2021.02.08
医局コラム

「大雪の雪解けと共に」

 2021年1月8日からの大雪により富山県を含む北陸、日本海側は雪に閉ざされた。交通網は完全に麻痺しコロナ禍で緊急事態宣言の出ている関東圏とは別の意味で緊急事態と化していた。医療のテレワークがもっと進めば良いのに…と想いを馳せた今日この頃。

雪解けの整形外科外来はやはり患者さんで賑わっていた。「雪かきしてから腰が痛くなった。」「雪かきしていたら膝を痛めた。」「雪かきしてから肩が上がらなくなった。」などなど雪かきがオーバーワークとなって様々な関節、筋肉の炎症を引き起こしたことは想像に難くない。
雪かきを始めると疲れを忘れて没頭してしまうといった経験はないだろうか。体が温まり気持ちよく汗をかき、目に見えて道が開通していく喜びを感じる。このとき脳内では神経伝達物質であるドーパミンやエンドルフィンなどのいわゆる脳内麻薬が分泌され疲労を忘れ、ついには快楽となり自分の家の前だけに飽き足らず気づくと隣の家の前まで頼まれてもいないのに雪かきをしてしまうのである。
これが「雪かきハイ/Snow Shoveling High(SSH)」と呼ばれる状態である。SSHは上記の整形外科外来に訪れた患者のような一連の症状を呈し、これらは「雪かき症候群/Snow Shoveling Syndrome(SSS)」と呼ばれており、整形外科学会でも今注目されている。
…というのは冗談でありSSHやSSSという整形外科用語は存在しない。もし今後テレビにこの話題が出てくるようならこの疾患(?)を提唱した専門家として私を呼んでほしい。

最後に 調べてみるとこんなtweetを見つけたので紹介する。
『ご経験ある方もいらっしゃると思いますが、除雪を始め1時間を越える頃から「雪かきハイ」になってしまい、「雪かき王に、俺はなる!」と興奮し始め、歩道を全部除雪するまで一回も休みを取らず、今、首と肩が固まって上を向けません。これぞ雪国の醍醐味? 皆さんもお気をつけて』

次にSSSになるのはこれを読んでいる「あなた」かもしれない…。

医局員 K