診療看護師(Nurse practioner;NP)コースについて
2023年春に、私の前任者である金森昌彦先生がこのコースを立ち上げられ、同年に3名、翌2024年には2名の看護師が入学し、入学者は順調にカリキュラムを終え、2026年3月に初めての卒業生を輩出する予定です。本学NPの教育は、人間科学講座が中心となり行っておりますが、他に多くの看護学科・医学科の教員、富山大学附属病院の医師・看護師の協力を得て行われております。
診療看護師(NP)とは
5年以上の実務経験を積んだ看護職が、看護系の大学院で2年以上の教育を受け、比較的安定した状態にある患者に対して、医師と協働して作成したプロトコール内で自律的に(自らの判断)タイムリーに絶対的医行為を除く診療行為を提供できる新しい看護の人材です。米国ではNPが医師と独立して患者に自律的にプライマリケアを提供する事が可能ですが、我が国では、まだNPに関しての国家資格は存在せず、その役割に関して検討が行われております。
本学のカリキュラムについて
本学のNPコースには、急性期領域(クリテイカル・ケア領域)の特定行為を学ぶコースと慢性期領域(プライマリ・ケア領域)の特定行為を学ぶコースの二種類が有りますが、前者は、12区分20行為、後者は7区分12行為に関する特定行為研修が受講可能です。又、厚生労働省の特定行為に係る看護師の研修制度において、上記の二つのコースを合わせた14区分、22行為の特定行為研修を行う研修機関として本学大学院は認定されています。
大学院は基本3年間の修学期間を要します。
1年目;臨床推論・診察方法・疾患・薬物治療について学ぶ授業や、特定行為に関する基礎知識について学ぶ授業(主にe-ラーニング、一部対面式)が有ります。又、実習を行う前のシミュレーター、ペーパーペイシェントを用いた演習、OSCEなどを中心に行います。
1年目の終わり頃から~2年目の一年間は、附属病院での特定行為研修が中心になります。
3年目は、主に修士号(看護学)取得のための研究、診療看護師(NP)認定試験に向けた自己学習が中心になります。
どの学年においても週に2~3日程度の授業、実習のため、勤務を継続しながら修学する事は十分可能です。
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特定行為区分名 |
特定行為名 |
慢性期領域 |
急性期領域 |
1 |
呼吸器(気道確保に係るもの)関連 |
経口(鼻)気管チューブの位置の調整 |
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● |
2 |
呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連 |
侵襲的陽圧換気の設定の変更
非侵襲的陽圧換気の設定の変更
人工呼吸管理中の鎮静剤投与の調整
人工呼吸器から離脱 |
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3 |
呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)関連 |
気管カニューレの交換 |
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4 |
ろう孔管理関連 |
胃(腸)瘻カテーテル・胃瘻ボタンの交換 |
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5 |
栄養に係るカテーテル管理 |
中心静脈カテーテルの抜去 |
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6 |
創傷管理関連 |
褥瘡・血流のない壊死組織の除去 |
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7 |
創部ドレーン管理関連 |
創部ドレーンの抜去 |
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● |
8 |
動脈血液ガス分析関連 |
直接動脈穿刺による採血 |
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9 |
透析管理関連 |
急性血液浄化療法における血液透析 |
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10 |
栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連 |
持続点滴中の高カロリー輸液投与量の調整
脱水症状があるものに対する輸液補正 |
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11 |
感染に係る管理関連 |
感染徴候がある者に対する薬剤の臨時投与 |
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● |
12 |
血糖コントロールに係る薬剤投与関連 |
インスリン投与量の調整 |
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13 |
術後疼痛管理関連 |
硬膜外カテーテルによる鎮痛剤投与量関連 |
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14 |
循環動態に係る薬剤投与関連 |
持続点滴中のカテコラミン投与量の調整 持続点滴中のNa, K, Cl投与量の調整
持続点滴中の降圧剤投与量の調整
持続点滴中の糖質輸液・電解質輸液投与量
持続点滴中の利尿剤投与量の調整 |
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区分数 |
7区分 |
12区分 |
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行為数 |
12行為 |
20行為 |
実習については、基本的に、富山大学附属病院で行いますが、症例が経験出来にくい一部の特定行為研修については、外部の関連病院に依頼し実習を行っております。上記の特定行為研修を終え、修了証が授与されれば臨床の現場で特定行為を行う事が可能になります。
富山大学大学院NPコースの特長
- 働きながらNP資格を取得可能
- 北陸では唯一NPコースを有する大学院
- 修士の資格を取得可能
- 近隣の県からも通学可能。
- 急性期領域、慢性期領域の二種のコースから選択可能
- 入学定員は2(~3)名
取得学位および認定資格
- 修士号(看護学)
- 特定行為研修修了証
- 診療看護師(NP)認定試験受験資格
診療看護師(NP)を目指したい、北陸で看護・医療の学びを深めたい、修士号を取得したい、特定行為研修を受講したい、そのような看護師の方々の入学を大歓迎致します。
お問い合わせ先)
人間科学講座 岩田 実 TEL; 076-434-7784 E-mail; ningen1@med.u-toyama.ac.jp