慢性肺血栓塞栓性肺高血圧症に対するバルーン肺動脈形成術

慢性肺血栓塞栓性肺高血圧症に対するバルーン肺動脈形成術


末梢型の慢性肺血栓塞栓性肺高血圧症に対するバルーン治療法がバルーン肺動脈形成術(BPA)です。岡山医療センター、杏林大学、東北大学を中心に、大学病院や基幹病院などで行われています。当科は心カテグループの協力を得て2011年10月から開始し、これまでに20セッションの治療を行ってきました。今のところ北陸におけるBPA実施施設は当院だけです。状態が悪いために遠方への転院が難しい患者様であっても、当院でこの治療が受けられます。



特徴

狭心症、心筋梗塞のバルーン治療の対象となる冠動脈狭窄とは異なり、病変部には膜様の器質化血栓が存在しています。この膜様構造物をバルーンを使って押しやり、血液の通り道を作るのがこの治療です。また狭心症のバルーン治療とは異なり、拡張病変にステントを置くことはありません。ただしこの治療を行っても抗凝固療法は生涯必要です。


方法

肺動脈造影により、肺動脈の一部の器質化血栓による閉塞を確認します。ガイドカテーテルの中にガイドワイヤーと呼ばれる細いワイヤーを入れて、閉塞しているところを通過させ、血管径を確認したのち、ガイドワイヤーを利用してバルーンを閉塞部まですすめて拡張します。


注意点

1回のカテーテル治療で2,3本の肺動脈分枝の治療にとどめます。1回の入院あたり、2回のカテーテル治療を行います。 治療後、経過観察のため一般病棟には戻らず、一晩CCUに入室していただきます。 目標とされた肺動脈が必ずしも拡張されない場合があります。また治療効果も異なります。 過拡張を行うと肺障害の危険があります。危険を避けるため段階的な治療にご理解ください。


導入(2011年10月)~現在(2014年6月)までの当科における成績



BPAを受けられた患者数(短期間を含む)
 計4人 (男1人、女3人)、計20セッション


BPAの治療成績
IPPVによる人工呼吸器管理 0件
NIPPVによる人工呼吸器管理 4件  


すべての患者において肺動脈圧の低下、自覚症状の改善を認めた。
薬による肺高血圧治療の近年の進歩は目覚ましいものがありますが、肺血栓塞栓性肺高血圧症に対する薬の治療の効果は未だ十分なものではありません。薬物療法に加えBPAを行うことにより、患者様のQOLが格段に改善します。
BPAは拡張の仕方にコツがあり、拡張しすぎた場合に重篤な合併症を招く懸念から、どの施設でも簡単に行うことはできないと思います。
以前に肺塞栓症をされた患者様で、息切れの症状がとれない方はこの病気の可能性があります。
この治療に興味を持たれた方は当科へ御紹介頂ければと思います。

担当 城宝 秀司(じょうほう しゅうじ) sjoho (a) med.u-toyama.ac.jp







Copyright © Second Department of Internal Medicine,University of Toyama All rights reserved. 富山大学大学院医学薬学研究部内科学第二(第二内科)