教育の特徴
Characteristics

医学科カリキュラムの特徴

 医学科長 森永 芳智

6年一貫教育により、高度な知識と技術をもつ
人間性豊かな医師や医学者を養成します

医学科長 森永 芳智

医学科の特徴

 医学科では入学から卒業まで6年間を過ごします。この6年は初年次教育から始まり、専門教育として基礎医学・臨床医学・社会医学を学び、臨床実習を経て、医師の資格に必要な医師国家試験を受験することになります。本学は医療系の学部が同じキャンパスに集まっているため、将来異なる職種に就く人たちと、学修や実習、課外活動を共に取り組む機会があります。また、希望者には在学中から研究に取り組む機会も設けられています。

社会医学教育(3年次後期~4年次前期)

 社会医学とは、疾病につながる背景にも視野を拡げ、社会全体の健康水準の向上を目指す医学です。例えば、どれほどの人がある病気にかかるのだろうかとか、どのようなことがその予防になるのだろうか、社会の仕組みとして解決できることがないだろうかということなどが含まれ、新型コロナウイルスの流行を経て、社会医学の重要性が認識されています。具体的には、疫学、予防医学、医学統計学、公衆衛生学、救急災害医学、病院経営学、法医学などについて講義と実習形式で学修します。地域社会との密接な連携や協働は極めて大切なため、行政機関や医師会、地域病院等の協力も得て、保健・医療・福祉・介護のシステムや連携体制を体系的に理解します。社会医学教育では、地域の実情に合った保健医療の実践に必要な知識と技術を修得します。

初年次教育(1年次)

 1年次生の教育は、主に五福キャンパスで行われます。専門教育で必要となる基礎的な教養を学修するほか、皆さんが興味のある科目を選択して学修することができます。このような教養教育に加えて、医療人としての入門となる科目も入学直後より始まります。1年次前期の「医療学入門」は、医学科・看護学科・薬学部の学生を対象としているもので、医療を取り巻く諸問題についてグループワークを行って一緒になって考える教育が行われます。薬害、イタイイタイ病、介護、心肺蘇生などについて多角的に学修し、この時期から医療人としての自覚を芽生えさせることで、医療人として必須のプロフェッショナリズムの基盤を形成していきます。後期の「医学概論」では、複数の教員が最新の医学を紹介しながら自身の医師としてのキャリアを考えていきます。

「イタイイタイ病資料館見学」(医療学入門)

診療参加型臨床実習(4年次後期~6年次前期)

 基礎医学、臨床医学、社会医学を学修したあとの4年次生の半ばには、臨床実習に参加するために必要な試験があります。この試験は全国のどこの医学部でも行われるもので、厳密かつ厳正に行われ、臨床実習へ進むにあたり十分な知識・技術・態度を修得しているかを全国共用試験(コンピュータによる試験(CBT)と客観的臨床能力試験(OSCE))によって評価します。
 全国共用試験に合格すると、4年次生の後期からの臨床実習が始まります。臨床実習は見学ではなく、診療に参加することが求められます。富山大学附属病院の全診療科を約1年かけてローテートしながら、技術を修得し、プロフェッショナリズムを磨き、それまでの学修内容の理解を深め整理を行っていきます。その後の半年ほどは、更に発展させた実習形式で、希望の診療科で長く実習を行ったり、地域プライマリケアを行ったり、海外の施設で実習を行ったりする選択制臨床実習という期間が設けられており、6年次生の前期までに合計約1年半をかけて実習が行われます。
 その後は、卒業試験を経て、例年2月に行われる医師国家試験に向けての準備を進めていくこととなります。

臨床実習
2022年度 Student Doctor 認定証授与式

基礎医学教育(1年次後期~2年次)

 1年次の後期になると専門教育が始まります。人体の正常な構造や機能、生命現象を維持する仕組み、生体防御の仕組みなどについて学び、これらを基礎医学と呼んでいます。基礎医学を理解しておかなければ、病気や治療について理解することができません。具体的には、解剖学、組織学、生理学、分子生物学、微生物学、免疫学、薬理学、病理学、行動科学、放射線基礎医学などを、2年次の後期までの間に講義と実習を通して学修します。

研究教育(1年次~6年次)

研究医養成プログラムにおける研究風景

 現代の医療を支えるものは科学的根拠です。科学的根拠には研究が必要となりますが、本学では在学中に研究を行う体制も整っています。3年次前期の「研究室配属」では、研究室に1か月間所属して研究を行い、英語文献を読んだり、データの収集・分析のほか、研究発表などを行います。
 より研究志向を持つ学生のために「研究医養成プログラム」という科目を選択できるようになっています。通常の講義・実習以外の時間で取り組むため、試験勉強や課外活動などと両立しながら、在学中に研究室に所属して学会発表や論文公表を行います。このプログラムの修了者は、本学の大学院博士課程(4年制)に進学した場合、一定の要件を満たすと3年間で博士号を取得することができます。

