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小児肥満と心臓自律神経活動目次へ

【目的】

肥満の子どもの5−10%に、高血圧、高脂血症、高血糖などの合併があるとの報告がある。こうした代謝の異常には、自律神経活動の異常を伴うことが成人では知られている。そこで、小学3年時の肥満と心臓自律神経活動を評価することを目的とした。

【方法】

平成10年12月〜平成11年3月に、児童と両親から同意の得られた16人(13.9%)を対象とした。自律神経活動の評価は、心電図の周波数解析をすることにより行なった。この方法では、心電図の周波数成分として、高周波成分(HF)と低周波成分(LF)が認められるが、高周波成分は副交感神経活動、低周波成分と高周波成分の比(LF/HF)は交感神経活動の指標とされる。

【結果】

肥満の児童の高周波成分は、非肥満の児童より低かったが、肥満の児童の低周波/高周波成分比は、非肥満の児童より高かった。

1)高周波成分

非肥満の男児の高周波成分は69.8%であったが、肥満の男児の高周波成分は54.2%と、非肥満の男児の高周波成分が高かった。(図:高周波成分

2)低周波/高周波成分比

非肥満の男児の低周波/高周波成分比は0.5%であったが、肥満の男児の低周波/高周波成分比は0.9%と、肥満の男児の低周波/高周波成分比が高かった。(図:低周波/高周波成分比

【考察】

肥満の子どもは、心臓交感神経の活動度が高く、副交感神経の活動度が低いことが示唆された。交感神経活動の亢進と副交感神経活動の低下は、成人では高血圧や糖尿病の患者において認められている。今回、小児期においても肥満の子どもは自律神経活動の変化が認められたことから、小児期からの肥満予防が重要であると考えられる。

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