富山大学附属病院 顎口腔外科・特殊歯科
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1.顎変形症とは?
 上顎あるいは下顎が前に出ていたり、逆に顎が小さくて上下の歯の噛み合わせが大きくずれている場合、あるいは顔が非対称で歪んでいるような場合は「顎変形症」と総称される病気である可能性があります。これによって、“受け口”などといわれ、審美的な障害に苦しむ患者さんも少なくありません。また、うまく噛めない、あるいは言葉がわかりにくいなどの機能的な障害がみられることがあります。
 まだ小さい子供のうちは、あごの成長に合わせ、歯の矯正のみで対処できることもありますが、成人してからは、時間的、社会的な制約だけでなく、骨の成長の過程により、歯科矯正単独では治療することは難しくなってきます。このような方々に対しては多くの場合、矯正治療に顎矯正手術を組み合わせることで、それらの問題を解決することが可能になっています。

 
 

2.顎変形症手術(顎矯正手術)とは?
 顎変形症に対する手術には大きく分けて二つあります。①上顎骨もしくは下顎骨の骨全体を手術で理想的な位置に移動する方法と、②歯を含む骨の一部だけを切って動かし、噛み合わせと容貌を正しく整える方法です。多くは①の方法が選択され、手術は全身麻酔下で行います。移動させた骨片は、生体親和性の高い材料でできたネジやプレートで固定します。手術後はアゴの安静が図られるよう、顎間固定といって上下のかみ合わせを固定した状態が13週間必要となります。(手術方法によって期間が異なります。)
 基本的にはすべての操作を口腔内で行いますから、顔の外に長く残る手術瘢を作ることはありませんが、顔面領域は血流が豊富で、感覚器官が集中しているため、手術には注意を要します。あごの骨の中にも太い血管や神経が通っていますから、骨を切る際にそれらを損傷する可能性は否定できません。我々は、そのような危険を回避するため、患者さんにあった適切な方法を矯正専門医とともに、十分な検討を行い、治療の計画を立てています。最終的には、決して見かけだけの改善に終わることなく、顎顔面の持つ重要な機能の調和を目指して、患者さんとともに治療法を相談し、最良の結果が得られるよう努力しています。

 



3.治療費用や期間について
 通常顎変形症手術には、術前と術後の矯正治療が必要となります。当科では、矯正専門医との連携の上、最適な治療を選択しております。術前後の矯正治療の期間は歯並びの状態により個人差があり、その間矯正医のもとで治療を進めていただきます。
 手術が可能となった状態で、われわれが治療を担当します。全身麻酔下での手術が必要となりますので、手術法により23週間の入院が必要となります。治療費用については、矯正治療と顎変形症手術を併用する場合は、条件が整えば健康保険の適用が可能ですので、担当医にご相談ください。

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