ご挨拶

行動科学は学際的な総合学問です。


平成25(2013)年4月から行動科学を担当しております、堀です。

行動科学というのは、非常に複雑な総合学問です。
このページをご覧のみなさんは、今朝起きてから今まで、どんな行動をしてきましたか?
なぜその行動をしたのですか?無意識的でしょうか?意識的でしょうか?世の中の多くの人が同じ行動をしますか?遺伝的に組み込まれた行動でしょうか?それとも訓練して身に着けた行動でしょうか?
日常生活の一つの行動に焦点を当てても、非常に複雑な背景があることがわかります。



「新しいスマートフォンが欲しくなり、アルバイトしてお金を貯めて買う。」
なぜ、新しいスマートフォンが欲しくなるのか?
なぜアルバイトするのか?
個人的な理由もあるでしょう。でも、世に新しいスマートフォンが次々と発売されている背景には、多くのヒトが新しいスマートフォンを欲しがるという行動に基づいた、企業の戦略があるのです。

実験室の中で、ネズミが分かれ道で悩んでいたりします。右へ行くべきか、左へ行くべきか。
右へ行けば、毎回必ずチーズのかけらがほんの少しもらえます。
左へ行けば、10回に1回の割合で大きなチーズがもらえます。
ネズミのとる行動は???
脳機能をちょっと変化させると、ネズミの行動が劇的に変わります。

医療現場では、患者と医療従事者が様々な関係性をもって行動しています。
看護師のちょっとした声掛けに癒される患者さんがいます。
医師の冴えわたる手術手技に畏敬の念を抱く患者さんがいます。
かと思うと、治療に必要な指示に従わない患者さんもいます。医師や看護師のちょっとした言動に腹を立てる患者もいます。薬剤師の説明に耳を傾けない患者もいます。
このような場合、ちょっとした一言やしぐさで、患者−医療従事者の関係がぐっと改善することもあります。



実験室の中でネズミがとる行動から、世の中の経済活動、そして医療現場まで、非常に多くの場面で「行動」はみられます。この「行動」を科学するのが行動科学です。
ある行動には、心理的、社会的な背景があるでしょう。疾病に特有の行動には、病態生理的な背景が加わるでしょう。実際には、もっともっと様々な背景が折り重なってある行動に表れているのです。
行動科学の中でも、医療に関係した分野を行動医学と言います。アメリカの医師国家試験では、行動医学が一つの単元を形成するほど重要視されています。



私はこれまで、コミュニケーションに関する神経生理学的、行動神経科学的な研究を行ってきました。
この知識や技術を生かし、広く行動科学に関する教育・研究を行っていきたいと考えています。

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