大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)

大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)


2015年5月、北陸初となるTAVI(経カテーテル大動脈弁治療)を実施しました。

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大動脈弁狭窄症とは?


大動脈弁は、心臓の左心室と大動脈のあいだにある”扉”です。この”扉”の開きが悪くなり、十分な血液を全身に送り出すことができなくなる病気、これが大動脈弁狭窄症です。多くは弁の加齢変性によって起こるため、高齢化に伴い患者さんが増えています。初めのうちは無症状ですが、狭窄の程度が高度になると胸痛や失神、呼吸困難などの症状が出現し、手術をしないと予後が非常に悪い病気です。




【正常大動脈弁】
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【狭窄した大動脈弁】
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治療法は?


狭窄が軽度のうちは降圧薬などの薬物療法を行います。狭窄が進み症状が出現すると、外科手術(大動脈弁置換術:胸の真ん中を切開後、人工心肺を用いて心臓を止め、硬くなった弁を取り除き人工弁に置き換える手術)が必要となります。多くの患者さんにおいて外科手術は安全に受けていただくことが可能ですが、この病気は高齢者に多いため動脈硬化疾患(脳梗塞、狭心症など)や呼吸器疾患、肝臓病などを合併する方も多く、3割以上の方が手術に耐えられないと判断され、為す術なく看取らざるを得ないのが現状でした。



TAVI:経カテーテル大動脈弁置換術
(Transcatheter Aortic Valve Implantation)とは?


手術に耐えられない、あるいは手術リスクが非常に高い患者さんに対して、カテーテルを用いた体への負担が小さい治療がTAVI(バルーンカテーテルに人工弁を乗せて大動脈弁まで運び、バルーンを拡張して留置する手術)です。カテーテルの挿入経路として、足の付け根から行う最も低侵襲な大腿動脈アプローチが第一選択となりますが、足の血管が細い等の理由で治療に適さない場合は、心臓の先端から行う心尖部アプローチを行います。
胸を全くあるいは大きく切開せず、人工心肺を使用しないため、患者さんへのメリットとして以下のものがあります。


・体への負担が少ない 
・入院期間が短い

通常10日から2週間で退院が可能で、退院後はすぐに元の生活に戻れるだけでなく、心臓の機能が大幅に改善することから治療前にはできなかった色々な活動が可能となります。
現在のところ治療の基本は外科手術であり、“手術はイヤだ!”との理由でTAVIを受けられる訳ではありません。高齢のため体力の低下している方や(おおむね80歳以上)、その他の病気で手術のリスクが高い方がTAVIの対象となり、当院の専門の医療チーム(ハートチーム)でその適応を判断いたします。(現時点では透析患者さんはTAVIを受けられません。)


【大腿動脈アプローチ】
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【心尖部アプローチ】
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私たちは、2015年5月に北陸で初めてTAVIを開始し、2016年4月末までに経大腿動脈アプローチ=26例、経心尖アプローチ=8例 計34例の治療を行いました。この治療は第二内科(循環器内科)、第一外科(心臓血管外科)、麻酔科および臨床工学技士・放射線技師・看護師・臨床検査技師・理学療法士によるハートチームを形成し、それぞれの専門分野の知識・技術を持ち寄ることで初めて治療可能となります。現在のところ手技成功率100%で30日死亡率=0%、比較的多いと言われているペースメーカー追加治療=0%と非常に安定した成績で治療を行っております。これまで富山県内だけでなく、石川県や新潟県、長野県、岐阜県といった近隣の病院からも患者さんをご紹介いただき、TAVIを受けていただいた患者さんは元気に退院され、活動的な生活をされています。

この領域のデバイス(治療器材)の進歩は早く、現在Sapien XTという人工弁が使用されていますが、私たちの施設では次世代の人工弁であるSapien 3を日本の中でいち早く導入します(2016年6月より)。欧米の報告では、Sapien3を使用したTAVI治療は心臓手術のリスクが中等度の患者さんにおいても安全で有効な治療が行えるとされています。また、Sapienシリーズは風船で広げるタイプの人工弁のため、石灰化の非常に強い場合には使用しづらいことがあります。この場合、自己拡張型ステントCorevalveを用いると、より安全に治療することが可能であり、こちらも2016年6月から使用できるようになります。 



提供:エドワーズライフサイエンス株式会社、株式会社メドトロニック



関連サイト

http://tavi-web.com/
http://www.benmakusho.jp/


TAVIを受けられる患者さんとご家族へ





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