心房中隔欠損症(ASD)に対する閉鎖栓治療

心房中隔欠損症とは?


生まれながらにして左心房と右心房の間の壁に穴(欠損孔)があいており、左心房から右心房へ血液のもれが生じる病気です。出生児の約1500人に1人生じると言われており、この病気はほとんどが無症状であるため乳幼児健診や学校心臓検診で心臓の雑音や心電図の異常から発見されます。しかし、学校検診が開始されたのは1970年代初めであり、それ以前に学校を卒業された方は病気の存在に気づかず生活されています。欠損孔を介して左心房から右心房に流れる血液の量(短絡量)によって、手術が必要かどうかが決まりますが、手術が必要な患者さんが、成人まで無治療であると心不全や不整脈を起こす危険性があります。また右心房から左心房へ血栓などが流れることで脳梗塞を生じることもあります(奇異性脳塞栓)。




治療法は?


【外科手術】
人工心肺を用い一時的に心臓を止めて、欠損孔を閉鎖します。手術手技は確立されており安全性の非常に高い治療です。


【カテーテル治療(小児・成人とも北陸で唯一当院のみ施行可能)】
足の付け根の静脈(大腿静脈)から閉鎖栓とよばれる小さな道具を心臓内まで持ち込み、心房中隔を挟み込むことで穴をふさぎます。この治療の良いところは胸を切ることなく、足の付け根から数mm程度のごく小さな皮膚切開で済むことです。 治療は全身麻酔で行いますが、治療時間は1時間半程度と短く、体への負担も少ないため、治療後2~3日での退院が可能です。 カテーテル治療はとても優れた治療法ですが、万能ではありません。壁に空いた穴の場所によっては治療ができない場合もあります。当院では治療の前に心臓の状態を詳しく調べて、カテーテル治療がよいか外科手術がよいかを心臓血管外科と相談し慎重に判断しています。


カテーテル治療の適応
二次孔型心房中隔欠損症で、
1)欠損孔のバルーン伸展径が38 mm 以下、
2) 右心系の容量負荷所見、右心不全
3)肺体血流比が1.5 以上、
4)前縁を除く欠損孔周囲縁が5mm 以上あるもの、または
5)肺体血流比が1.5 未満であっても心房中隔欠損症にともなう心房性不整脈や奇異性塞栓症を合併するもの。



【経カテーテル的ASD閉鎖栓治療】
ビデオをご覧下さい。再生ボタン(▶ボタン)をクリックすると、動画が再生されます。






【ASD閉鎖栓 展開】
ビデオをご覧下さい。再生ボタン(▶ボタン)をクリックすると、動画が再生されます。






【ASD閉鎖栓 留置】
ビデオをご覧下さい。再生ボタン(▶ボタン)をクリックすると、動画が再生されます。





提供:St. Jude Medical Japan Co., Ltd.



Copyright © Second Department of Internal Medicine,University of Toyama All rights reserved. 富山大学大学院医学薬学研究部内科学第二(第二内科)