循環器疾患 診療のご案内

循環器疾患 診療のご案内


外来で行う検査のご案内


運動負荷試験(トレッドミル) について
なぜ検査するのか
心臓の病気には安静時には心電図など検査に異常が出ないものがあります。そのため運動をおこない体にわざと負担をかけて検査を行います。
運動をしても大丈夫か
運動は心電図、血圧を測定しながら行い、医師が付き添い異常がないかチェックします。異常が現れた場合はすぐに運動を中止し、必要があれば薬剤の投与を行います。
どんな検査をするのか
心電図をつけ、血圧計を巻いたままベルトコンベアを歩きます。ベルトコンベアは3分おきに早くなったり傾斜がついたりします。歩く速さ、傾斜の強さは運動能力に合わせて調節を行います。およそ10分から20分で終了します。
外来でも検査が可能ですが事前の予約が必要です。
心肺運動検査(CPX)について

歩行や運動などの際に全身の筋肉には酸素がおおく運ばれ、そのため心臓、肺、筋肉がその人の運動能力に大きく関係しています。心肺運動検査は運動能力を総合的に評価する方法です。

なぜ検査するのか
心臓の病気を持っている方は日常生活で息切れなどの症状が出たり、以前と同じような動作ができなくなることがあります。またどれだけ動いてよいか迷われることも多いと思います。そこで心肺運動検査によりどれだけの運動や動作が安全かを調べることができ、適切な運動を行っていただくことにより動作が楽になり、自覚症状も軽くなります。また心臓、肺、筋肉のどれが運動に障害をもたらしているかを判定することもできます。
どんな検査をするのか
運動中の心電図、血圧、呼吸の際に吸ったり吐いたりする酸素、二酸化炭素を調べます。
心電図、血圧計、呼吸を調べるマスク(酸素マスクのようなもの)をつけた状態で自転車をこいでいただきます。可能な限りこいでいただき、こげなくなった時点で終了となります。検査中は呼吸を調べているので会話することはできませんが、身振り手振りで合図を送っていただきます。検査は医師がおこない異常がないかチェックしています。準備もふくめて検査時間はおよそ30~40分です。
運動処方
この検査の結果に基づいて、あなたの体に最適な(安全で最も効果のある)運動を処方することができます。
検査は外来でできますので興味のある方は一度主治医の先生とご相談ください。
心臓核医学(アイソトープ,RI)検査について

微量の放射性同位元素(RI:Radio Isotope、ラジオアイソトープ)でしるしをつけた、心臓に集まりやすい薬(放射性医薬品)を注射し、それから出る放射線を特殊なカメラで撮影することで様々な心臓の病気を調べることが出来ます。

検査の目的
  1. 心臓を養う血管(冠動脈)からの血液が不足することで起こる狭心症
  2. 冠動脈が詰まることでおきる心筋梗塞
  3. <前壁中隔心筋梗塞 症例>
    運動時も安静時も前壁中隔の血流が欠損しています。
    心筋梗塞の心臓断面図1
    運動時
    心筋梗塞の心臓断面図2
    安静時
  4. 様々な原因により心機能が低下することで起こる心不全
  5. 肺に血液を送る血管(肺動脈)がつまることで起こる肺塞栓

