肝臓がんについて

当科では肝臓がんに対する治療を数多く手がけています。

肝臓がんは、腹部超音波検査、CT検査、MRI検査にくわえて血液腫瘍マーカー検査などで診断されます。肝臓がんの治療方針は、現在は「肝癌診療ガイドライン」を参考にして決定することが推奨されています。(図1)治療前の肝障害度と呼ばれる肝臓の機能、腫瘍の個数、大きさなどに応じて治療方針が決定され、その方法は、肝切除術、ラジオ波焼灼術、動脈塞栓療法(カテーテル治療)、化学療法(抗癌剤投与)、肝移植術など多岐にわたります。

肝臓がんの場合、いくつかの治療の中でも肝切除術はいちばん確実な治療法の一つと言われています。しかし肝臓は血液のタンクとも呼ばれており、肝臓の中には複雑に無数の血管が走行しています。手術する際には出血の危険性があります。また、肝臓がんを患う患者さんの場合、肝臓は肝硬変もしくはそれに近い慢性肝炎の方が多く、切除に耐えるための肝臓の機能(予備能)が低下していることがしばしばあります。そのような症例の方では、術後肝不全に至る可能性があります。そこで当科では、CT検査のデータをもとに肝臓の3Dシミュレーション画像を術前に作成しています(図2)。これによって、肝臓内の血管を含めた脈管の複雑な走行と腫瘍との位置関係や、残せる肝臓の容積などを事前に把握することが可能です。その他、最新の肝切除に適した機器をとりそろえており、より出血量を少なくした安全な肝切除術を提供できるよう心がけています(図3)。当科の肝細胞がんに対する切除の成績を図4に示します。
肝臓がんについて 図1 肝臓がんについて 図2 肝臓がんについて 図3 肝臓がんについて 図4a 肝臓がんについて 図4b
当科では、2010年に保険適用となった腹腔鏡下肝切除を富山県で最初に導入しました。腹腔鏡下肝切除はいわゆる「傷の小さい手術」で、通常の開腹手術に比べて出血量が少なく、入院日数が短くできるといった、患者さんに優しい低侵襲な手術です。肝臓は肋骨に囲まれた臓器で開腹手術ではある程度の大きさの傷が必要であり、場合によっては胸まで傷が及ぶことがあります。腹腔鏡手術では傷が小さいことが患者さんの負担を大きく減らしています(図5)。もちろん治療成績は通常の開腹手術と同程度であり(図6)、現在では全体の肝切除の内、半数近くを腹腔鏡手術で行っています。2016年には肝切除術のすべての術式があらたに保険適用となりました。当科では厚生労働省に届け出る基準をクリアしており、すべての肝切除が腹腔鏡下で可能です。
肝臓がんについて 図5 肝臓がんについて 図6

腹腔鏡下肝切除術は肝臓がんを含む悪性疾患はもとより良性疾患でも行っていますが、全ての病気が対象となるわけではなく対象となる疾患の大きさや肝臓のどこに存在するかを事前に検討する必要があります。腹腔鏡手術をご希望の患者さんはまずは当科の専門医にご相談下さい。腹腔鏡で手術をしても治療として十分かどうかとういことを念頭におき、専門医が治療方針を検討させて頂きます。
脾臓摘出でも、腹腔鏡下脾臓摘出術が疾患によっては可能です。当科の専門医にご相談下さい。
その他、本邦で数少ない食道胃静脈瘤手術の可能な施設です。内視鏡的治療も可能です。
主な対象疾患
肝臓 ・肝臓がん(肝細胞がん、肝内胆管がん) ・転移性肝癌
・巨大肝血管腫 ・肝嚢胞 ・肝損傷
・その他の肝の腫瘍性疾患(良性腫瘍も含まれます)
脾臓 ・特発性血小板減少性紫斑病 ・遺伝性球状赤血球症
・自己免疫性溶血性貧血 ・脾腫(肝硬変による) ・脾損傷
・その他、脾腫瘍(悪性、良性含む)