リウマチ・膠原病 研究紹介

研究テーマ

  1. 関節リウマチと抗CCP抗体の真の抗原探索(津田玲奈) 
  2. 膠原病関連間質性肺炎における自己抗体の関与(奥村麻衣子) 
  3. Sirt1が関節炎発症に及ぼす影響(科学研究費 若手研究B、研究課題番号:25860807、朴木博幸)
  4. 関節炎モデルマウスにおけるCD206陽性M2マクロファージの役割の検討(科学研究費、基盤研究C、研究課題番号:15K09523、篠田晃一郎)

研究詳細

  1. 関節リウマチと抗CCP抗体の真の抗原探索(津田玲奈)

    <研究のあらまし>

    関節リウマチは、何らかの原因により体の中で異常な免疫反応が起こり関節に炎症を起こす病気です。
    多くの関節リウマチの方の血液中には抗CCP抗体(抗環状シトルリン化ペプチド抗体)という自己抗体があって、これが関節リウマチの発病と深く関わっていることがわかっています。
    この抗CCP抗体には、相手となる抗原というものが体の中に存在しています。しかし、この抗CCP抗体の相手である抗原(タンパク質)が、何なのかということについては、まだあまりよく分かっていませんでした。
    そこで私たちは、抗CCP抗体陽性の患者さんの血液中のリンパ球(白血球の一種)から、抗CCP抗体を作る細胞を取り出して、どのようなタンパク質と結合するのかを調べてみました。

<実験の流れ>
  • (1)抗体の取得:患者さんのリンパ球から、抗CCP抗体を産生しているリンパ球だけを回収し、抗CCP抗体の遺伝子DNAを取り出します。
  • (2)エピトープの探索:あらかじめ抗CP抗体と結合することがわかっている人工タンパクのアミノ酸配列を使って、特にどの部分のアミノ酸が抗体との結合に重要なのかを調べました。この結合に必須の配列をエピトープと呼びます。
  • (3)タンパクの検索と合成:探索したエピトープに似た配列を持つタンパク質をデータベースで検索しました。それらのうち作製可能な数種類のタンパク質を選び、人工的に合成しました。
  • (4)抗原と抗体の結合の確認:合成したタンパク質をシトルリン化し、精製した抗CCP抗体と結合するかをELISA法、ウエスタンブロット法という検査法を用いて確認しました。
<研究の結果>

今回患者さんのリンパ球から取り出した抗CCP抗体は、人間の体の中にもともと存在するタンパク質だけでなく、広く自然界に存在する細菌、ウイルス、真菌(カビ)、植物などのさまざまな生物に含まれるタンパク質と結合することがわかりました。実際に実験で確認したのは20種類程度ですが、似たような並び方をしたタンパク質はデータベースで調べたところ3000種以上あり、おそらく同じように抗原となることが予想されています。
この結果は、「自然界に存在する様々なものが鼻や口などから体の中に入り、それらが体の中でシトルリン化という変化を受けて抗原となり、抗CCP抗体が作られる引き金となることで関節リウマチの発病を誘導している」可能性を示しています。
なお、この研究成果は、Arthritis and Rheumatology (IF7.871)へアクセプトされました(http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/art.39161/abstract)。

  1. 膠原病関連間質性肺炎における自己抗体の関与(奥村麻衣子)
    現在進行中。

  2. Sirt1が関節炎発症に及ぼす影響
    関節リウマチは持続的な関節局所の慢性炎症により疼痛や関節構造の破壊を引き起こし、生活の質の低下や平均寿命の短縮をきたします。
    中でも関節滑膜局所にいる白血球の一種であるマクロファージは種々の炎症性の物質を産生し、さらに破骨細胞への分化誘導刺激を受け関節局所の構造破壊の主たる原因となります。
    Sirt1 遺伝子は個体では長寿遺伝子として働きますが、マクロファージに対しては炎症を抑える方向に働くとれます。そこで我々はマクロファージ特異的にSirt1遺伝子が欠損したマウス(ノックアウトマウス)と正常なマウス(野生型マウス)を用いて、関節リウマチの骨破壊に重要な役割を果たす破骨細胞の分化誘導に関して検討することを着想しました。
    リウマチ・膠原病研究紹介(図1)

