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1. 職位による身体的・精神的健康度の違い:仕事と家庭の特性からの説明

 一般に、職位(職場での階級)が高いほど身体的・精神的健康度が高いことが知られていますが、本研究ではこの違いを仕事および家庭の特性によって説明できるかどうかを明らかにすることを目的としました。
 日本の男性公務員について分析した結果、身体的健康度の低さは管理職と比較して一般職で1.93倍でしたが、これを仕事と家庭の特性で調整すると1.72倍に縮小しました。同様に、精神的健康度の低さは管理職と比較して一般職で1.88倍でしたが、これを仕事と家庭の特性で調整すると1.51倍に縮小しました。一方女性では、職位と身体的・精神的健康度の間に関連は見られませんでした。この結果から、日本の男性では、職位による身体的・精神的健康度の違いは仕事および家庭の特性によって部分的に説明できることが示されました。
 本研究では、仕事の特性として、裁量度(自分で決められること)、要求度(やらなければならないこと)、労働時間などについて調べました。また家庭の特性として、仕事による家庭生活への圧迫、家庭生活による仕事への圧迫などについて調べました。一般に、職位が高くなるほど仕事の裁量度、要求度、労働時間、仕事による家庭生活への圧迫が増えることが知られています。これらのうち裁量度以外は健康度を低下させる要因であるにもかかわらず、職位が高い人の健康度が高いのは、他の要因よりも裁量度が大きく影響し、裁量度の高さが健康度の高さにつながっていると考えられます。したがって、職場全体の健康度を高めるためには裁量権を部分的に現場に委譲することが有効ではないかと考えられます。

職位による身体的・精神的健康度の違い

管理職を基準としたときの、身体的・精神的健康度の低さ
職位I:管理職 職位II:中間管理職 職位III:一般職
出典:Sekine et al., Social Science & Medicine 2006.

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