするため、3〜5日間の入院が必要です。年間約130-150例の検査を行っています。弁狭窄などのカテーテル治療や、動脈管のコイル塞栓術も併せて行っています。心房中隔欠損や心室中隔欠損などでは、心エコーで十分な情報が得られれば、心臓カテーテル検査は省略して手術を決定しています。


 年長児、肥満児などで肺が心臓前面にかぶさっている場合では、通常行います経胸壁心エコーでは十分な画像が得られない場合があります。経食道心エコーでは探触子と心臓の間に超音波の障壁となる肺が介在せず、経胸壁心エコーよりも心臓に近い場所からの観察が可能となり、精度の高い情報が得られます。


 血管、心臓の構造や気管支の形態を診断するために必要な検査です。立体的に画像が見えて、血管造影よりも診断に役に立つことがあります。外来でもできる検査です。


 心筋症、不整脈、神経調節性失神の遺伝子解析を行っています。乳幼児で5cc、学童で10ccを採血し、検査する方法です。遺伝子解析の充分な説明と承諾が必要ですので、小児科外来へ電話予約してください。


 希望に応じて心疾患を持っているお子さんの発達検査を行っています。 Bayley検査は、おもちゃを用いた遊びを通して、認知、言語、運動発達等を神経学的観点から詳細に評価できます。2004年からこれまでにのべ450例以上(年間100例以上)の実績があります。現在、Bayley検査の標準化にご協力いただける方を募集しています。詳細は、bayley_dev@yahoo.co.jpまでお問い合わせください。


  2008年4月より、日本小児循環器学会専門医修練施設に認定されました。 (専門医制度代表暫定指導医 市田蕗子)
 心エコー年間2000例、心カテ130−150例、ホルター300例、トレッドミル100例施行しています。水曜6:30pmからの外科小児科循環器カンファレンスは、他院からの参加も大歓迎です。




富山大学附属病院倫理委員会の承認のもとに以下の研究を行なっています。患者様に承諾頂いた場合にご協力をお願いすることがあります。
1) 心筋緻密化障害の遺伝子解析、不整脈や神経調節性失神の遺伝子解析
2) 心筋緻密化障害の臨床像と、心臓再同期療法を含む治療法の研究
3) 川崎病冠動脈障害進展機序に関する研究
4) 川崎病の重症度の層別化と治療法選択に関する研究
5) 組織ドプラ心エコー法を用いた胎児心機能の解析
6) 心臓病児の発達に関する研究(脳MRI とBayley scaleを用いた検査)
7) リアルタイム心エコー検査による遠隔医療
8) Fontan術後患者における肝線維化の研究
9) 肺高血圧を合併した先天性心疾患のボセンタンの薬物動態の解析

これらの研究は、平成20年度科学研究費補助金、基盤研究(C)(市田蕗子)、若手研究(B)(廣野恵一)、および戦略的創造研究推進事業 (CREST)(市田蕗子、渡辺一洋)の補助により行われています。また、新たに20年度厚生労働省科学研究費補助を得て、全国規模の
川崎病治療研究(RAISE study)に参加しています。



昭和52年新潟大学卒  (大学准教授、診療教授)
(日本小児科学会専門医、日本小児循環器学会専門医制度暫定指導医)

 先天性心疾患の他、心筋症、不整脈、川崎病の外来を担当し、幅広い知識と経験に基づく、的確な診療と患者様への助言には定評があります。心筋緻密化障害に関する医療相談や遺伝子解析のご依頼にも応じています。米国のベイラー医科大学、ユタ大学、ドイツのミュンスター大学と共同研究を行なっており、すべての研究を総括しています。

平成10年富山医薬大卒 (助教)
(日本小児科学会専門医、日本小児循環器学会専門医制度暫定指導医)

 循環器入院治療のチーフで、細やかな診察と説明は、患者さんと家族に好評です。経食道エコーを含めた心エコー診断・心臓カテーテル検査が得意技です。川崎病の冠動 脈障害に関する研究では、ミュンスター大学、ユタ大学と共同研究中です。

平成11年富山医薬大卒 (診療助手)
(日本小児科学会専門医)
 先天性心疾患の子どもの発達を研究しています。
わかりやすい説明は、お母さんたちに好評です。
3D-CTによる形態診断を数多く行ない、最近は、3D-CTで、すべてが見えるようです。
また、リアルタイム心エコー検査による遠隔医療を現在精力的に行っています。

平成11年富山医薬大卒 (黒部市民病院)
(日本小児科学会専門医)
 心エコー診断や胎児心エコーに情熱を燃やしています。
病棟では、きめ細やかな対応で、患者さんやお母さんたちに慕われる存在です。
Fontan術後患者における肝線維化の研究に現在取り組んでいます。

平成15年富山医薬大卒 (大学院生) 
(日本小児科学会専門医)
 臨床とスキーにかける情熱は人一倍で、いつも体当たりの診療で、病棟を盛り上げています。 心臓病児の発達に関する研究に現在取り組んでいます。 目標は富山県からの国体出場!!

