富山大学医学部 放射線診断・治療学講座

教室紹介

教授ご挨拶

 私は、平成25年9月16日付けで、富山大学大学院医学薬学研究部(医学)放射線診断・治療学講座の第3代教授へ就任しました。1991年に富山医科薬科大学(現富山大学)放射線医学教室(現放射線診断・治療学講座)へ入局し、画像診断および放射線治療に関する基本的な研修を受けた後、1993年から3年間、秋田脳血管研究センターへ赴任し、小川先生(現鳥取大学放射線科教授)の指導の下、神経放射線画像診断について学び、脳卒中の画像診断に関する臨床研究をしました。その後、1996年に富山医科薬科大学(現富山大学)へ復帰し、CTおよびMRI診断業務に従事、2002年10月からは、アメリカ合衆国のペンシルバニア大学病院神経放射線診断部門へ留学して、頭部MRI診断に関する研究をしました。富山医科薬科大学へ復帰後は、放射線診断専門医として主としてMRI検査の読影を担当しつつ、MRI診断に関する臨床研究を施行してきました。
 放射線科は、画像診断、核医学診療、血管内治療、放射線治療と大きく4部門にて成り立っており、内科・外科領域を問わず、診断と治療を幅広くカバーしていることから、放射線科へ入局後に自分のやりた仕事を必ず見つけることができる科です。最近のIT技術の発達にて、自宅に読影端末を置いて遠隔画像診断業務をすることも可能となっており、妊娠・出産・育児にて一時的に病院勤務が難しくなるような女性医師であっても、放射線診療技術レベルを維持しつつ専門医資格を生かして画像診断の仕事を続けることが可能となっています。
 臨床放射線医学は「個々の症例から学ぶ」ことが最も重要です。同じように見える症例を詳細に読影して、個々の症例の中にある小さな違いを注意深く拾い上げることで、最適な治療につながる実効性のある診断ができる可能性があります。日常の臨床業務においては、常に疑問を持ちよく考えること、ささいなことに関しても好奇心を持つこと、上下関係や職種に関係なくわからないことは素直に教わること、感情的なけんかをせず素直に謝ること、仕事や研究をするためには職種を超えた仲間が必要であるということを念頭に置いて仕事をすることが重要であると思います。
 臨床研究では、論文発表のための研究ではなく、日常臨床の治療に直結するような画像診断法を開発することを目指しています。現時点にて診断することが困難であるとされている疾患や病態に対して、現状の撮像法を大きく改良あるいは新しい撮像法を開発して、挑戦してゆく楽しさを感じて欲しいと思っています。
 現在の我が医局は、マンパワーが不足しており臨床業務に追われている毎日です。臨床業務のみならず臨床研究を行う医局員も不足しています。私は、研究がしたい医局員には、新人であっても自分のやりたい研究を自由に取り組むことができる環境を提供したいと考えています。画像診断および放射線治療に興味を有する新しい人材を、あせらないで一人一人じっくりと確保しつつ、放射線医学の発展のために、皆さんといっしょに頑張りたいと考えております。よろしくお願いします。

研究内容

1. 現在進行中の研究(他科との共同研究を含む)

治療に直結するような臨床研究が重要であると考えており、他科との共同研究を積極的に推進している。

  • MRIによるくも膜下出血の診断
  • MRIによる頭蓋内硬膜動静脈瘻の診断
  • 読影支援システムの開発
  • 統合失調症のMRIによる評価
  • 小児脳発達のMRIによる評価
  • メニエール病のMRIによる診断
  • MRIによるもやもや病の評価
  • DaTscan SPECTによる脳機能評価
  • 一酸化炭素中毒のMRI所見
  • 腰椎領域のMRI神経画像による評価
  • 肩関節軟骨のT2-map画像による評価
  • MRIによる子宮蠕動運動の評価

2. 今後取り組む予定の研究

将来的に大きく役立つ発展的研究には、基礎医学科あるいは工学部との共同研究が必要であると考えている。

  • MRIによる機能画像に関する研究
  • 新しいMRI画像データ処理法に関する基礎的研究
  • CTによる機能画像に関する研究
  • CADによる頭部CT診断に関する研究

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