帝王切開で生まれた子どもは6歳時に過体重となる割合がやや多い
研究の背景と方法
小児期の過体重は、その後の健康と関わるため、幼少期の成長に関連する要因を調べることが重要です。帝王切開と小児期の過体重の関連は以前から報告されていますが、乳幼児期を超えた日本人のデータは十分ではありませんでした。
研究グループはエコチル調査の単胎児64,281人について、6歳時の身長と体重から国際的な基準に基づく過体重を判定しました。帝王切開と経膣分娩を比較し、母親の妊娠前BMI、喫煙、糖尿病を統計学的に考慮しました。さらに、3歳から6歳までの過体重の変化と、幼児期にBMIがいったん低下した後に上昇へ転じる「アディポシティリバウンド」の時期を検討しました。
主な研究結果
解析対象のうち帝王切開での出生は11,871人(18.5%)でした。6歳時の過体重は帝王切開群で1,268人(10.7%)、経膣分娩群で4,608人(8.8%)でした。調整後のオッズ比は1.09(95%信頼区間1.02~1.16)でした。BMIの推移をみると、6歳時点を含めて帝王切開群において過体重になる子どもがわずかに多いという結果が得られました(図1)。

男女別にみると、男児において6歳時の過体重は帝王切開群で588人(9.6%)、経膣分娩群で2,176人(8.1%)、調整後のオッズ比は1.06(95%信頼区間0.96~1.17)でした。女児においては6歳時の過体重は帝王切開群で680人(11.8%)、経膣分娩群で2,432人(9.5%)、調整後のオッズ比は1.11(95%信頼区間1.01~1.22)でした(図2)。しかし、分娩方法と性別の交互作用は有意ではなかったため、今回の結果のみで、女児だけに関連があるとは判断できません。

3歳時に過体重でなかった子どもに限ると、6歳時に新たに過体重となることとの関連は女児でのみ、みられました(調整後オッズ比1.14、95%信頼区間1.01~1.29)が、こちらも前述と同じように、今回の結果のみで女児だけに関連があるとは判断できません。
帝王切開に至った理由別に検討すると、予定帝王切開群では関連がみられ、緊急帝王切開群では過体重と明確な関連はみられませんでした。ただし、この区別は記録された産科的理由から推定したものであり、予定帝王切開の背景にある母体・産科的要因の影響が残る可能性があります。
アディポシティリバウンドに関しては出現時期と過体重となる割合に有意な関連はなく、リバウンド後のBMIの増え方の程度の差も母親の要因を考慮すると有意ではありませんでした。
結果の解釈と今後の課題
今回、帝王切開で生まれたお子さんと、6歳時点での過体重との関連がごく小さく認められました。しかしながら、体重の増減は様々な因子が関わるため、授乳法の違いや、幼児期の食事・運動など、解析で十分に考慮できなかった要因による影響を除外できません。
今回の結果は、「帝王切開で生まれたお子さんは太る」ということを示すようなデータでは決してありません。帝王切開で生まれたこと自体のみに注目するのではなく、体重に影響を及ぼす因子を多く検討して、ご自身やお子さんが、過体重になりやすい体質であるかどうかを考えることが必要です。今後はより長期の成長データを用いた検討や、過体重にならないためにはどのような取り組みが重要か検討することが必要です。

この研究成果は、小児科学系専門誌「European Journal of Pediatrics」に2026年10月5日に掲載されました。
エコチル調査富山ユニットセンター
2026年10月
ちょっと詳しく
過体重
過体重または肥満と定義する国際的な基準は複数あります。本研究では、年齢・性別に応じた国際肥満タスクフォース(IOTF)のBMI基準を用いて判定しました。BMIは体重(kg)を身長(m)で2回割り算をして計算することができます。
IOTFの基準では6歳時点のBMIが、男児は17.55、女児は17.34を超えていると過体重と判断されます。上記のIOTFの基準を超えている方は、20歳になった時点でのBMIが、25を高確率で超えることが報告されています。小児期の過体重が成人期まで持ち越されないように取り組むことが必要です。
アディポシティリバウンド
乳幼児期に低下したBMIが再び上昇に転じる現象です。図1で示すように、全体的にBMIは5歳くらいまで下降したあとに横ばい~上昇しています。アディポシティリバウンドは生理的に生じるものですが、アディポシティリバウンドが早い方は内臓脂肪が蓄積しやすかったりすることが報告されています。