環境

02:女性の働きやすさ富山のママは、
今日も元気です。

座談会メンバー

  • 伊藤実香

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  • 田中智子

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  • 米田徳子

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  • 津田さやか

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「ちょっと何あれ」と言われる保育所。

ー富山大学産婦人科は、女性医師の割合が半数を超えています。なにか秘密があるのでしょうか?

伊藤:子育てしながら働く環境として、富山大学には保育園と病児保育があることが圧倒的に便利だよね。本当に助かってます。

田中:大学の敷地内に保育所があるんですよ。病院の目の前に。「富山大学付属病院保育所」っていう。

伊藤:夫婦のどちらかが附属病院の職員だと入れるんですよ。

米田:定員が40人でね。最初は30人だったけど人気が高くて入れない人が出てきたから、増やしてくれたんです。

伊藤:そうそう。すごく親切な感じで。

津田:保育園の先生たちは迎えに行くのがちょっと遅くなっても、ちっとも嫌な顔しないんです。臨機応変に対応してくれて助かってます。

伊藤:保護者会もなくって、親の負担が少ないよ。しかもすっごく安い。補助金がでてるので。富山市の保育所にいくより全然安い。周りからも「何なの?ずるい!」っていわれてます(笑)。

米田:夏休みは学童もやってくれてるよね。補助金のお陰で保険料の200円だけっていう安さで。杉谷キャンパスで1週間、五福キャンパスで2週間。

伊藤:五福は理学部とかがあるから、子供たちに実験をやらせてくれたりもするんだよ。

米田:何かを作ってみようってお題を出して、色々体験させてくれるんです。本学でやる時は色々な学部があるから、色々な先生が来てくれて。

一同:ありがたいよね?。

同僚は、ママ友です。

ー結婚や出産を機に、仕事を続けるか迷ったことはありますか?

伊藤:ないな~。

津田:やめようと思ったことはないですね。

田中:私もないですね。ここの医局の良いところは、仕事と家庭を両立してるロールモデルがたくさんいることだと思います。先輩たちの姿をみて「子供産んでも続けられるんだ!」って思えるでしょ。

津田:そうだね。よその県に行った同級生は、子供産んでからも仕事続けてる人がいないんですよ。周りにそういう人がいないからなのかな。

米田:子供産んだら、もう戦力として期待されてないのかも。

津田:でもこの医局だったら、みんなやれると思ってるし、そういうものだと思ってる(笑)。

伊藤:おかげで職場では、ママ友トークばっかり(笑)。

津田:子育て情報はなんでもここで仕入れられます。

田中:お下がりも貰える(笑)。

米田:もはや産婦人科とか関係なく、普通のママ友だよね。

ー当直のときなど、家事の分担はどうしていますか?

田中:うちの旦那は当直が少ないから、家のことは結構やってもらってます。まあ、それでも旦那がオーケーだから問題ないし、子供産まれた時からずっとそんな感じですね。

伊藤:テレビのCMみてても、お母さんが子供連れて帰ってきたらお父さんが台所に立ってる、とか、そういうのありますもんね。

田中:まさにうちがそうです(笑)。

津田:「家のことは女」って考え方がもう古いんでしょうね。

米田:うちの夫は家の事なんもできない人だったんですよ。ご飯も作れなくていつもコンビニ弁当。だけど今やだいぶ変わりましたね。いろいろ家のことやってくれるようになりました。

伊藤:すごいね。あとは両親が近くに住んでるかどうかでもだいぶ変わるよね。それぞれの事情にあった生活スタイルになればいいんだよね。

田中:保育園のお迎えはどうしてるんですか?

米田:その日に行ける人が行くって感じですね。私の場合は夫がいつも水曜日が外病院の当直なので、水曜日は絶対いけないし。ここの当直も不定期に入っていますし。当直の回数で言ったら旦那の方が少し多いかな。

伊藤:夫婦で職場が同じだから良いこともあるよね。

米田:そうだね。子供が熱出して、私が看病した方が良いなって時に代わってくれたりするから。

田中:お互い融通がきいて便利だし、仕事や研究の話とかもできますよね。

子育ては続く、どこまでも。

ー子育ては、楽しめていますか?

米田:夫婦で楽しんでやってますよ。まさか旦那が子供好きな人とは思わなかったので驚いてます。

伊藤:私もいろいろ変わったな?。他の子供もかわいがれるようになった気がする。今までは小さい子がいても、なんて声かければ良いかわからなかったけど。

田中:私は最近、子供と意思疎通できるようになってきて楽しいです。反抗期はこわいけど(笑)。

米田:思春期とかもそのうちやってくるんだよね、こわいなあ(笑)。

伊藤:ロールモデルの話に戻すと、今の医局に小学5年生よりも上の子供がいる人がいないんだよね。

田中:私たちの上の先生たちが、そういう風に働けなかったから。

米田:やめちゃった人はいないけど、みんな当直がない外来だけの病院とかに就職していったね。

伊藤:だから中学生・高校生を育てながらモリモリ働けるかってことは、まだわからないんです。子供が思春期になった時に、この働き方でやっていけるかっていうロールモデルは、これからなので。

米田:思春期の時に親が働いてばっかりで家にいなかったら、ひねくれちゃったりするかもしれないよね。どっちかが家にいるようにしないといけなくなるかもしれない。

津田:グレて悪いことしはじめたら嫌ですね。

伊藤:あとは駅まで送り迎えしなくちゃいけなくなると思う。行った高校によっては、朝駅まで送って、帰りは駅から拾って来るみたいな。そうじゃないと雪道を自転車で5キロ走るはめになっちゃうとかね(笑)。なんとなく近所の人たちも中高の子供がいる人たちは、身動きが取れてないように見えるんですよ。部活に送って、試合に送って、友達の家に送って、車で送らないと子供が移動できない。ある意味地方の悩みかもしれないですね。

米田:どうなるんだろうな。

津田:まだまだ子育ては続くってことかあ・・・。

田中:先は長いですね。

ボスが、ママの強い味方。

ー女性医師の労働環境について、斎藤先生の方針はあるのですか?

米田:最初の方はみんな「子供産んだら、パートでええんちゃうか」って雰囲気だったよね。それまでは産んでから戻ったとしても特別配慮されるってことはなかったから、男性の先生と同じくらい当直もしてましたよ。それが大変で当直のない病院に行っちゃう先生が多かったと思います。そんな状況から「保育所をつくろう」と働きかけたのが斎藤先生なんですよ。

伊藤:先見の明があるよね。

津田:産後ケア施設も斎藤先生からでしたよね。

米田:あとは完全主治医制じゃなくなったのが大きいよね。2008年くらいかな。

伊藤:その時はもっと人が少なかったんですよ。当直の回数も増えるから結構反対もありました。でも、やらないと産婦人科に入る人が誰もいなくなってしまうから、「やるしかない!」って。切実だったね。

米田:完全当直制になってから、17時半で帰ってよくなりましたよ。昔は、昼間入院してきた人がいたら、産まれるまで帰れなかったよね。お産とってから帰ってたので。

田中:斎藤先生は、流れを掴む力がすごいと思います。

津田:先頭に立つにはどう動けばいいかってことがわかってるんでしょうね。

米田:斎藤先生自ら、文部科学省とかからお金を集めてきてくれて保育園ができたんです。病児保育もそのお金でつくって。保育園が安いのもそのおかげなんですよ。斎藤先生が作った仕組みと、サポートしあえる医局の雰囲気。この2つがあるからこそ今の状況があるんだと思います。