この度，富山大学医学部法医学講座内に，「富山大学法医ブレインリサーチリソースセンター (THBRC)」を設立いたしました。 THBRCは，死因究明のための神経病理学的診断が終了した法医解剖例につき，死者に敬意を払いつつ個人情報を完全に秘匿した状態でTHBRCに登録し，難治性の中枢神経疾患(先天性疾患，脳卒中，脳腫瘍，神経変性疾患）や重症頭部外傷，原因不明の突然死，精神疾患，自殺などの基礎研究資料の蓄積を進め，国内外他施設との共同研究を含めた神経病理学的研究を遂行していくことを目的として設立いたします。

神経疾患の診断，研究に関して剖検脳を用いた神経病理学的検索は重要な役割を果たしています。治療法開発を目指した病因，病態解明においては疾患，損傷例のみならず，健常例との対比が不可欠であることから，健常例から疾患例まで幅広く含まれる法医解剖例の検索は，当該分野の研究発展に大きく貢献し得ると考えられます。法医解剖例を用いたブレインリサーチリソースセンターの設立は世界に例をみないものであり，本センター内および国内外の研究施設との共同研究により，病態，治療法が解明されていない神経変性疾患，精神疾患，重症脳卒中，頭部外傷，脳腫瘍などに関連した基礎研究が大いに進捗することが期待されます。

本センターは解剖されたご遺族の皆様の理解の上に成り立っております。個人情報の秘匿に十分に留意した上で，慎重かつ適切に運営して参る所存ですし，ご遺族が研究参加を望まない場合にはセンター症例への登録は行いません。詳細は「趣意書」および「富山大学法医ブレインリソースセンター（THBRC）の留意事項」をご参照下さい。本センターの運営にあたり，皆様のご理解，ご協力を賜りますよう，心よりお願い申し上げます。

なお、共同研究をご希望の方は、下部にリンクを設けました「リソース利用申請書」に必要事項を記入していただき、下記の共同研究問合わせ先のアドレスにメールしてください。また、検体利用申請にあたっての留意事項は「資料提供者連絡書」をご確認ください。

教授　西田 尚樹