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研究理念

当講座の研究理念

 現在,医学研究の細分化,先端化,学際化により,研究分野としての薬理学講座のアイデンティティが問われるようになっている。薬理学とは,生体と薬物との相互作用の結果,生体に引き起こされる反応を研究する科学である。その生体反応の解析のためには,生理学,生化学,形態組織学,さらには分子生物学などの手法を駆使していくことが必要である.当教室の基本研究理念は,解析手法や解析レベルを固定化することなく,実験薬理学のみならず,電気生理学,生化学,形態組織学,そして分子生物学などの研究手法を多様に取り入れ,さらには,解析レベルを個体全体のレベルから,組織,細胞,分子,遺伝子レベルへと拡大させ,さまざまな角度から包含的に薬物による生体反応すなわち薬理作用の輪郭をとらえることとしている。多様かつ体系的な薬理学的研究により,さまざまな生体の調節機構が明らかとされ,生理学や生化学にフィードバックすることを目的とし,研究を進めている。

病態解析に対する薬理学研究の重要性

 病的状態(病態)とは,生体の恒常性の調節機構が障害された状態である。薬物の多くが,生体の調節機構を修飾する可能性がある。病態においては薬物作用が多彩に変化していることが想定されるばかりか,薬物によってはさまざまな機序で病態を修正する可能性がある。薬理作用が既知の薬物を実験手段として加えた解析法を用いて,さまざまな病態にアプローチすることにより,病態解明につながる重要な情報が得られる。現在の当講座の病態解明研究として,「糖尿病性心血管障害の発生機序と治療に関する分子薬理学的解析」,「全身性炎症反応症候群(SIRS)の遺伝子治療を含めた治療戦略」,そして「ヒスタミンの新しい病態生理学的意義の発見」が,3つの主要な研究テーマである。今後,当講座研究員の携わる病態のより深い解明を求めて,病態解析薬理学と実験治療学を展開させ,疾病の薬物治療戦略の発展と新しい創薬の開発に貢献していくことが大目標である。

大学院へ進学されようと考えている皆さん・医学部、薬学部の学生さんへ

薬理学のみならず医学全体に通じることであるが,研究を進める上で重要なことは,自らがこれから研究しようとしているテーマについて,「何処までわかっているのか?」「何が未だ解決されていないのか?」「何を現在,何処まで明らかにしようとしているのか?」を理解することである。臨床を知らない状態で行う薬理学研究に加え,臨床を十分に理解した上で,その問題を解決するために行うべき薬理学的研究を探らねばならない。初学者は,自らの研究が世界レベルでどのように位置づけられるかを,常に意識することが大切である。研究を進める過程では,導き出された事実をより明確とするために,たとえ論理的であっても一方向性の解析では不完全である。性質の異なるさまざまな解析を加えることにより,データの信頼性を高め,研究に深みを与えることが必要である。当講座の教育は,現状の自身の適性や能力を自覚するところからはじめ,より高いレベルの創造力と解決力を身につけることを目標とする。本年は,服部裕一,松田直之の指導の下で,週一回のジャーナルクラブが,開催される。当講座は,基礎・臨床を問わぬ医学研究の世界で活躍できる人材を輩出していくことを主眼としている。私どもの研究に興味をもたれ,一緒に研究をしたいというものが,一人でも多く当講座に参入されることを期待したい。御遠慮なく,研究の相談にいらしていただきたい。当講座の門は,絶えず開かれている。

平成19年1月1日 服部裕一

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