当科では婦人科がんによる手術や放射線治療の影響として起こる、「下肢リンパ浮腫」に対して、予防・ケアを目的としたリンパ浮腫外来を開設しています。
私たちの体には、血管とは別に「リンパ管」がはり巡らされています。
リンパ管は、体の老廃物を運ぶ「排水管」の役割をしているため、このリンパ管の働きが何かの原因により障害されると、皮膚組織に体液が溜まって「むくみ」が起こり、これを「リンパ浮腫」といいます。
先天性の場合もありますが、ほとんどは乳癌、子宮癌、卵巣癌などの手術で行われるリンパ節郭清(腫瘍とともに所属リンパ節を切除すること)や、放射線療法の後遺症として起こります。
リンパ管は障害されても必ず浮腫が起きるとは限りません。なぜなら、本来のリンパ管の代わりに新しいリンパ管(バイパス=副行路)が作られるからです。そのバイパスは皮膚の表面近くにも作られることから、皮膚を軽くさするだけでもリンパ液の流れはよくなります。
しかし、バイパスは本来のリンパ管と比べると働きが悪いため、ちょっとしたことでも流れが食い止められてしまい、下着のゴムなどでくびれができると、リンパの流れは簡単に止められてしまいます。
よって、リンパの流れを邪魔しないように、きつい下着を着用しないなどの生活上の注意が重要となってきます。
また、リンパ浮腫になってしまった場合も、それ以上増悪しないように、また合併症(リンパ管炎、 蜂窩織炎など)などを引き起こさないように、以下のような日常生活での心がけが大切となります。