ご挨拶

教授写真

 

富山大学・大学院・医学薬学研究部
統合神経科学講座・教授 田村 了以

 

 


本講座は,昭和52年4月1日,小野武年教授,西野仁雄助教授,佐々木和男助手と松山春子技官の4人が着任し,生理学(第二)として開講しました.その後,平成15年3月31日まで,小野教授が本講座を主宰し,研究,教育等の面での発展に中心的な役割を果たしてきました.平成17年4月1日からはその後を継ぎ私,田村了以が富山医科薬科大学・医学部・生理学講座を担当させていただくことになりました.平成17年10月1日からは,富山県内の国立三大学(富山医科薬科大学,富山大学および高岡短期大学の)統合により新たに富山大学・医学部・生理学講座となり,また平成18年4月1日からは大学院として医学薬学研究部・統合神経科学の講座名称も加わりました.

生理学の教育に関して:
医学の主目的の一つは“病気を治す”あるいは“病気が治る手助けをする”ことであり,そのためには病態(病気の原因,発症機構,増悪あるいは緩解・治癒機構等)を理解することが必要ですが,“正常状態”(正常な形態と機能)に関する知識なしには,病態を理解することはできません.生理学とは,まさにこの生体の正常な働き(生命現象)の基本的なメカニズムを解明する学問であり,医療を志すものにとって習得することが必須です.現在私たちは,医学部や薬学部の学生には生理学全般を,大学院の博士課程や修士課程の専攻者には高次神経機能に関する生理学の教育を行っています.

研究に関して:
当講座では小野教授の指導の下で,本能行動,学習・記憶,情動,意思決定と行動出力,脳-免疫相関等の神経機構を,分子・細胞から行動にいたるレベルで広範に研究してきました.私もその流れを引き継ぎ,現在は以下のテーマを中心に研究を進めています.

海馬体における学習・記憶の神経機構
海馬体における時間的符号化
大脳皮質―海馬体相互作用
側頭連合野・前頭連合野における「顔」の認知・記憶の神経機構
“Natural vision”の神経機構
胎生期ストレスの神経発達と情動行動発現への影響
遺伝子ノックアウトマウスにおけるニューロン活動‐行動相関
さて,研究の醍醐味とは何でしょうか?それは,今まで世界で誰も知らなかったことを,自分の目で見て,自分の耳で聞き,自分の手で明らかにすること,さらには,その観察した現象の中に,自然の秩序すなわち”美しさ”を目にすることであると,私は思います.基礎医学研究を含め自然科学の研究に携わる者が研究に情熱を傾ける一つの大きな理由は,自分自身で自然の中の普遍的な原理を目にしたいという願いであり,実験計画の中のある部分を工夫することによりそのゴールに手が届く(少なくともその可能性がある)ということです.私は是非,こうした研究の醍醐味を,職業として研究に従事するものばかりでなく,学生や医療従事者にも知ってもらいたいと思います.高いモチベーションで研究を行うことが,研究の質を高める上で最も重要なことです.またそれが,実社会に役立つ知識の集積につながると信じています.このため私自身,専門とする研究領域で何が本質であるかを突き詰める態度で日々研鑚し,また,後進の育成を含め教育面でも誠心誠意努力していく所存です.


私たちは常に,モチベーションのある研究者の卵を探しています.もし私たちの行っている研究に興味を感じ,自分もやってみたいとお思いになるかたがいたら,是非私たちにご連絡ください.

 

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