出版物

運動器人間科学入門
―よりよく生きるための「からだ」と「こころ」の調和―

金森昌彦 著

新生出版 1260円(税込)
ISBN978-4-86128-308-6


2009年4月1日、教授就任と同時に新生出版(東京都千代田区)から出版させていただきました。よりよく生きるための「からだ」と「こころ」の調和という副題をつけさせていただきましたように、骨や関節という骨格、すなわち運動器というものを単に「からだ」のパーツとして考えるのではなく、心身の健康獲得のためのスイッチであり、第3の脳として位置づけたいと考えることが本書の主旨であります。そしてまた、これらを取り扱う医療においても、患者さんと医療者の考え方の隙間を埋め、意思疎通をしっかり行うことで、治療を考えていく必要があることを述べさせていただきました。近年の高齢化社会においての整形外科手術を含めた運動器治療の適応や、それに伴う本人、家族の「こころ」の在りようは千差万別ですが、簡単に考えすぎないように、いろいろなリスクも考えた上で医療者と患者さまの気持ちを共に一つにする手がかりを提示しています。医療者、患者様双方に読んでいただきたい運動器医療(手足の骨や関節、腰痛、頚部痛などの治療)の教養書籍です。サイドブックとしてのご使用をお勧めいたします。

部位別体位別 整形外科手術看護
わたしだけの書き込みマニュアル

金森昌彦 編集

南江堂 3150円(税込)
ISBN978-4-524-24087-6


2007年5月1日、南江堂(東京都文京区)から出版させていただきました。整形外科手術の介助をされる看護師さん向けに整形外科医と看護師が協力して執筆させていただいたものです。整形外科の手術は種類も多く、またその手術手技も煩雑であるばかりか、医師が代わると手術も大きく変化していくのが、どこの病院でも日常のことではないかと思います。こんな時にもそのコンセプトさえ把握できればよいのですが、なかなかそれに答える柔軟な解説書はありませんでした。この本の大きな特徴は「書き込み式」であるというワークブック形式の本でということです。多忙な看護師さんのご希望に耐えうるよう、あなたの病院の方法に関する追加メモを書き加えるだけで次の手術の手助けになります。メモ書きできる紙質を使用していますので、整形外科手術のときには一冊あると便利です。医療安全管理、看護と人間科学という項目にも触れています。この2年間で約1500冊が販売されました。ぜひあなたも使ってみてください。

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◆特許案内
ラミノブリッジ


ラミノブリッジとは―
腰椎手術に使用するために開発されたデバイスです。

腰部脊柱管狭窄症に対する腰椎手術の方法として椎弓切除術が行われます。これは椎弓を単に切除する手術なのですが、我々は棘突起を温存して腰椎椎弓切除術を行った後に、簡便に脊柱の後方要素の再建を可能とするデバイス(ラミノブリッジと命名)を作成して、これを生体内材料として用いています(図1参照)。通常の椎弓切除術では、術後の瘢痕形成による再狭窄や脊柱の支持性の損失を生じる可能性などがあり、これまでにも腰部脊柱管拡大術など工夫をされた後方除圧手術が行われてきました。しかし、侵襲を小さくするための工夫は逆に神経の除圧不足になり、症状の改善性に影響を及ぼす欠点が生じます。また金属ペデイクルスクリューとロッドシステムによる再建術は十分な脊柱管除圧と確実な固定力を提供してきたのですが、一方で、金属材料を用いることによる合併症(たとえば感染、金属の緩みや破損)も多く、かつ骨粗鬆が強い症例ではスクリュー挿入の安定力にも限界がありました。そこで、我々は金属材料を使用しないで、脊柱管の除圧後に脊柱の後方要素の再建が可能な人工椎弓デバイスを考案し、臨床使用しているのです。
椎弓切除を行うにあたり、棘突起を温存するために棘突起の左側のみ多裂筋を切離します。棘突起の基部を、こて曲がりノミを用いて切離後、開創器にて残した棘突起を筋肉ごと右側へ排除します。その後、通常の椎弓切除を行い、黄色靭帯の切除を行い、硬膜管の除圧を行います。そして、ラミノブリッジを設置して残した棘突起を縫着いたします。このデバイスは切除された椎弓の両側辺縁部分に跨がって設置できる形状であり、硬膜管を圧迫しないようなアーチ状の構造を持っています(図2参照)。素材はセラタイトにて作製されており、切除された椎弓縁および棘突起基部に癒合するように作成されております。セラタイトは骨との親和性も高く良好な骨癒合が得られます。縫合糸の締結にて固定させた後に、棘突起を戻します。ブリッジの部分には切除された椎弓の砕片を用いて最終的に自家骨とともに骨癒合が起こる工夫を加えます。このようにして椎弓切除後の後方要素の再建を行うことができるのです(図3参照)。手術後のCTでは脊柱管が拡大位で維持されて、棘突起が再建されていることが分かります(図4参照)。

-解説-
これまでにこのインプラントは、高分子ポリエチレン(HDP)、チタン、セラミック、ハイドロキシアパタイト(HA)などの生体材料を用いて、後方要素再建を目指したデバイス(ラミノブリッジ)の試作を繰り返してきました。最終的に最も適合した素材はセラタイトでした。このように神経に傷をつけず、脊柱後方要素再建の手段の一つとしてのデバイスが開発され、臨床応用が可能となりました。このデバイスはすでに商品化されており、誰でも御使用していただくことができます。

-文献-
金森昌彦ら. 椎弓切除後に棘突起再建が可能なデバイスの開発とその臨床応用. 
中部整災誌 2009;52:147-148.

-特許申請-

特許証:第3768508号
発明の名称:脊椎手術スペーサ
特許権者:セントラルメデイカル株式会社(石川県金沢市)
発明者:金森昌彦




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