無脾症候群に合併する総肺静脈還流異常修復術
この疾患は従来、肺静脈と心房の直接吻合により修復されていましたが、術後吻合部の狭窄が高率に発生し、非常に生命予後の悪い疾患でした。当院では2007年以降、この疾患の初回手術にsutureless法(肺静脈を吻合するのではなく肺静脈の周囲の心嚢を心房と吻合する方法)を用いて術後肺静脈狭窄ゼロという驚異的な成績を上げ、この治療に関して全国のオピニオンリーダー的存在となっています。
心房中隔欠損症手術
女児の心房中隔欠損症に対しては前方からの手術創が見えないように、腋の下から背中にかけて切開する方法をとっています。また、発育的、機能的観点から躯幹筋(胴体周りの筋肉、姿勢の維持や体の動きを支える筋肉)を切らずに温存するmuscle sparing techniqueを用いた低侵襲手術を行っています。この方法は従来の方法より傷がきれいに治り、目立ちにくくなります。
多発性心室中隔欠損症
多発性心室中隔欠損症は遺残短絡を残さずに閉鎖するのが非常に難しい疾患で、多くの施設では右心室を切開して閉鎖しています。右心室を切開すると術後に心機能低下が生じるため、当院で右心室を切らずに、右心房の切開から三尖弁を経由して欠損孔を閉鎖し、心室の機能を低下させない手術を行っています。また、この疾患に対する手術は心室中隔の動きを悪くし、心機能低下を招きやすいのですが、パッチ閉鎖法、サンドウィッチ法、心内膜化法(reendocardialization)を組み合わせて欠損孔を閉鎖することで心機能を保つ工夫をしています。当院は多発性心室中隔欠損症に関して日本一の症例数と成績を誇っています。