1歳時のヨーグルト摂取頻度が多いと、胃腸炎発症が少なくなる(エコチル調査より)
「菌活」という言葉をきいたことがあるかもしれませんが、ヨーグルトや納豆など菌によって発酵した食品を摂取すると健康によいという情報が巷にあふれています。とくに最近は、乳酸菌の摂取で風邪やインフルエンザのリスクが低下するという報告もあり、ますます関心が高まっていると思います。
2018年、エコチル調査に参加するお子さんの1歳時点までの食事状況と感染症の罹患について検討することが可能となりました。
そこで、富山大学の研究グループは、1歳の子のヨーグルトとチーズの摂取頻度と1歳になるまでに医師によって診断された胃腸炎の有無との関連を、エコチル調査に参加する82,485名について調査しました。
その結果、ヨーグルトを週1回未満摂取する幼児と比べて、週に3回以上摂取する幼児では胃腸炎の発症が少ない傾向が見られました。一方、チーズの摂取においては、特に関連は認められませんでした。

これまで、ヨーグルトを摂取すると胃腸炎の発症を予防するという報告はありましたが、一致した見解は得られていませんでした。今回は、約8万人を対象とした解析から導き出された結果ですので、信頼性は高いといえます。

ただし、本研究では以下の限界点があります。
- 幼児のヨーグルト摂取頻度について、母親の記憶に頼った回答のため客観的な情報ではない
- ヨーグルトやチーズのブランドは質問していないため、菌株等の違いについて把握できていない
- ヨーグルトを摂っているから胃腸炎がおこらないのか、あるいは、胃腸炎がおこりがちなためヨーグルトを摂っていないのか、という点もどちらであるかこの研究からはわからない
最終的にこれらを解決するためには、別の研究で確認する必要があります。したがって、「ヨーグルトを摂っていると胃腸炎を予防する」とまで断言できる結果ではないことを申し添えます。
※本研究は、「PLOS ONE」に2019年10月7日付でオンライン掲載されました。
エコチル調査富山ユニットセンター
2020年1月