富山大学附属病院 顎口腔外科・特殊歯科
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 日本口唇口蓋裂協会(JCPF:Japanese Cleft Palate Foundation)は、1992年1月1日に発足した先天的な口の病気の子供達の健やかな成長を願い、医師、患者、医療関係者、企業、その他一般の方々によって運営されている、我が国最大の口唇口蓋裂についての非営利団体(NPO法人)です。外務省または独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構の国際ボランティア事業補助金などの公的補助金を受け、ベトナム、インドネシアをはじめとする東南アジア、また、チュニジア、モンゴル等で口唇口蓋裂の医療援助活動を行っています。

 富山大学歯科口腔外科教授・野口 誠は1996年より、口腔外科医、麻酔医、看護師からなる医療チームを編成し、インドネシア共和国における、口唇口蓋裂を対象とした医療技術教育支援活動を行ってきました。その活動はこれまでに10数回を数え、過去に300症例以上の口唇口蓋裂無償手術ならびに現地医師への技術移転、さらに医療機器の贈与を行ってきました。

2016年
 (5月29日から6月7日)
 まず最初の目的地である中央スラウェシ州パルでは、口唇口蓋裂患者への医療技術支援を主体とした医療援助活動を実施しました。パルの市街地にあるUNDATA病院は病床300床程度の総合病院であり、中央スラウェシ州の拠点病院でした。同院口腔外科医のDr.Gazaliが中心となり、未手術の口唇口蓋裂患者や、手術は行っているものの変形や瘢痕が強い2次症例など年齢や症例もさまざまな患者が集められていました。5月30日夕刻にパルに到着したのち、病院での器材準備、翌5月31日から手術活動を行いました。われわれ日本チームとしては5月31日には計12名、6月1日は2名の患者の手術を行い、いずれも大きなトラブルなく終了することができました。病院の看護師には器材の使い方や日本から持参した薬などの説明を、また実際の手術では縫合糸の種類や使い方などを現地Drへ説明しながらの実施となりました。特に、瘢痕や変形の強い症例は現地Drにとっては難症例であり、野口教授の手術を大勢のDrがビデオや写真撮影しながら見学していました。また数例は、麻酔科・釈永先生により全身状態がよくなく全身麻酔は危険だと判断され、手術が延期されました。6月2日に前日までの手術患者の処置を実施し、その後マカッサルへ移動し、6月3日にはDr.Ruslinらの迎えでHasanuddin大学附属病院を訪問しました。手術室では、実際にDr.Ruslinが執刀する口腔外科手術2例に塚田看護師・藤井看護師と辻先生・仲間先生が助手として参加し、手術が行われました。その後Hasanuddin大学歯学部学生を対象として、野口教授の講演("Oral Cancer”)、藤原先生の講演(“Preoperative Treatment for Cleft Lip and Palate Patients”)を行いました。6月4日にはマカッサルからバンドンへ移動、6月5日は日曜日にも関わらず、Padjaran大学歯学部構内にあるCleftCenterにて、同大学・口腔外科Dr.IdaayuastutiやYPPCBL(インドネシア口唇口蓋裂協会)事務担当のYuliMartiniさんらが集まってくれ、今後の我々との医療援助活動予定などについて意見交換を行いました。全日程は10日間程度で、3か所を訪問する多忙な行程でしたが、各都市で多くの現地Drらと交流することができ、今後もインドネシアでの口唇口蓋裂治療活動に尽力したいと改めて感じた活動でした。(参加者:野口誠(口腔外科)、釈永清志・池田紗希代(麻酔科)、辻司(函館中央病院)、仲間錠嗣(沖縄県立南部医療センター・子ども医療センター)、藤原久美子(口腔外科)、塚田香織・藤井さやか(看護師))




2015年
 (5月31日~6月7日)
 本年もこれまでと同様、セレベス口唇口蓋裂協会(CELEBES CLEFT CENTER)より要請をうけ、カリマンタン島ブラウ(Berau)での医療援助活動を行いました。同島での活動は今初めてであり、出発前の準備でも多くの時間を必要としました。
 富山を出発し丸2日、現地に到着したのは翌日の昼、病院での手術準備を行い、翌日から口唇口蓋裂手術を実施しました。この病院まで、ボートで6時間かかって手術を受けにきた家族、少しでもきれいになりたいと来院した女性、今回も多くは比較的貧しい人たちを中心とした人たちでした。今活動では、インドネシア共和国歯科医師会(PERSATUAN DOKTER GIGI INDONEISA)ベラウ支部の先生方に多く参加いただき、食事の手配やホテルと病院の送迎といった、われわれの活動をきめ細やかにサポートしていただきました。手術はすべて全身麻酔症例であり、赤ちゃんから成人まで多くの治療を実施しました。現地麻酔科医や看護師の協力もあり、大きなトラブルなく手術を行うことができました。さらに、CCCからはDr.RuslinやDr.Tajrin、さらにスラウェシ島Parepareから参加していたDr.Gazariとともに実施、手術方法やコツなどを指導し、よりよい治療を実施できるよう協力しました。

(参加者:野口誠(口腔外科)、釈永清志(麻酔科)、辻司(函館中央病院・歯科口腔外科)、井上さやか(口腔外科)、亀山暁世(麻酔科)種依子(看護師)、小島麻子(札幌医科大学附属病院・看護師)、藤原久美子(口腔外科)) 
昨年に引き続き、インドネシア共和国において口唇口蓋裂を対象とした医療技術教育支援活動を行いました。






 東南アジアなどの発展途上国では、経済的理由から口唇口蓋裂の手術を受けることができない子供達が大勢います。本活動は、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構の国際ボランティア事業補助金ならびに富山大学専門医養成支援センター補助事業による補助金の他、本活動に賛同いただいた個人および企業からの援助、および使用済みの歯科用貴金属(金冠など)の寄附により行われました。
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