NADアナログであるNGD、NHDの生体内代謝・機能に関する論文がScientific ReportsにオンラインでPublishされました。

Yaku K, Okabe K, Gulshan M, Takatsu K, Okamoto H, Nakagawa T*. Metabolism and biochemical properties of nicotinamide adenine dinucleotide (NAD) analogs, nicotinamide guanine dinucleotide (NGD) and nicotinamide hypoxanthine dinucleotide (NHD). Sci Rep.9(1): 13102. (2019)


NGD (Nicotinamide guanine dinucleotide)、NHD (Nicotinamide hypoxantihine dinucleotide) はNAD (Nicotinamide adenine dinucleotide) のアデニン塩基部分が、それぞれグアニン塩基、ヒポキサンチン塩基に置き換わったNADアナログです。こららの化学物質としての存在は古くから知られていましたが、果たして生体内に本当に存在するのかは今まで不明でした。私たちは、高分解能質量分析計Orbitrapを用いて、NGD、NHDの高感度・特異的な測定法を開発し、生体内にも微量ながらNGD、NHDが存在することを明らかにしました。また、NAD合成酵素Nmnat3やNAD分解酵素CD38が、NGDやNHDの生体内代謝に関わっていることもノックアウトマウスを使って明らかにしました。一方で、NGD、NHDの機能についてはin vitroの解析からは、NGD、NHDともに補酵素としては働くものの、NADを基質とする脱アセチル化酵素SirtuinやADPリボシル化酵素PARPの基質とはなり得ないことが解りました。生体内におけるNGD、NHDの機能についてはまだ解っていませんが、今後私たちの開発した測定系やノックアウトマウスの解析を用いることで明らかにしていきたいと思います。



Scientific Reports誌サイト上の本論文へのリンク
https://www.nature.com/articles/s41598-019-49547-6

2019年09月11日