その結果、図1の如く野生型と比べ、ノックアウトマウスからの方が破骨細胞はより多く分化誘導されました。
このことからSirt1遺伝子の機能が欠損、ないしは低下すると、関節破壊に重要な役割を果たす破骨細胞が増加し、結果として関節リウマチの骨破壊が進行する可能性が示唆されました。


  1. 関節炎モデルマウスにおけるCD206陽性M2マクロファージの役割の検討
    現在進行中。

主なリウマチ・膠原病グループの研究業績

原 著

  1. 高邑小百合,篠田晃一郎,多喜博文.関節リウマチ外来患者の満足度と関連因子.臨床リウマチ.2020 Mar 1;32(1): 21-29. doi: 10.14961/cra.32.21.
  2. 浅野諒子,多喜博文,戸邉一之,伊藤 聡,東谷佳奈,中園 清,村澤 章,石川 肇,小林大介,長谷川絵理子,成田一衛.自己免疫疾患患者における,アログリプチンのステロイド糖尿病への有用性ならびに安全性の検討(Efficacy and safety of alogliptin for glucocorticoid-induced hyperglycemia in patients with autoimmune-diseases: A retrospective analysis). 臨床リウマチ.2020 Mar 1; 32(1): 35-47. doi: 10.14961/cra.32.35.
  3. Katakami N, Mita T, Yoshii H, Shiraiwa T, Yasuda T, Okada Y, Torimoto K, Umayahara Y, Kaneto H, Osonoi T, Yamamoto T, Kuribayashi N, Maeda K, Yokoyama H, Kosugi K, Ohtoshi K, Hayashi I, Sumitani S, Tsugawa M, Ryomoto K, Taki H, Nakamura T, Kawashima S, Sato Y, Watada H, Shimomura I; UTOPIA study investigators. Tofogliflozin does not delay progression of carotid atherosclerosis in patients with type 2 diabetes: a prospective, randomized, open-label, parallel-group comparative study. Cardiovasc Diabetol. 2020 Jul 9; 19(1): 110. doi: 10.1186/s12933-020-01079-4.
  4. Muromoto J, Murotsuki J, Miyashita S, Hasegawa H, Taki H, Kanai H, Yaegashi N. Ultrasound measurement of fetal arterial pulse pressure using phased-tracking methods: A phantom study and clinical experience with antenatal corticosteroid therapy. J Obstet Gynaecol Res. 2020 Oct; 46(10): 1994-2001. doi: 10.1111/jog.14402.

