教授からのメッセージ
私たちが目指している研究
「人間とは何だろうか?」「自分は何ものだろう?」といった疑問に自然科学の研究を通して答えていきたい。それが、私たちが研究を行っている動機です(詳しくは拙著:記憶をコントロールする、記憶をあやつるをご覧ください。)そして、私たちの研究成果が医学応用に繋がり、さまざまな疾患の予防・治療に役立つことを願っています。
脳機能の研究は21世紀に残された科学研究の最後のフロンティアの一つです。ここ20年余りの研究の進展により、学習・記憶などの脳の高次機能を科学の言葉で理解することが現実のものとなってきました。脳機能の分子レベルでの理解は「人間とは何か、自分は何者であるのか」と云う哲学的命題に自然科学の視点から答えようとする営みであると共に、加齢に伴う脳機能の低下や老人性の認知症、さらには様々な精神疾患の予防・治療への道を拓くものとして期待されています。
脳の様々な機能の中でも、「記憶」は最も基礎的かつ重要なものの一つです。人間の精神の営みは記憶なしでは成り立ちませんし、認知症を見るまでもなく、自分が自分であることを認識する上で記憶の果たす重要性は明らかです。高齢化社会を迎える今後、「記憶」の仕組みを解明することは社会的な要請でもあります。
当講座では、「記憶」のメカニズムを明らかにすることを目標としています。「記憶」という巨大な象を理解するためには、鼻や足や胴体だけを触って「記憶とはホースのようなものだ」「いや柱のようなものだ」「いやいや壁のようなものだ」と言っていても始まらないわけで、あらゆる方向からのアプローチが必要です。私たちは、分子生物学・生化学から細胞生物学・組織化学・電気生理学・光遺伝学・行動薬理学までの幅広いアプローチを取ることによって、記憶形成メカニズムの理解を深めようとしています。
また、2018年度より、新しい学術を切り拓く挑戦性のある研究として、科学研究費・特別推進研究の支援を受けて「アイドリング脳研究」を中心課題として取り組んでいます。
私たちの研究が、人間のより深い理解につながり、また、さまざまな脳機能障害や精神疾患の予防・治療につながることを願っています。
これを読んでいる皆さん、私たちの研究に加わりませんか?
意欲あるポスドク、大学院生、学生の皆さんの参加をお待ちしております。
◇ 問い合わせ先メールアドレス:bmb(の後に、@med.u-toyama.ac.jpを付け加えてください。)
経 歴
1979年 |
名古屋大学農学部農芸化学科卒業 |
1984年 |
名古屋大学大学院農学研究科博士課程修了(農学博士) |
1985年 |
三菱化学生命科学研究所 副主任研究員 |
1991年 |
米国コロンビア大学医学部(Prof. Eric Kandel lab) |
Howard Hughes Medical Institute (Research Associate) |
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ニューヨーク州立精神医学研究所 |
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1993年 |
三菱化学生命科学研究所 主任研究員 |
2001年 |
横浜国立大学 客員教授(兼務) |
2004年 |
三菱化学生命科学研究所 グループディレクター |
2009年 |
富山大学大学院医学薬学研究部(医学)教授 |
2019年 |
富山大学 卓越教授(称号授与) |
所 属 学 会
日本神経科学学会
日本不安症学会(評議員)
日本神経化学会(評議員)
Society for Neuroscience(北米神経科学会)
Association for the Study of Neurons and Brain Diseases
受 賞 歴
2010年 |
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2012年 |
AND Investigator Award |
2013年 |
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2018年 |
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2019年 |
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紫綬褒章 |
ORCID ID
https://orcid.org/0000-0002-5393-3133