平成15年富山医薬大卒 (大学院生)

 ユーモアのセンスあふれ、こどもには元気を、お母さんには笑いを振りまいて、病棟を明るくしてくれています。
 川崎病の原因解明や心不全の治療に関して、精力的に研究をしています。

平成17年富山大学大学院卒(臨床発達心理士)
Bayley発達検査、WPPSI/WISC知能検査等を行い、心理・発達面からお子様の成長をサポートさせていただいております。
先天性心疾患の発達について、国立循環器病センターと共同研究を行っています。

富山大学大学院生(臨床検査技師、日本超音波医学会認定超音波検査士)

 以前より小児循環器に関わりたいと思っていました。幸いに胎児・小児心エコーをあこがれの市田先生指導下で行うことができ、とても充実した毎日を過ごしています。多発性心室中隔欠損術後の壁運動解析について研究中です。

平成13年大連医科大学大学院卒業(研究員)
平成20年3月に来日し、心筋緻密化障害や不整脈の遺伝子解析や川崎病の冠動脈障害の研究をしています。



  • 社会保険高岡病院   宮崎 あゆみ 昭和58年金沢大学卒 
                (日本小児科学会専門医、日本小児循環器学会専門医制度暫定指導医)
                 先天性心疾患、学校心臓検診のほか、学童の肥満や高脂血症などの
                 生活習慣病に関しても、精力的に取り組んでいます。

  • 富山赤十字病院    津幡 眞一  昭和63年富山医薬大卒
                (日本小児科学会専門医、日本小児循環器学会専門医制度暫定指導医)
                 小児循環器の臨床でも、先天性心疾患、川崎病、心筋症と幅広い知識
                 と実力の持ち主です。

  • 富山市民病院     橋本 郁夫  平成元年富山医薬大卒
                 (日本小児科学会専門医、日本小児循環器学会専門医制度暫定指導医)
                  心エコーに造詣が深く、心機能の評価は随一です。
  • 高岡厚生連病院    上勢 敬一郎   平成06年富山医薬大卒
                (日本小児科学会専門医)
                 心臓カテーテル検査、カテーテル治療では、右に出るものなく、きめ細かな
                対応には、絶大な信頼が寄せられています。

  • JA糸魚川総合病院 廣野 恵一
  • 黒部市民病院    小澤 綾佳

      各病院の循環器外来に関しては、直接、各病院へご連絡ください。
      
     年間約150例の先天性心疾患の手術を行っています。患者さんは、富山、石川県の他、新潟、福井、岐阜県から集まっています。当院は北陸地方における小児循環器疾患診療に関するセンター施設として位置付けられており、最近では無脾症候群に合併する総肺静脈還流異常や房室弁逆流に対する乳児早期手術など難易度の高い手術にも成功をおさめています。患者さん一人一人の病態をできるだけ正確に把握し、最も適切な時期に、最も適切な手術を行うことを心がけています。




      最近3年間の当院における先天性心疾患手術のうち、約20%は新生児期の手術でした。過去3年間に68例の新生児心臓手術を行い、好成績を上げています。特に、大血管転位症に対する動脈スイッチ手術(9例全例救命)、総肺静脈還流異常修復術(無脾症候群合併例を含む12例全例救命→1例遠隔死)など難易度の高い手術に関しても全国トップレベルの成績をおさめています。


    (2005年4月〜2008年3月)        (2005年4月〜2008年3月)
    疾患(手術)名症例数手 術
    死亡数
       疾患(手術)名症例数手 術
    死亡数
    心房中隔欠損症(ASD) 18 0動脈管開存症(PDA) 16 0
    心室中隔欠損症(VSD) 56 0ファロー四徴症(TF)  5 0
    ファロー四徴症(TF) 10 0大動脈狭窄/離断症
    (CoA/IAA)
      8 0
    心内膜床欠損症
    (AVSD)
      7 0単心室症(SV) 11 0
    総肺静脈還流異常症
    (TAPVR)
     12 1両大血管右室起始症
    (DORV)
     10 0
    完全大血管転位症
    (TGA)
      9 0左心低形成症候群
    (HLHS)
      3 0
    左心低形成症候群
    (HLHS)
      8 3その他 35 0
    右心バイパス
    (Fontan/Glenn)手術
     37 0
    その他 72 3


     最近問題になっている輸血による感染症を避けるため、体重7.5kg以上の症例では、心臓手術の際に、なるべく輸血をしない方針をとっています。できるだけ安全に無輸血手術を行うため、手術予定日の2-3週間前にエリスロポエチンの注射をし、鉄剤の内服を始め、貧血を治しておきます。

     心房中隔欠損症では、前方から手術創が見えないように、腋の下から背中を切開する方法をとっています。この方法では、女児でも、将来、傷が気になることがありません。

     通常の開心術症例の術後入院期間は約2週間です。



    昭和62年神戸大学医学部卒  (大学講師) 
    平成8年より兵庫県立こども病院心臓胸部外科医長。
    平成13〜14年フランスのリヨン大学付属心臓病センター心臓血管外科に留学。
    平成16年より兵庫県立こども病院心臓胸部外科科長。
    平成17年4月より富山医科薬科大学第1外科講師。
    現在富山大学医学部第1外科講師。(平成18年5月より富山大学付属病院診療教授兼任)。
    (コメント)できるだけ遺残病変を残さない丁寧な手術をモットーとし、
          元気になった子ども達の笑顔を心の支えとして頑張っています。

    平成12年神戸大学医学部卒  (大学助教)
    平成21年4月より富山大学第1外科助教。



    平成15年富山医薬大卒  (大学院生)
    富山医科薬科大学第1外科、市立函館病院心臓血管外科などで研修の後、
    平成17年4月より富山大学第1外科にて小児循環器外科診療に従事。

    (コメント)現在は院生として、小児心臓外科領域での再生医学の研究をしています。
          また、臨床では少しでも子供達の力になれるよう日々努力しています。
          一生懸命がんばります。


    平成17年徳島大学医学部卒
    平成21年4月より富山大学第1外科医員。


    平成19年富山大学医学部卒
    平成21年4月より富山大学第1外科医員。
     
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