1~4のような病気の原因やその重症度を調べることができます。

検査部位検査項目放射性医薬品
心筋血流
脂肪酸代謝
交感神経機能
梗塞
99mTc-血流製剤
123I-BMIPP
123I-MIBG
99mTc-PYP
心機能ファーストパス法
心プール法
99mTc-RBC
99mTc-RBC、99mTc-HSAD
血流99mTc-MAA
全身腫瘍・炎症Ga
検査の方法
心臓に集まり短時間で体内から消失する安全な放射性医薬品(上記の表を参照)を注射した後、体の表面から心臓をシンチカメラで撮影し、心筋の性状(血流や代謝)や心臓の動き(心機能)を調べます。
また運動や薬によって心臓に負荷を加え、その負荷前後の写真を比較することで、狭心症を感度よく診断できます。
この検査は、静脈注射だけで検査ができるため(非観血的検査)、少ない苦痛で有用な情報を得ることが出来ます。
検査の場所
RI検査室の写真検査の場所は1階エレベーター付近のRI検査室です。
所要時間
安静時のみの検査は20分くらいかかります。
安静時と運動負荷の2回検査を行う場合は3~4時間くらい間をおいて検査をするので、運動の時間を含めると4~5時間くらいかかります。
検査結果例(狭心症例 Bull’s Eye像)
運動時
9時~2時の範囲の外周(心基部)の中心部(心突部)までに渡って、血流が低下しています。
狭心症例 Bull's Eye像1
安静時
血流が低下していた部位が回復しています。
狭心症例 Bull's Eye像2
運動-安静時
安静時と運動時の差を示した図です。
9時~2時の範囲に差があるのが分かります。
特に1時~2時の範囲で顕著にあらわれています。
狭心症例 Bull's Eye像3
放射線の影響は?
放射線はごく微量であるため心配ありません。放射線量は検査の種類にもよりますが、胸のレントゲン~胃のバリウム検査とほぼ同じ程度です。
また体内の放射線は時間とともに排泄されてなくなります。
    (例)
  • 胸のレントゲン: 0.05mSV
  • 胃のバリウム検査: 4mSV
  • 一般人が自然界から受ける放射線量: 2.4mSV/年
  • 医師等の職業人の限度: 100mSv/5年
造影心臓CT検査について
造影心臓CT検査で、心臓や冠動脈の様子が正確に写し出すことができます。外来で20分ほどで終わる検査です。
右図は心臓と冠動脈の3次元再構成像。色は人工的につけたものです。
心臓と冠動脈の3次元再構成像
血管の断面像から、心臓発作の原因となる隠れた動脈硬化を見つけ出す事ができます。
右図は白い血管とその上側、右側に動脈硬化で膨れた血管壁(灰色)が写っています。動脈硬化した血管壁の内部には一部骨のように硬くなった点状の石灰化(白色)を認めます。
白い血管とその上側、右側に動脈硬化で膨れた血管壁
造影心臓CTでは冠動脈だけを取り出して写すことができます。
右図は左右のCT冠動脈造影像です。真ん中の動脈に動脈硬化で細くなったところが写っています。
左右のCT冠動脈造影像


入院して行う検査・治療のご案内


カテーテルアブレーションについて

不整脈の種類によって治療が必要なものと経過をみてもよいものとがありますが、カテーテルアブレーションとは、治療を必要とするような不整脈の異常な電気信号の原因となる部位や回路に対して、高周波と呼ばれる電気を通電することで不整脈の原因を取り除くことを目的とした治療です。治療が完全に成功すれば不整脈が出現しなくなるため内服薬を中止することも可能となることから根治療法として位置づけされています。カテーテルアブレーションを行っている代表的な不整脈は上室性回帰性頻拍(房室結節リエントリー性頻拍やWPW症候群に伴う房室リエントリー性頻拍)、心房粗動、心房頻拍、心室頻拍(単形性)などがあります。

カテーテルアブレーションを行う位置 カテーテルアブレーションを行うときには体の外から直接心臓を触ることは出来ないので、まず足の付け根(鼠径部)や左肘の血管からカテーテルと呼ばれる細い管を挿入します。

このカテーテルを用いて心臓の中の電気の流れを評価し、これによって不整 脈の原因となる部位を同定して前述したように高周波電流を通電して焼き切ります。焼き切るとは言っても実際には約50~55℃の温度までしか上昇しないように機械で制御されていますが通電を行うことで胸焼けのような症状が出現します。

特に不整脈による自覚症状が強かったり頻度が多いために生活に支障のある方や、薬物治療があまり奏効しない方、また若年者の方では今後長期間にわたって内服治療の継続を行わなければいけないなど生活の質の面での不利益を被っている方などがおられます場合にはご相談いただければと思います。

当科では主に火曜日及び金曜日に外来診療を行っており、同日に不整脈担当医が診療を行っておりますのでカテーテルアブレーションをご希望される方がおられました場合にはご紹介いただければ幸いです。

心臓カテーテル検査について

心臓カテーテル検査の写真主に心臓の動きや心臓を栄養する血管(冠動脈)をレントゲンで観察することを目的としています。
まず、カテーテルと呼ばれる細長い管を、動脈や静脈を通じて心臓まで進めます。次に、心臓や血管はレントゲンでは映らないため、造影剤というレントゲンに映る注射をカテーテルから心臓や冠動脈に注入し、同時にレントゲンの映画を撮影します。
得られた画像などから、詳細に病態を評価する検査です。

