富山大学 学術研究部医学系 神経精神医学講座

診療内容Clinical Activities

診療体制

 富山大学附属病院神経精神科は43床を有する総合病院精神科であり、難治例や身体合併症例を含む多様な精神科疾患を対象に幅広い臨床を行っています。また救急への対応は医療の出発点であるとの考えから、大学病院の精神科としては全国的にも珍しく、県の精神科救急輪番にも参加しています。外来では初診、一般再診のほかに各種専門外来を開設し、様々な精神疾患に対して、専門的に対応するようにしています。入院診療では睡眠障害に対する専門的な検査入院が可能であり、検査件数は年々増加しています。平成30年3月に電気けいれん療法(ECT)研修施設(総合病院精神医学会)、平成31年2月に一般病院連携精神医学専門医(略称:精神科リエゾン専門医)研修施設(同学会)に認定されています。
 当科がとくに力を入れているのは、統合失調症への取り組みです。統合失調症の治療では、社会機能の改善をめざした先進的な薬物療法を行うとともに、患者さんやご家族に対する心理教育を積極的に行い、認知行動療法、作業療法、社会生活技能訓練(SST)なども取り入れています。治療抵抗性患者さんに対するクロザピン治療も行っています。こころのリスク外来(専門外来)では、富山県心の健康センターと連携し、統合失調症などの前駆状態が疑われる症例の精査と心理社会的治療・薬物療法などを行っています。
 当科では医師間およびコメディカルとのチ-ム医療を重視し、また関連病院医師との連携を緊密に保つようにしています。とくに認知症診療(早期診断と治療方針決定、周辺症状への対応、病診連携によるフォローアップ)、統合失調症診療(早期診断・早期治療、多角的病態評価、および治療抵抗例のクロザピン治療)、難治性のうつ病や統合失調症に対する修正型電気けいれん療法、身体合併症を有する精神疾患患者の診療、および睡眠障害に対する専門的検査につきましては、地域の先生方からの積極的なご紹介をお待ちしています。

主な対象疾患

  • 統合失調症
  • 気分障害(うつ病、双極性障害など)
  • 神経症性障害(パニック障害、強迫神経症など)
  • 認知症(アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症など)

主な検査・設備など

  • MRIやSPECTなどの脳画像解析や統計画像解析
  • デジタル脳波計による事象関連電位検査
  • パルス波治療器による修正型電気けいれん療法
  • 終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)・睡眠潜時反復検査(MSLT)・覚醒維持検査(MWT)

外来診療

 精神科疾患全般を広く対象とした治療および検査を行っています。症状の他、認知・社会機能の改善も目指した先進的な薬物療法を行っています。

専門外来

 統合失調症などの前駆状態が疑われる症例を対象とした「こころのリスク外来」、認知症が疑われる患者さんに詳しい検査および心理社会的治療・薬物療法などを行う「ものわすれ外来」、他科に入院中の患者さんの精神医学的問題に細やかに対応を行う「リエゾン外来」、および睡眠障害の精査加療を行う「睡眠外来」があり、専門的かつ特徴的な医療を行っています。

他科・地域との連携

 医師、看護師、精神保健福祉士で構成されたリエゾンチームを持ち、医師間およびコメディカルとのチ-ム医療を重視しております。また関連病院医師との連携を緊密に保つようにしています。例えば、ものわすれ外来では下図のような病診連携(ふたり主治医制)を導入しています。

<認知症における病診連携のイメージ図>

病棟診療

 神経精神科の病棟は南7階に位置しており、43床を有しています。うち一般個室が6床、特別室(別途、差額料金が必要です)が1床あります。病棟内は明るく、開放的な雰囲気です。医師、看護師、精神保健福祉士、薬剤師、心理師、作業療法士などの多職種が連携し、質の高い医療の提供に取り組んでいます。身体合併症のある患者さんには、必要に応じて身体科のスタッフとも連携をとっています。
 入院して間もない急性期の患者さんは、落ち着きを取り戻すまで十分な休養が必要となります。また、効果や副作用について担当医と相談しながら薬剤調整も行います。回復段階にある患者さんは、社会復帰を目的とした活動にも参加できます。病棟内の集団療法室では、毎週火曜日に作業療法を行っています。また毎月1回、社会生活技能訓練(SST)を行っており、対人関係を中心とした社会的スキルの向上を目指しています。

診療実績

1)外来受診動向(2019年1月〜12月)

  1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 合計
初診 41 58 64 68 55 55 60 56 49 67 57 46 676
再診 1753 1630 1759 1768 1782 1661 1943 1710 1731 1751 1710 1678 20876

2)入退院動向(2019年1月〜12月)

  1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 合計
入院 22 15 17 22 25 22 22 21 21 20 21 19 247
退院 17 18 24 26 22 18 18 25 20 22 18 25 253