これまでの卒業研究
年度 著者 タイトル 要旨
2014年度 渡瀬蓉子、石川琴絵、伊藤有美、米原帆乃夏 睡眠中の精神性発汗量、自律神経活動および主観的睡眠感の関係 簡便に発汗量の測定ができるパッチを用いて睡眠中の精神性発汗量を測定し、同時に記録した自律神経活動(心拍変動から解析)および主観的睡眠感の関係を調べた。
その結果、睡眠中の精神性発汗量は交感神経活動を強く反映しており、主観的睡眠感とも一部相関が認められた。
この事から、精神性発汗量を測定することで、簡易的に睡眠の質を測定することが可能であると示唆された。
2015年度A 多賀愛理菜、宮腰彩奈、宮本清香 音楽刺激の脳波αパワーに及ぼす影響 〜順再生と逆再生の比較〜 病院待合室に流れている音楽が患者さんに与える影響を調べるための基礎的な研究を行った。
被験者には、病院待合室で流れている音楽と、その音楽を逆再生した際の脳波をそれぞれ記録してαパワーを比較した。
その結果、順再生でも逆再生でも、脳波αパワーには有意な差は認められなかった。しかし、音楽刺激により、前頭葉のαパワーは増加していた。
以上のことから、単なる音刺激でもリラクセーション効果があり、楽曲が重要ではない可能性が考えられた。
2015年度B 島井彩也子、内藤里奈、坂下真紀 手の注視パターンに関する行動学的研究 我々が他者の手を見る際に、手のどの部分により注目するかを視線計測装置を用いて調べた。
その結果、@中手部よりも指部への注視傾向があった、A倒立呈示の場合、正立呈示とは異なり中手部への注視傾向があり、母指への注視が減弱した。
以上の結果より、指部や手掌などへの明らかな注視パターンが確認された。また、正立呈示と倒立呈示で被験者の注視パターンおよび反応速度が異なっていることから、手にも顔と同様に逆さま効果が生じている可能性が示された。
2016年度 荒井麻穂、閏間綾香、金子 愛、楠彩智子、松本夏楠 フェイスマスク着用が中性顔の表情評定に及ぼす影響 臨床現場ではフェイスマスクをして患者やその家族と接する機会が多い。そこで、中性顔(真顔)の評定に対するフェイスマスクの影響を調べるための基礎的な研究を行った。
被験者には、フェイスマスクを着用した中性顔およびフェイスマスクを着用していない中性顔に対する表情評定をしてもらい、評定値を比較した。
その結果、フェイスマスクを着用している方が、フェイスマスクを着用していない場合と比べ、より不快表情と評定された。
以上のことから、患者あるいは患者家族はフェイスマスクを着用した医療従事者の中性顔表情を不快表情として読み取っている可能性が示唆された。
医療従事者は、それをふまえて患者および患者家族と接する必要があると考えられる。
2017年度 瀬戸千尋、田中侑希、田邊玲菜、林 悠里、藤井咲希 日常的看護業務場面に対する注視パターンとサリエンシーマップの比較 看護業務場面において、第三者は看護師の手元を見る傾向にあることが知られている。
しかし、なぜ看護師の手元に視線が集まるのかについては明らかになっていない。
一般に、ヒトは視覚的に目立つ(顕著性;サリエンシー)部位を注視することが知られている。
そこで本研究では、日常的看護業務場面において、被験者の注視する部位とサリエンシー部位の関係を調べた。
その結果、@被験者は看護師の手および医療機器を注視する傾向があった、Aサリエンシーの高い部位と被験者が注視する部位は一致していないことが明らかになった。
以上の結果より、被験者は目立つ部位(高サリエンシー部位)を見ているわけではなく、生物学的、心理学的要因等によって視線を移動させている可能性が示された。
2018年度 足立紘子、草島彩和、佐藤鈴佳、佐藤礼菜、杉原有希菜、米田由花 超短波による温罨法が中枢神経系へ及ぼす影響 温罨法は、臨床現場において頻繁に用いられている看護技術の一つである。
