トルバプタンを用いた多発性嚢胞腎に対する治療

多発性嚢胞腎(たはつせいのうほうじん)とは?


多発性嚢胞腎は、腎臓に嚢胞(のうほう)という液体のたまった袋が多数できる疾患です。(図1)





嚢胞は加齢とともに徐々に大きくなり、それに伴って腎機能が悪化します。腎機能の悪化が進んでいくと、透析療法が必要になります。(図2)





多発性嚢胞腎の多くは常染色体優性遺伝という形式をとる遺伝性疾患です。片方の親がこの病気であると、子供がこの病気である確率は50%と推測されます。若いころは無症状であることが多いのですが、年齢を重ねるごとに腎嚢胞の出血や感染がきっかけで気づかれます。

また、腎機能が悪化していたり、くも膜下出血を起こした状態で初めて気づかれるということもあります。CTやMRIなどの画像検査や血縁者の病気の状況などにより診断されます。

多発性嚢胞腎は腎機能障害や血尿、嚢胞への感染以外にも、くも膜下出血の原因となる脳動脈瘤、心臓弁膜症、肝臓など他の臓器の嚢胞、高血圧症、大腸憩室などを合併することが知られています。 (図3)






多発性嚢胞腎に対するトルバプタンによる治療


トルバプタンは嚢胞が大きくなるのを抑え、腎機能が悪化するスピードを抑えます。トルバプタンによる治療を行う場合は、治療開始の際に入院が必要となります。

入院中には飲水量・尿量を確認しながら、血液検査でチェックを行います。退院約2週間後に再診を行い、その後は1か月に1回の通院頻度となります。内服の量やタイミング、増量の時期などは患者様一人一人の生活にあわせてご相談しながら決めていきます。腎臓・生命を守ることと同時に実りある生活ができるような医療をご提供いたします。



多発性嚢胞腎に関する詳しい情報はこちらをご覧ください。
ADPKD情報サイト(http://www.adpkd.jp/)




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