____講 座 紹 介____
研究について
1.ヘルペスウイルスの研究
人に感染するヘルペスウイルスは現在までに8種類見つかっており、我々はその中で主にαヘルペスウイルスをターゲットとして、以下に紹介するようなテーマで研究を進めています。
名称亜科 |
代表的疾患 |
単純ヘルペスウイルス1型
(HSV-1) |
α |
口唇ヘルペス,角膜炎,ヘルペス脳炎 |
単純ヘルペスウイルス2型
(HSV-2) |
性器ヘルペス,新生児ヘルペス |
水痘・帯状疱疹ウイルス
(VZV) |
水痘,帯状疱疹(ワクチンによる予防が可能) |
Epstein-Barrウイルス
(EBV) |
γ |
伝染性単核球症,バーキットリンパ腫,上咽頭癌 |
サイトメガロウイルス
(CMV) |
β |
伝染性単核球症,肺炎,網膜炎 |
ヒトヘルペスウイルス6
(HHV-6) |
突発性発疹 |
ヒトヘルペスウイルス7
(HHV-7) |
突発性発疹 |
カポシ肉腫関連ヘルペスウイルス
(KSHV) |
γ |
カポシ肉腫 |
1.1) 水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)が引き起こす「痛み」のメカニズム解明
帯状疱疹後神経痛 (post-herpetic neuralgia; PHN) は、VZVの再活性化によって帯状疱疹を発症した後、およそ〜%の患者さんに出現する神経痛です。
1.2) VZVの潜伏感染化ならびに再活性化のメカニズム解明
ヘルペスウイルスに共通する大きなテーマの一つに、「潜伏感染・再活性化」があげられます。
1.3) 単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)が母子感染するメカニズム解明
性器ヘルペスにおける母子感染の病態について、母子より分離されたウイルスの特徴から、母子感染の様式の解析を行っています。
2.インフルエンザウイルスの研究
これまで、和漢薬を含む種々の薬剤から治療薬として活性を持つものを明らかにしてきました。単に「効く」「効かない」ではなく、その治療効果のメカニズムについても研究しています。インフルエンザウイルス感染症におけるサイトカイン等の動きと、発熱及び肺炎との関連、また、水痘帯状疱疹ウイルス感染における、ウイルスと宿主との相互作用について研究を行っています。
教育について
1.医学部生の教育
第一に、医学部生は、最低限、患者検体の取り扱いや医療行為に伴う感染リスクのマネージメントを知っておかねばなりません。なぜなら、医師は現場の「長」として、患者や医療従事者(他の医師、看護士、コメディカル)に対する感染リスクを最小限にする責務があるからです。
第二に、ウイルス感染症の治療を念頭に置いて、疾患の疫学、予後・転帰を含めた病態、さらに診断法・治療法について学んでもらいます。
第三に、これらのことを医学的に理解するための専門知識を養ってもらいます。
2.大学院生の教育
基本的には、プロジェクトを進めていく過程で、実験のプランニングやテクニックなどを身につけていくことになります。また、プレゼンテーションの仕方やサイエンスにおける論理的思考を身につけてもらうべく、国内・国外問わず積極的に学会発表をしてもらっています.。