富山大学附属病院連携施設
精神科専門医研修プログラムによる専門医研修
はじめに
本プログラムの研修施設群は11病院から構成されます。研修基幹施設である富山大学附属大学病院では、主要な精神疾患の患者を対象に面接法、診断と治療計画、精神療法、薬物療法の基本を学びます。身体合併症、コンサルテーション・リエゾン、難治性精神疾患治療(m-ECT,クロザピン)を含め、精神科臨床を幅広く経験できるとともに、研究や学会発表についても充実した指導を受けることができます。研修連携施設は、富山県内の9つの特色ある医療機関および新潟県の1病院からなります。このように、本プログラムは地域における考えうるリソースを集結して専攻医の指導体制を構築しています。本プログラムにより、3年間の研修で精神科医としての十分な基礎を築くことができます。初期研修を終えた若い医師たちには、大学ならではの環境で、教室の多くの先輩や同僚と交流しながら、精神医学と精神科医療の多様さを体験してもらいたいと考えています。
富山大学の精神科領域専門医研修プログラム概要
専門研修プログラム名
富山大学附属病院連携施設 精神科専門医研修プログラム
専攻医の募集人数
8人/年
研修基幹施設
富山大学附属病院(指導医数5)
(プログラム統括責任者:髙橋 努)
研修連携施設
病院名 | 指導責任者 | 指導医数 | 他の連携プログラム |
---|---|---|---|
富山県立中央病院 | 野原 茂先生 | 2 | 金沢大学 |
富山市民病院 | 長谷川雄介先生 | 1 | 金沢大学 |
谷野呉山病院 | 榎戸芙佐子先生 | 4 | |
国立病院機構北陸病院 | 白石 潤先生 | 3 | 金沢大学, 松原病院 |
田宮病院(長岡市) | 稲井徳栄先生 | 6 | 新潟大学 |
駅南あずさ病院 | 田仲耕大先生 | 2 | |
南富山中川病院 | 宮津健次先生 | 2 | |
富山県リハビリテーション病院・こども支援センター | 森 昭憲先生 | 2 | |
小矢部大家病院 | 川村 剛先生 | 2 | |
かみいち総合病院 | 岡部彰人先生 | 1 |
研修施設の特色
研修基幹施設:富山大学附属病院
地域医療(精神科救急輪番、他院からの身体合併症症例/難治例の受け入れ)
専門外来として精神病早期介入、ものわすれ、睡眠、リエゾン・緩和ケア
検査・治療として
- 修正型電気けいれん療法 (mECT)
- クロザピンによる治療
- 睡眠ポリソムノグラフィー検査(PSG)
- その他に作業療法、内観療法、SST、認知リハビリテーション、多職種退院前訪問など
幅広い知識と経験
- 病棟診療はチーム制によるサポート体制
- 毎週行われるチームカンファレンス・教授回診・症例検討会
- 痛みカンファレンス(整形外科、麻酔科等と合同)
- 認知症カンファレンス(テレビ会議システム、神経内科と合同)
リサーチマインド
- 毎週行われる抄読会(研究論文)
- 研究ミーティングへの参加(任意)
- 教室内外での勉強会/講演会
- 学会参加を推奨
- 臨床研究では十分な実績のある指導医が直接指導
研修連携施設
連携施設名 | 特色 |
---|---|
富山県立中央病院 | 精神科救急医療、身体合併症治療、リエゾン精神医学 |
富山市民病院 | 包括型地域生活支援プログラム、難治性精神疾患治療 |
谷野呉山病院 | 精神科救急医療、包括型地域生活支援プログラム、依存症治療、児童・思春期症例、認知症疾患医療センター |
国立病院機構北陸病院 | 医療観察法指定入院医療機関、認知行動療法、睡眠専門外来、認知症疾患医療センター |
田宮病院 | 精神科救急医療、多職種チーム医療 |
駅南あずさ病院 | 児童・思春期症例、地域医療 |
南富山中川病院 | 認知症診療 |
富山県リハビリテーション病院・こども支援センター | 児童・思春期精神医療、リエゾン精神医学 |
小矢部大家病院 | 多職種チーム医療、地域医療、認知症診療、医療観察法指定通院医療機関、難治性精神疾患治療、依存症治療 |
かみいち総合病院 | 多職種チーム医療、地域医療、リエゾン精神医学 |
共通の学習機会
富山県精神科医会学術講演会・北陸精神神経学会・その他
ローテーションの例