検査の適応
狭心症や心筋梗塞など虚血性心疾患、心臓弁膜症や先天性心疾患、心筋症など心機能障害や構造的異常を来す疾患、大動脈の疾患(大動脈瘤など)が主な対象となります。
冠動脈造影検査
造影剤を冠動脈に注入し、血管の中の造影剤の流れ具合を観察することで、冠動脈に狭い所や閉塞している所がないか調べる検査です。特に、虚血性心疾患の治療方針の決定のためには重要な検査です。
心室造影検査
心室造影検査の写真造影剤を左心室(時に右心室)に充満させて、レントゲン写真を撮影する検査です。心室の大きさ、動きなど、心機能の評価を行います。弁の逆流がある場合は、その程度も分かります。先天性心疾患の診断にも用いられます。
右心カテーテル検査
心臓カテーテル検査は、造影検査ばかりではありません。心臓の中の血圧や心臓から拍出される血液量、血液中の酸素濃度などを測定することにより、循環血行動態を評価します。
経皮的冠動脈形成術について

狭心症や心筋梗塞に対して風船のついた細い管(バルーンカテーテル)を使って治療します。

狭心症の治療方法
狭心症の冠動脈造影像。黒く見えるのが冠動脈です。ところどころ動脈硬化のため狭くなっている部分があります。 狭心症の冠動脈造影像1
カテーテルにつけた小さな風船(バルーン)で狭いところを拡げています。 狭心症の冠動脈造影像2
治療後、拡張に成功しました。 狭心症の冠動脈造影像3
心筋梗塞の治療方法
心筋梗塞のときの冠動脈造影です。冠動脈が完全につまっています。 心筋梗塞の治療方法の写真1
緊急のバルーンによるカテーテル治療をおこないました。 心筋梗塞の治療方法の写真2
つまりがとれふたたび血液が流れるようになりました。 心筋梗塞の治療方法の写真3
経皮的弁形成術について
僧帽弁形成術。狭くなった弁を太さ2~3cmの風船のついたカテーテルで拡げます。僧帽弁狭窄症の標準的治療法のひとつです。 経皮的弁形成術の写真1
大動脈弁形成術。効果が限られているためごく一部の患者さんに対してのみ行われます。 経皮的弁形成術の写真2


対象疾患についてのご説明


不整脈について
不整脈とは

心臓はその壁を成す心筋という筋肉が収縮と拡張を繰り返すことでポンプのような働きをし、血液を肺や全身に送り出していますが、心筋の収縮は心臓で発生した電気刺激によっておこっています。

心臓の名前 電気刺激が心臓の歩調とりを司る部位(洞結節)で規則正しく発生し、それが正しく伝えられていれば、心臓は一定範囲の速さで、規則正しいリズムの収縮を繰り返します。ところが、洞結節以外の部分で異常な電気刺激が発生したり、刺激伝導系が途中で切れて刺激がうまく伝わらなかったりすると、心臓が収縮する速さやリズムに乱れが生じます。
このような状態を「不整脈」といいます。

特に運動もしていないのに急に脈が速くなったり、脈が抜ける感じがして胸に違和感を覚える場合は不整脈が疑われます。
これらの症状からは脈が速くなる(頻脈性)不整脈が考えられますが、逆に脈が遅すぎてめまいや倦怠感を感じたり、少し歩くだけで息切れを感じたりする場合も脈が遅くなる(徐脈性)不整脈が疑われます。このように“不整脈”といっても緊急処置が必要な重篤なものから、元気な人に検診でよくみつかる特に治療の必要がない良性のものまでさまざまな種類があります。

上記のような症状があれば当科を受診して、診断の上、治療の必要性や治療の方針を外来担当医と相談することをおすすめします。
不整脈があると、心臓に何か大きな問題があるのではないかと不安になるものですが、その多くは心配ないもので治療の必要はありません。
「不整脈がある」ということで受診する患者さんのうち治療が必要となるのは10%以下ですのであまりし心配しすぎないことが肝要です。ただし、

  1. 動悸にめまいや気が遠くなる感じを伴い、さらには一時的に意識がなくなる場合
  2. もともと心臓に病気(弁膜症、心筋症や狭心症など)があったり、以前から心電図に異常があるといわれている場合
  3. 動悸と息切れや呼吸困難、むくみがありだんだんひどくなる場合
  4. 血縁者に心臓性急死(突然死)の方がおられる場合
は厳重な管理と治療が必要となる場合があり、できるだけ早めに受診していただきたいと思います。