学会報告

  1. 木戸敏喜,三原 弘,豆本真理恵,堀田麻緒,村山大輔,木工達也,福田晋平,渡辺一海,清 洋介,山城清二.保健医療福祉資格に共通して求められる基礎コンピテンシーに基づいた多職種連携教育プログラム実施報告.第52回日本医学教育学会大会;2020 Jul 18-Oct 17;鹿児島.木戸 敏喜, 篠田 晃一郎, 川高 正聖, 杉下 尚徳, 山崎 美帆, 浅野 諒子, 津田 玲奈, 朴木 博幸, 多喜 博文, 戸邉 一之.当施設における抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎の臨床経験.第64回日本リウマチ学会;2020 Aug 17-31;東京.
  2. 杉下尚徳,津田玲奈,山崎美帆,川高正聖,浅野諒子,木戸敏喜,朴木博幸,篠田晃一郎,多喜博文,戸邉一之.腰椎椎間関節のピロリン酸カルシウム結晶沈着症(CPPD)を合併したSAPHO症候群の一例.第64回日本リウマチ学会;2020 Aug 17-31;東京.
  3. 浅野諒子,津田玲奈,杉下尚徳,川高正聖,山崎美帆,木戸敏喜,朴木博幸,篠田晃一郎,多喜博文,松井祥子,戸邉一之.EtanerceptからCertolizumab-pegolに治療変更後にサルコイドーシスを発症した関節リウマチ症例.第64回日本リウマチ学会;2020 Aug 17-31;東京.
  4. 小野瀬崇文,津田玲奈,杉下尚徳,山崎美帆,川高正聖,浅野諒子,木戸敏喜,朴木博幸,篠田晃一郎,多喜博文,戸邉一之.SLEとLupus腎炎に血栓性微小血管障害症を合併した一例.第64回日本リウマチ学会;2020 Aug 17-31;東京.
  5. 小檜山 葵,木戸敏喜,小野瀬崇文,山崎美帆,杉下尚徳,浅野諒子,朴木博幸,篠田晃一郎,多喜博文,戸邉一之.発症時ごく軽微な胸部画像所見を呈し,急激な転帰で死亡した抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎の一例.第64回日本リウマチ学会;2020 Aug 17-31;東京.
  6. 渡辺哲郎,藤永 洋,山口智史,引網宏彰,高橋宏三.リウマチ性多発筋痛症の長期経過中に胸部大動脈瘤が発覚した1例.第64回日本リウマチ学会;2020 Aug 17-31;東京.
  7. 藤永 洋,渡辺哲郎,山口智史,引網宏彰,高橋宏三.関節リウマチに対してアバタセプト投与中にIgG4関連硬化性胆管炎を発症した1例.第64回日本リウマチ学会;2020 Aug 17-31;東京.
  8. 木戸敏喜,松井祥子,小檜山 葵,山崎美帆,津田怜奈,篠田晃一郎,戸邉一之,内田佳介,江石義信.血清可溶性IL-2受容体高値を伴う全身性サルコイドーシスの一例.第40回日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会;2020 Oct 30-31;大阪.
  9. 篠田晃一郎,朴木博幸,津田玲奈,多喜博文,戸邉一之.全身性エリテマトーデスに伴う肺動脈性肺高血圧症の長期経過.第63回日本リウマチ学会総会・学術集会;2019 Apr 15-17;京都.
  10. 奥村麻衣子,多喜博文,篠田晃一郎,朴木博幸,津田玲奈,戸邉一之.ISAAC法にて得たヒトモノクローナル抗Ro52抗体によるシェーグレン症候群患者の口唇組織の免疫染色.第63回日本リウマチ学会総会・学術集会;2019 Apr 15-17;京都.
  11. 木戸敏喜,朴木博幸,小野瀬崇文,杉下尚徳,山﨑美帆,浅野諒子,津田玲奈,篠田晃一郎,多喜博文,戸邉一之.抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎の予後に関与する因子に関する検討.第63回日本リウマチ学会総会・学術集会;2019 Apr 15-17;京都.
  12. 浅野諒子,朴木博幸,小野瀬崇文,杉下尚徳,山﨑美帆,木戸敏喜,松井 篤,津田玲奈,篠田晃一郎,多喜博文,戸邉一之.多発血管炎性肉芽腫症におけるrituximab induced acute hrombocytopenia(RIAT)の一例.第63回日本リウマチ学会総会・学術集会;2019 Apr 15-17;京都.