なお専攻医は、研修プログラムでの研修と並行して大学院博士課程を履修することもできます。
その場合の研修年限はプログラムの達成度によりますが、大学院生として臨床研究に従事した期間も研修プログラムの一部として研修期間に含まれます。
地域精神医療の経験
連携施設での研修
連携施設での研修中はいずれも地域医療・地域連携において十分な経験が得られます。包括型地域生活支援プログラム(ACT)を経験できる連携施設が2つあることも特徴です。
基幹施設での研修
基幹施設での研修中は非常勤として週に2回程度(一回半日)、地域医療を行う精神科医療機関や精神科に関わる公的施設(下記)のいずれかに赴き、基幹施設の指導医による指導の下で地域医療や福祉への理解を深めます(いずれも富山県内)。
- 【総合病院】砺波総合病院・黒部市民病院・南砺市民病院・高岡市民病院・かみいち総合病院・厚生連滑川病院・国立病院機構富山病院・済生会富山病院・不二越病院・富山労災病院
- 【単科精神科病院】有沢橋病院・いま泉病院・魚津緑が丘病院・大家病院・川田病院・呉陽病院・さくら病院・佐々木病院・柴田病院・常願寺病院・太閤山病院・福井病院・藤の木病院・ふるさと病院・松岡病院・三輪病院・矢後病院・グリーンヒルズ若草病院
- 【その他】知的障害者相談センター・こころの健康センター・富山刑務所・社会福祉法人セーナ−苑・社会福祉法人めひの野園・社会福祉法人花椿
リサーチマインドの養成
当教室は臨床研究にも力を入れており、特に統合失調症を対象とした生物学的研究においては国際的にも先進的な研究を行っています。各研究グループのミーティングや関連学会への参加も推奨しており、リサーチマインドを持った精神科医の養成に力を入れているところです。実際に研究に携わり論文作成する場合は、臨床研究において十分な実績と経験のある指導医が直接指導に当たります。専攻医は、研修プログラムでの研修と並行して大学院博士課程へ進学することもできます。
富山大における主要研究テーマ
- 統合失調症の脳画像診断による病態生理解明と客観的早期診断法の開発
- 統合失調症の認知機能障害を標的としたアウトカム改善のための精神薬理学的・神経生理学的研究
- 統合失調症の分子遺伝学的研究
- 早期精神病の疫学・認知機能・脳画像診断研究
- 統合失調症の動物モデルと新規治療薬の開発
- その他
英文原著論文数

専門医取得のため研修修了要件
詳しくは今後学会ホームページに公表されますので参照して下さい。
- 研修項目の到達目標に関する専攻医本人および指導医による評価、多職種(メディカルスタッフ)による評価
- 経験すべき疾患、治療場面、治療形態について目標症例数の達成、規程の症例レポート提出
経験すべき疾患領域(統合失調症、気分障害、精神作用物質による精神及び行動の障害、症状性を含む器質性精神障害、児童・思春期精神障害、神経症性障害・ストレス関連障害・身体表現性障害、成人のパーソナリティと行動の障害、てんかん、睡眠障害)
経験すべき治療場面(救急、行動制限、地域医療、合併症・リエゾン)
経験すべき治療形態(任意入院、非自発的入院) - 地域医療の経験
- 学術活動(1回以上の学会発表など)
以上の修了要件を満たし、研修修了の判定を受けたのち、精神科専門医試験を受験し合格すると精神科専門医の資格が取得できます。
専門医取得後の進路
本プログラムを修了した精神科専門医が富山県内の多くの病院で活躍しています。今後も地域医療に貢献できる優秀な精神科医を育てていくことが当講座の大きな役割となります。研究を行うことは臨床医としての将来にも有益なので、大いに奨励しており、国内外への留学も積極的にしてもらっています。
教室出身者の進路(一部抜粋)
- 【県内総合病院】富山県立中央病院・富山市民病院・富山赤十字病院・黒部市民病院・高岡市民病院・厚生連高岡病院・済生会高岡病院・厚生連滑川病院・かみいち総合病院・国立病院機構北陸病院
- 【県内精神科病院】谷野呉山病院・呉陽病院・中川病院・魚津緑ヶ丘病院・有沢橋病院・ふるさと病院・松岡病院・柴田病院・駅南あずさ病院
- 【県内精神科クリニック】いわたメンタルクリニック・みさきクリニック・竹内スリープメンタルクリニック・星井町こころのクリニック・伊東メンタルクリニック
- 【県内行政】富山県こころの健康センター
- 【県外】国立精神神経医療研究センター ・金沢大・金沢医科大・筑波大・福井県立大・石川県こころの健康センター・国立病院機構榊原病院 (三重県)・札幌武田病院・石川県立高松病院・城北病院(石川県)・たけとう病院(福井県)・つつみクリニック(滋賀県)・熊野病院(三重県)・高田西城病院(新潟県)・長野県立駒ヶ根病院・立川パークサイドクリニック(東京都)・飛騨うりす苑(岐阜県)
教室員の海外留学

採用
本プログラムで精神科専門研修を希望される医師は、専攻医1次募集期間内に下記の①~④を行ってください。
- 「富山大学附属病院連携施設 精神科専門医研修プログラム」に応募する。
応募は、履歴書をWordまたはPDF等の形式でE-mailで提出し、面接申し込みを行ってください。ただし、電子媒体での提出が難しい場合は郵送も可とします。*E-mailの場合は、履歴書を添付のうえ、件名を「専門医研修プログラム応募」として送信してください。
*郵送の場合は、〒930-0194 富山県富山市杉谷2630 富山大学神経精神医学講座 樋口悠子(医局長)宛に簡易書留で郵送してください。※履歴書には、連絡の取れるE-mailアドレスまたは電話番号を記載してください。
- プログラム統括責任者による面接等を受ける。
- 採用となった場合は、日本精神神経学会のWebサイト(ホームページ)にアクセスし、そこから日本専門医機構のシステムに入り、機構システムでユーザー登録を行う。
- 続いて、機構のシステムに「富山大学附属病院連携施設 精神科専門医研修プログラム」を登録する。その後、日本専門医機構の専攻医登録システムからの採否の通知が届きます。上記期間中に本プログラム登録の手続きができなかった場合は、2次専攻医登録期間(2次募集)に①の手順で応募してください(今後スケジュールが変更になる可能性がありますので、日本精神神経学会ホームページおよび日本専門医機構のホームページを適宜ご確認ください)。
応募および問い合わせ先
〒930-0194
富山県富山市杉谷2630 富山大学神経精神医学講座
担当:樋口悠子(医局長)
電話:076-434-7323
E-mail:psychiat(at-mark)med.u-toyama.ac.jp
※カッコ内を@に変換のうえ送信ください