2007年5月1日、南江堂(東京都文京区)から出版させていただきました。整形外科手術の介助をされる看護師さん向けに整形外科医と看護師が協力して執筆させていただいたものです。
整形外科の手術は種類も多く、またその手術手技も煩雑であるばかりか、医師が異なると手術も大きく変化していくのがどこの病院でも日常のことではないかと思います。こんな時にもそのコンセプトさえ把握できればよいのですが、なかなかそれに答える柔軟な解説書はありませんでした。
この本の大きな特徴は「書き込み式」であるというワークブック形式の本でということです。
多忙な看護師さんのご希望に耐えうるよう、あなたの病院の方法に関する追加メモを書き加えるだけで次の手術の手助けになります。メモ書きできる紙質を使用していますので、整形外科手術の時には一冊あると便利です。医療安全管理、看護と人間科学という項目にも触れています。
2009年4月1日、教授就任と同時に新生出版(東京都千代田区)から出版させていただきました。
よりよく生きるための「からだ」と「こころ」の調和という副題をつけさせていただきましたように、骨や関節という骨格、すなわち運動器というものを単に「からだ」のパーツとして考えるのではなく、心身の健康獲得のためのスイッチであり、第3の脳として位置づけたいと考えることが本書の主旨であります。そしてまた、これらを取り扱う医療においても、患者さんと医療者の考え方の隙間を埋め、意思疎通をしっかり行うことで、治療を考えていく必要があることを述べさせていただきました。
近年の高齢化社会においての整形外科手術を含めた運動器治療の適応や、それに伴う本人、家族の「こころ」の在りようは千差万別ですが、簡単に考えすぎないように、いろいろなリスクも考えた上で医療者と患者さまの気持ちを共に一つにする手がかりを提示しています。
医療者、患者様双方に読んでいただきたい運動器医療(手足の骨や関節、腰痛、頚部痛などの治療)の教養書籍です。
本書は看護学生に向けての医療学・疾病学の入門書です。
医学・看護学の基礎を学ぶために、まず、その歴史を振り返ってみましょう。呪術や宗教から始まった医学・医療は、現代に至りサイエンスとして理解されるようになりましたが、病める患者さんに向かう時、それはサイエンスだけではどうにもできない壁にぶち当たります。
同じ人間に対して医療者は何ができるか?どれだけ医学・医療が進んでも助けることができない患者さんはたくさんおられます。もちろん人間の生命には限りあるわけで、「いかに生きるか」という希望は「いかに死に至るのか」という不安と同じことです。また「医療安全」とは医療が危険であることを示していますし、「疾病の完全治癒」という期待にも「治癒できない」という現実があります。
やはり医療は不確実です。不確実であるからこそ、医療者は真摯に患者さんと向かい合い、医療技術、医療倫理(バイオエシックス)、医療安全の3つの面を忘れずに臨床の現場でご活躍いただきたい。患者さんに向かい合った時に必要な「からだ」「こころ」「くらし」という3つの面を考える人間科学の視点を学んで下さい。患者さんに限らず、様々な人間関係においても、この3つの視点はコミュニケーションのコツではないでしょうか?
疾病の成り立ちを理解して治療する、入院患者さんのケアはもちろん大事ですが、世界で最も長寿な超高齢化社会となった日本において、患者さんが自宅生活の中でどのような不自由があるかという生活機能にも視点を移してみましょう。そうすると医療者はもはや病院の中だけで活躍するのではなく、もっと社会に出て、行政にも関与していかなければならないことに気付くと思います。今後ますます高齢化していくこの日本社会を支援できる医療者になっていただきたいと心から思うのです。
看護学を学び始める基礎学習において、医学概論から始まり、疾病の成り立ち、そして生活機能までを考えるために、本書が少しでもお力添えできれば大変光栄です。
骨肉腫の治療研究をする中で、サイクリックAMPという物質に縁があり、その誘導体が棗(なつめ)に多く含まれていることを知るには長い年月を経ました。しかし、棗を育てる会社が北陸地方にあることを知り、新たな展開を得たのです。そして医学研究者だけでなく、多職種の多くの人がここに集まり、それぞれの立場で、棗にアプローチし始め、棗の研究会が発足しました。
成り行き上ではありますが、私がこの研究会の会長になり、まさになつめ研究の入り口に立ったと言えます。
そこで会員の考え方やアプローチ、あるいは歴史的、文化的な流れについても、俯瞰しておきたいと考え、ここに入門書なるものを上梓させていただくことに至りました。
この書籍は電子書籍にもなっており、いつでもお読みいただくことができます。
人間科学講座を担当するようになってからのこの10年間で、私は教育の基本は「何かを語る前に、もっと知ること」が大切であると繰り返し感じてきました。
整形外科医時代を振り返ってみれば、骨腫瘍について私は多くの経験をさせていただきながら、未だに核心のない原点にいるような気もするし、自分が学んだことを先輩後輩の皆様に伝えきれていない気もします。
そこで自分たちの経験をフットマークとして残さなければいけないという責務の中で、安田剛敏講師、鈴木賀代先生と共に本書を執筆させていただくことにしました。
骨軟部腫瘍グループ半生の記憶と記録から若い整形外科医に伝えたいと思って書いた本です。