  13. 山﨑美帆,津田玲奈,小野瀬崇文,杉下尚徳,浅野諒子,木戸敏喜,朴木博幸,篠田晃一郎,多喜博文,戸邉一之.下腿の蜂窩織炎様皮疹と筋痛で発症した結節性多発動脈炎の一例.第63回日本リウマチ学会総会・学術集会;2019 Apr 15-17;京都.
  14. 川高正聖,朴木博幸,山﨑美帆,浅野諒子,奥村麻衣子,山口智史,篠田晃一郎,多喜博文,戸邉一之.皮膚血管炎,胸鎖関節炎を中心とした多関節炎に対しプレドニゾロン導入も治療に難渋した化膿性関節炎の一例.第63回日本リウマチ学会総会・学術集会;2019 Apr 15-17;京都.
  15. 杉下尚徳,朴木博幸,小野瀬崇文,山﨑美帆,浅野諒子,木戸敏喜,松井 篤,津田玲奈,篠田晃一郎,多喜博文,戸邉一之.血漿交換とリツキシマブにより寛解導入に至ったMPO-ANCA・抗基底膜抗体共陽性急速進行性糸球体腎炎の一例.第63回日本リウマチ学会総会・学術集会;2019 Apr 15-17;京都.
  16. 小野瀬崇文,津田玲奈,杉下尚徳,山﨑美帆,浅野諒子,木戸敏喜,朴木博幸,篠田晃一郎,多喜博文,戸邉一之.混合性結合組織病の経過中に肺高血圧症の増悪を来した一例.第63回日本リウマチ学会総会・学術集会;2019 Apr 15-17;京都.
  17. 元村 拓,松下 功,平岩利仁,村山隆司,中崎 聡,加藤真一,藤永 洋,渡辺哲郎,髙木治樹,北折俊之,多喜博文,篠田晃一郎,木村友厚.アバタセプト投与患者におけるメトトレキサート併用中止症例の臨床成績−多施設共同研究FIT-RA registryを用いた解析−.第63回日本リウマチ学会総会・学術集会;2019 Apr 15-17;京都.
  18. 庭本崇史,半田知宏,松井祥子,山本 洋,吉藤 元,児玉裕三,千葉 勉,妹尾 浩,三森経世,平井豊博.罹患臓器パターンによるIgG4関連疾患の病型分類.第116回日本内科学会講演会;2019 Apr 26-28;名古屋.
  19. 浅野諒子,伊藤 聡,小林大介,長谷川絵理子,中園 清,村澤 章,成田一衛,多喜博文,戸邉一之,石川 肇.アログリプチンのステロイド糖尿病への有用性ならびに関節リウマチでの関節炎への影響の検討.第116回日本内科学会講演会;2019 Apr 26-28;名古屋.
  20. 松井祥子,篠田晃一郎,岡澤成祐,徳井宏太郎,神原健太,今西信吾,林 加奈,勢藤善大,猪又峰彦,多喜博文,戸邉一之.IgG4関連呼吸器疾患の傍椎体病変.第28回日本シェーグレン症候群学会学術集会;2019 Sep 13-14;徳島.
  21. 浅野諒子,篠田晃一郎,多喜博文,戸邉一之,小林茂人.末梢関節炎で発症し,腹部リンパ節腫脹と仙腸関節炎から反応性関節炎が疑われた一例.第29回日本脊椎関節炎学会;2019 Sep 14-15;大阪.
  22. 浅野諒子.緩徐進行の多発単神経炎に対しシクロフォスファミドを用いた全身性エリテマトーデス・シェーグレン症候群合併の一例.第31回中部リウマチ学会;2019 Sep 27-28;新潟.
  23. 山崎美帆.ガス壊疽との鑑別を要する米粒体形成を認めた関節リウマチ(RA)の2例.第31回中部リウマチ学会;2019 Sep 27-28;新潟.
  24. 木戸敏喜.器質化肺炎とともに関節リウマチを発症した一症例.第31回中部リウマチ学会;2019 Sep 27-28;新潟.
  25. 小野瀬崇文.関節リウマチの治療中に薬剤性間質性肺炎を発症した一例+B86:K86A86:K86. 第31回中部リウマチ学会;2019 Sep 27-28;新潟.
  26. 川高正聖.壊死性強膜炎が先行し皮膚病理所見により診断に至った多発血管炎性肉芽腫症の1例.第31回中部リウマチ学会;2019 Sep 27-28;新潟.
  27. 四十万谷朱里.びまん性肺胞出血を伴う顕微鏡的多発血管炎に対し体外式膜型人工肺(ECMO)を使用して救命に至った一例.第31回中部リウマチ学会;2019 Sep 27-28;新潟.
  28. 杉下尚徳.感染性大動脈瘤と高安動脈炎の鑑別に苦慮した解離性大動脈瘤の一例.第31回中部リウマチ学会;2019 Sep 27-28;新潟.

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