不整脈の種類
不整脈には大きく分けて次の3つの種類があります。
  1. 頻脈
    通常より脈が速くなるタイプの不整脈で、1分間の脈が100回以上になる場合を「頻脈」といいます。命にかかわる危険な頻脈もありますが、健康な人でもちょっと緊張しただけで脈が速くなることがあるように、多くの場合は心配のないものです。
  2. 徐脈
    通常よりも脈が遅くなるタイプの不整脈で、1分間の脈が50回以下になる場合を「徐脈」といいます。命にかかわることまれですが、極端に脈拍数が少ない場合には、失神など脳虚血症状(アダムス・ストークス発作)を起こす危険性があるので、「ペースメーカー」による治療が行われます。
  3. 期外収縮
    洞結節以外の部分で発生した電気刺激によって、規則的な収縮のほかに、予定外の収縮が起きる不整脈です。最も多く見られる不整脈ですが、大部分は治療を必要としません。
狭心症・心筋梗塞について

心臓は全身に酸素を含んだ血液を送り出すために1日10万回の拍動を続けていますが、その心臓自身も働くための酸素(血液)が必要です。心臓へ血液を届ける動脈は心臓の表面にまるで冠のようにかぶさっているため冠動脈(かんどうみゃく)と呼ばれます。狭心症や心筋梗塞はこの冠動脈が狭くなったり、詰まったりしておきる病気です。

狭心症について
狭心症は、冠動脈が狭くなっておこります。典型的な症状は、寒い朝、運動をした時などに急にあらわれます。痛みというよりも圧迫感や締め付け感と表現されます。胸部だけではなく左肩や背中、胃の辺りや顎の痛みを伴うことがあります。安静やニトログリセリンの服用で狭心症の症状は速やかに消失します。
狭心症の治療方法
狭心症の冠動脈造影像。黒く見えるのが冠動脈です。ところどころ動脈硬化のため狭くなっている部分があります。 狭心症の冠動脈造影像1
カテーテルにつけた小さな風船(バルーン)で狭いところを拡げています。 狭心症の冠動脈造影像2
治療後、拡張に成功しました。 狭心症の冠動脈造影像3
血管の痙攣による狭心症について
狭心症のなかに血管の痙攣により冠動脈が一時的にふさがるために起こるものがあります。典型的には夜間就寝中に発作を起こし、お酒やたばこで発作が起こりやすくなります。この発作もニトログリセリンの服用ですぐに治ります。
血管の痙攣による狭心症の治療方法
血管の痙攣(けいれん)により狭心症を起こしている状態です。黒く見える血管が痙攣のため細くとぎれそうになっているのが分かります。 血管の痙攣による狭心症の治療方法の写真1
同じ人がニトログリセリンを使ったあとです。痙攣がなくなり血管が太くなっています。 血管の痙攣による狭心症の治療方法の写真2
心筋梗塞について

心筋梗塞は冠動脈が急に詰まるために起こります。多くは、血管の壁にできた小さな傷の周りで血液が固まり詰まってしまいます。症状は、狭心症と似ていますがより強くより長く続きます。冷や汗や吐き気をともなうことがあります。胸部症状がなく食欲低下やだるさだけのこともあります。心筋梗塞はおこってすぐがもっとも危険で、命を落とす事もあります。いつもと違う症状を感じたときは我慢せずにすぐ受診しましょう。

狭心症も心筋梗塞も冠動脈の動脈硬化が原因で起こる血管病です。動脈硬化は高血圧、高コレステロール、糖尿病、喫煙、肥満、ストレス、運動不足などで進行します。日頃から、血管病を予防することも重要です。

心筋梗塞の治療方法
心筋梗塞のときの冠動脈造影です。冠動脈が完全につまっています。 心筋梗塞の治療方法の写真1
緊急のバルーンによるカテーテル治療をおこないました。 心筋梗塞の治療方法の写真2
つまりがとれふたたび血液が流れるようになりました。 心筋梗塞の治療方法の写真3
心不全について