超短波は、理学療法の現場では広く用いられている温熱刺激であるが、看護の現場ではほとんど用いられていない。
そこで本研究では、超短波を用いた腹部および腰背部への温熱刺激が中枢神経系へ及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。
その結果、前頭前野の一部では対照群に比べ温熱群で有意にOxy-Hb濃度が増加した。
これらの結果から、超短波による腹部や腰背部への温熱刺激は、前頭前野を活性させると考えられた。
2019年度 後谷祐介、竹渕芽依、中山友月、山口桃香 顔面皮膚温度の測定による情動価推定の試み 温罨法は、臨床現場において頻繁に用いられている看護技術の一つである。
看護技術がもたらす「心地よさ」は、患者からの言葉や自律神経反応により評価されてきたが、これらの評価法では患者が実際に感じている情動価(快−不快の程度)は評価しにくい。
そこで本研究では、顔面皮膚温度および情動価の関係性を明らかにすることを目的とした。
その結果、快情動を惹起する視覚刺激を提示した場合に口唇部の最低温度が中性および不快情動よりも有意に上昇していた。
以上より、口唇部の皮膚温度を測定することによって患者が実際に感じている情動を評価できる可能性があると考えられる。
2020年度 井阪真衣、川上涼子、新宅祐朱、奈良朱磨、西條愛理、山下智輝 新しい情動性視覚刺激を用いた顔面皮膚温度の変化と情動価の関係 温罨法は、臨床現場において頻繁に用いられている看護技術の一つである。
看護ケアの目的の一つは、患者を安楽に導くことである。看護ケアがもたらす患者の安楽は、患者へのインタビューによって直接語られた患者の言葉で評価されたり、患者の自律神経反応によって評価されたりしている。
近年、対象者が感じている情動価の違いにより、顔面皮膚温度に変化が生じる可能性が示唆されている。しかし、従来の研究では、情動を惹起する刺激が有する情動価や覚醒度が統制されていない。また、刺激の情動価が統制された研究でも、画像の鮮明度が低いなどの問題があった。
そこで本研究では、情動価および覚醒度が評価され、画像解像度が高い最新の視覚刺激のデータベースを用い、顔面皮膚温度および情動価の関係性を明らかにすることを目的とした。
実験では、対象者に快、中性および不快の情動を惹起する視覚刺激をそれぞれ提示し、同時に顔面皮膚温度の変化を調べた。
その結果、快情動を惹起する視覚刺激を提示した場合に前額部の最高温度が中性および不快情動よりも有意に低下していた。
従って、前額部の皮膚温度を測定することによって、対象者が実際に感じている情動を評価できる可能性が示唆された。
2021年度 飯島留花、坂下由妃、武田 花、長徳玲奈、牧野鈴菜、宮田佳林 前頭葉機能検査の成績に及ぼす手浴の影響 温罨法は、臨床現場において頻繁に用いられている看護技術の一つである。
手浴は、手指清潔だけでなく心地よさをもたらす看護ケアとして認知されている。手浴の生理作用として、前頭葉の活性化が報告されている。しかし、手浴が認知機能に及ぼす影響はほとんど知られていない。
そこで本研究では、前頭葉機能検査の成績に及ぼす手浴の影響を検討した。
健康な成人男女20名を対象とし、42℃の湯で手浴中にカラーストループ課題および言語流暢性課題を実施した。
その結果、いずれの課題成績にも手浴による有意な影響は検出されなかった。
しかし、今回の研究対象者は若年成人であり、認知機能に対する手浴の影響が天井効果により検出できなかった可能性が考えられる。また、前頭葉機能は多岐にわたっており、本研究で用いた課題では検出できない前頭葉機能に対する手浴の影響は不明である。
これらの事から、前頭葉機能の成績に及ぼす手浴の影響は、引き続き精査する必要があると考えられた。