セリン合成酵素PHGDHの脂肪細胞特異的ノックアウトマウスに関する論文がBBRCにオンラインでPublishされました。

セリンは非必須アミノの一つであり、生体内では解糖系の中間体である3-ホスホグリセリン酸からNADを補酵素として合成されます。PHDGHは神経系に強く発現していることが知られており、D-セリン量の調節を介して神経機能の制御に深くかかっていると考えられています。興味深いことに、PHDGHは脂肪組織にも非常に強い発現が見られていましたが、その機能については不明でした。そこでPHGDHの脂肪細胞特異的ノックアウトを作成し、その生理的機能について検討を行いました。このマウスは脂肪細胞の分化などには特に異常を認めず、通常食を与えている際は特に目立ったフェノタイプは見られませんでした。しかしながら、高脂肪高ショ糖食により肥満を誘導した際には、野生型マウスと比較し耐糖能の有意な改善を認めました。また、野生型マウスにセリン欠乏食を与えた際も同様の結果が得らました。以上の結果から、セリン代謝は糖尿病治療の新たな標的となる可能性が示唆されました。

PubMedリンク
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30180949

2018年09月08日