肺動脈性肺高血圧症に対する
エポプロステノール持続静注療法

肺動脈性肺高血圧症に対する薬物療法・エポプロステノール持続静注療法


肺動脈性肺高血圧症は現在も機序が不明な点が多い難病ですが、2000年エポプロステノール静注療法、2005年以後はボセンタン、シルデナフィル、アンブリセンタン、タダラフィル、マシテンタン、リオシグアト、セレキシパグといった経口薬が次々と保険適応となり、当科でもこれらを用いた薬物治療を行っています。図1に示す通り、肺高血圧の原因は膠原病に代表される全身疾患、一部の血液疾患、肝臓疾患、肺疾患、肺動脈内血栓と多様なため、必要に応じて他科と連携し診断を確定します。


図1


このうち肺の細動脈に原因を有する肺動脈性肺高血圧症(1群)と診断された場合は、本邦のガイドラインに沿って肺高血圧のリスクや肺動脈圧を考慮して薬物療法を行っていきます。 日常診療の中で肺高血圧が疑われる患者様の特徴を図2に示します。当院へご紹介いただく場合の基準としてご覧いただき、もし該当される患者様がいらっしゃいましたら是非ご紹介ください。


図2


心電図は右軸偏位、胸部誘導V1-V3付近の陰性Tを参考にする。高いV1のR波、V6のS波は進行した肺高血圧の可能性が高い。

心臓カテーテル検査の結果から肺動脈性肺高血圧の血行動態が確認された場合、図1の分類のどの群に該当するか見極めますが、その中には特発性肺動脈性肺高血圧症だけでなく、膠原病に関連した肺高血圧症や慢性血栓塞栓性肺高血圧症、さらに呼吸器疾患に伴う肺高血圧症などが含まれており、これを鑑別することは容易ではありません。また肺高血圧の経口治療薬を開始後、肺動脈圧の低下に乏しい場合もあり、思ったように効果が出てこない場合もあると思います。しかし富山大学附属病院へはどのような患者様をどのようなタイミングで紹介すればよいか迷われている場合も多いと推測いたします。 そこで心エコー、右心カテーテル実施施設の先生方を対象に、どのような患者様を紹介すればよいのか肺高血圧患者診療のフローチャートを作成しました。もしこちらに該当される患者様がいらっしゃいましたら、当院医療福祉サポートセンターのページを通じてご紹介いただければと思います。


図3


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