心不全には発症の経過から急性と慢性心不全があります。急性心不全とは急性心筋梗塞や心筋炎などにより心臓のポンプ機能が急激に障害され、全身に十分な血液を供給できなくなり肺に血液がうっ滞する状態をさします。すなわち低心拍出量や肺うっ血の程度が呼吸困難や浮腫などの心不全症状に関連しておりさらに生命予後と関係しています。急性心不全の治療の主な目標は血圧や脈拍、心拍出量などをすみやかに安定化させ、肺うっ血を軽減することです。心不全の病態を把握するため心電図や動脈血ガス、胸部レントゲン、心エコ-などを通常おこないますが、ショックを伴うような重症例にはカテ-テルという細い管を直接動脈に挿入し観血的な動脈圧測定やSwan-Ganzカテ-テルを肺動脈に挿入し最適な治療をおこないます。 

一方慢性心不全は、心臓のポンプ機能の低下が長期間継続し、運動能力の低下、自律神経機能やホルモンの異常、致死性不整脈の出現を認める病気です。すべての心疾患の終末的な病態で予後不良を特徴とします。欧米の成績によると心不全で入院した患者さんの30日後の死亡率は約10%、1年後死亡率は約30%ときわめて予後不良でした。本邦の臨床成績においても平均2.4年間の観察期間で約40%の心不全患者さんが再入院を繰り返していたという成績があります。

この慢性心不全の原因の大半は拡張型心筋症や虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)による左室収縮機能の障害が原因です。
したがって慢性心不全の治療目標は心不全症状を軽減し日常生活の質(QOL)を改善させ、生命予後を改善することです。

具体的には運動時息切れや全身倦怠感、浮腫などの症状を軽くし、最終的には生命予後を改善させることが治療目標となっています。
まず個々の症例において基礎心疾患を診断しその重症度を診断することが大切です。薬物治療に加えて、冠動脈疾患がある場合には血行再建術などを積極的におこなって心不全の悪化を防止するとともに、当院では心室再同期療法といったペ-シング療法や夜間酸素療法などの心不全治療をおこなっています。
さらに心不全の増悪因子であるストレスの予防や食事療法などを看護師さんや栄養士さんと連携して治療にあたっています。

心不全の睡眠時無呼吸とその治療について

心臓病の患者さまで、息切れや疲れやすさなどの症状にお悩みの方は、心不全の状態にあると思われます。多くの方の場合、お薬を調節することにより症状はかなりよくなりますが、薬を服用されてもよくならない場合もあります。階段を昇る、食事をする、トイレに行く、服を着替えるという日常的な動作が満足にできなくなり、生活の質(QOL)が低下します。

睡眠ポリグラフ検査
このような方の約半分に睡眠時無呼吸があることがわかってきました(無呼吸とは気流の停止が10秒以上停止した状態を定義します)。睡眠中に無呼吸がおきると、体が低酸素状態にさらされるために心臓に無理がかかり、心不全の症状が悪くなると考えられています。しかし、無呼吸があるかどうか自分ではわかりませんので、器械をつけて調べてみることが必要です。当科では、心臓病、心不全の患者さまに睡眠ポリグラフ検査(鼻の気流とともに、酸素飽和度、胸腹の呼吸運動を記録します)をつけていただき睡眠呼吸障害の程度を判定しています。テイジン社製 モルフェウス®




左:閉塞型無呼吸。気流停止時にも胸と腹の呼吸運動が続きます。
右:中枢型無呼吸。気流停止時、胸、腹の運動も停止しています。

閉塞型無呼吸の場合には、耳鼻科と相談の上、持続性陽圧呼吸(CPAP:シーパップ)をはじめます。中枢型無呼吸の場合には、在宅夜間酸素療法(心不全HOT)やCPAP,非侵襲的換気療法(ASV)を導入します。


CPAP:シーパップ

夜間酸素療法を行うことにより、無呼吸による睡眠中の低酸素状態がなくなり、日常動作での息切れ、倦怠感が改善し、QOLが向上することがわかっています。また酸素療法により自律神経機能が改善し、心臓がよくなることが期待できます。
閉塞型無呼吸の場合には、耳鼻科と相談の上、持続性陽圧呼吸(CPAP:シーパップ)をはじめます。中枢型無呼吸の場合には、在宅夜間酸素療法(心不全HOT)やCPAP,非侵襲的換気療法(ASV)を導入します。


心不全酸素療法前と4ヶ月後の胸部レントゲン。心拡大が軽快しています。
これらの治療を活用して、日常生活がよりよくなるようお手伝いをさせていただきます









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