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5. 身体的・精神的健康度の男女差:仕事と家庭の特性からの説明

 女性労働者よりも男性労働者の方が身体的・精神的健康度が高いことが知られていますが、本研究ではこの違いを仕事および家庭の特性によって説明できるかどうかを明らかにすることを目的としました。
 日本の公務員について分析した結果、身体的健康度の低さは男性と比較して女性で1.8倍でしたが、これを職位で調整すると1.68倍に、さらに仕事と家庭の特性で調整すると1.08倍に縮小しました。また、精神的健康度の低さは男性と比較して女性で1.77倍でしたが、これを職位で調整すると1.68倍に、さらに仕事と家庭の特性で調整すると0.96倍に縮小しました。この結果から、身体的・精神的健康度の男女差は、仕事と家庭の特性によって部分的に説明できることが示されました。
 本研究では、仕事の特性として、裁量度(自分で決められること)、要求度(やらなければならないこと)、支援度(周囲から助けてもらえること)、労働時間などについて調べました。また家庭の特性として、仕事による家庭生活への圧迫、家庭生活による仕事への圧迫などについて調べました。その結果、身体的健康度の男女差については仕事の特性と家庭の特性が同じくらい寄与していましたが、精神的健康度の男女差については家庭の特性の寄与が大きいことがわかりました。男性労働者は仕事に専念できるのに対し、女性労働者は家庭での役割が大きいため、仕事と家庭の両立に困難を感じているものと考えられます。身体的・精神的健康度の男女差を縮めるためには、上記のような要因を改善することが重要だと考えられます。

身体的健康度の男女差

男性を基準にしたときの、女性の健康度の低さ
出典:Sekine et al., Social Science & Medicine 2010.

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