2021.03.15
医局コラム

CrystalとCricket

3月になり、雪疲れも癒え、立山連峰にまだ分厚く残る雪を綺麗と思えるほどに、天候に対して心の余裕ができた。タイトルは、最近私が興味をそそられた2つのものである。

 雪の日の朝、車の雪をやっと下ろし終えたと思ったら、フロントガラスは凍っており、次はお湯の出番かと肩を落としていると、凍った部分が密でない箇所に、1つ美しい「雪の結晶(Crystal)」を発見した。急いでいるにも関わらず、しばし見とれてしまった。雪の日や朝の放射冷却で見られる水からできる結晶。寒い時期になると小物やセーターなどの柄によくあるあの綺麗な幾何学模様である。
 なぜ五角形でも八角形でもなく六角形なのか?水分子(H₂O)の酸素(O)と水素(H)が引き合う「水素結合」が鍵を握っている。Oを中心にやじろべえ形に2つのHがくっつき、そして隣り合う水分子同士がさらに「水素結合」を起こし、正四面体を形成、平面的には六角形になる。天然でこのような美しさを生み出せるとは神秘的だが、自然と科学による理論だった生産物であり、なぜできるのか「答え」がある。ちなみに塩の結晶の標準的な形は正六面体で、ミョウバンの結晶は正八面体である。
 雪の結晶の集合体では写真のような結晶を目にできないため、連日の大雪だったが、綺麗と心底思える雪の結晶に出会ったのは2回だった。
水の結晶の種類は、細かく分類すると100種類以上にもなるという。微妙な湿度や温度の違いだそうだ。今度は、どんなCrystalにお目にかかれるか、ささやかな楽しみとしたいと思う。

次は、「Cricket」についてお話しようと思う。英語にすると随分印象が違うが、「コオロギ」のことである。どうやら今、注目の食材だそうだ。なぜ注目かというと、その栄養価の高さにある。タンパク質が、100g当たり60g程(鶏肉は100g当たり25g程)の高タンパク低カロリー食材だそうだ。ビタミン・ミネラル・食物繊維も豊富で、おまけに抗酸化作用(アンチエイジング効果)も期待できる。生産者サイドでは、飼料も水も少量でよく、生産コストがかからない上に、温室効果ガスの排出が少なく、地球に優しいことも魅力だという。そんな魅力溢れる食材を食品業界が放っておくわけがなく、水面下で流行商品を売り出そうと動いているに違いない。  虫が大嫌いな私だが、原型を留めていないコオロギであれば、もっと手軽に流通するときが来たら、普段の食事に取り入れたいと思えた。どんな流行が訪れるか未知数だと思った今日この頃だ。

某有名メーカーのコオロギせんべい
えびせんべいのように香ばしく美味しかった。

引用:https://www.muji.com/jp/ja/store/cmdty/detail/4550344162897#&gid=1&pid=2

医局員i