臨床医学教育(3年次~4年次前期)

 3年次になると、各種疾病について学修することとなります。すべての分野の疾病について、病気のなりたち、分類、診断、治療、予防について学修し、これを臨床医学と呼んでいます。臨床医学では、実際に専門的に診療を行っている教員が講義を担当しますが、基礎医学で学んだことを活かして疾病の理解を深めるために、講義の一部は基礎医学の教員も担当することで、基礎と臨床が連携して教育を行う統合型カリキュラムとなっています。臨床医学ではすべての診療科の科目と、臨床検査、リハビリテーション、病理診断、放射線診断などの診療科を横断して診療を支える部門の科目について学修します。

医学科カリキュラム概要

総合的な学修支援

 医学科の6年間のカリキュラムを経て医師免許取得までには、あくなき向上心とたゆまぬ努力が不可欠です。そのため、本学には学生を支援する様々な環境を整えています。たとえば、24時間利用可能な図書館は、多くの学生が昼夜勉学に励む場所として利用されています。「カリキュラム委員会」は学生と教員で構成され、話し合いながら教育の改善を図っています。また、学生と教員のつながりとしてクラス担任とグループ担任の制度があります。前者は学年ごとに3名の教員が配置され、必要に応じて修学や生活面での面談などを行っています。後者は1年次生から6年次生までの小グループに教員の担当がつく体制となっており、時々集まって、下級生が先輩や教員の話を聞いたりアドバイスをもらったりすることができます。お互いに支えあいながら前進していく体制があることは、本学の医学教育の特徴です。

 医学科では入学から卒業まで6年間を過ごします。この6年は初年次教育から始まり、専門教育として基礎医学・臨床医学・社会医学を学び、臨床実習を経て、医師の資格に必要な医師国家試験を受験することになります。本学は医療系の学部が同じキャンパスに集まっているため、将来異なる職種に就く人たちと、学修や実習、課外活動を共に取り組む機会があります。また、希望者には在学中から研究に取り組む機会も設けられています。

初年次教育(1年次)

 1年次生の教育は、主に五福キャンパスで行われます。専門教育で必要となる基礎的な教養を学修するほか、皆さんが興味のある科目を選択して学修することができます。このような教養教育に加えて、医療人としての入門となる科目も入学直後より始まります。1年次前期の「医療学入門」は、医学科・看護学科・薬学部の学生を対象としているもので、医療を取り巻く諸問題についてグループワークを行って一緒になって考える教育が行われます。薬害、イタイイタイ病、介護、心肺蘇生などについて多角的に学修し、この時期から医療人としての自覚を芽生えさせることで、医療人として必須のプロフェッショナリズムの基盤を形成していきます。後期の「医学概論」では、複数の教員が最新の医学を紹介しながら自身の医師としてのキャリアを考えていきます。

「イタイイタイ病資料館見学」(医療学入門)

基礎医学教育(1年次後期~2年次)

 1年次の後期になると専門教育が始まります。人体の正常な構造や機能、生命現象を維持する仕組み、生体防御の仕組みなどについて学び、これらを基礎医学と呼んでいます。基礎医学を理解しておかなければ、病気や治療について理解することができません。具体的には、解剖学、組織学、生理学、分子生物学、微生物学、免疫学、薬理学、病理学、行動科学、放射線基礎医学などを、2年次の後期までの間に講義と実習を通して学修します。

臨床医学教育(3年次~4年次前期)

 3年次になると、各種疾病について学修することとなります。すべての分野の疾病について、病気のなりたち、分類、診断、治療、予防について学修し、これを臨床医学と呼んでいます。臨床医学では、実際に専門的に診療を行っている教員が講義を担当しますが、基礎医学で学んだことを活かして疾病の理解を深めるために、講義の一部は基礎医学の教員も担当することで、基礎と臨床が連携して教育を行う統合型カリキュラムとなっています。臨床医学ではすべての診療科の科目と、臨床検査、リハビリテーション、病理診断、放射線診断などの診療科を横断して診療を支える部門の科目について学修します。

医学科カリキュラム概要

社会医学教育(3年次後期~4年次前期)

 社会医学とは、疾病につながる背景にも視野を拡げ、社会全体の健康水準の向上を目指す医学です。例えば、どれほどの人がある病気にかかるのだろうかとか、どのようなことがその予防になるのだろうか、社会の仕組みとして解決できることがないだろうかということなどが含まれ、新型コロナウイルスの流行を経て、社会医学の重要性が認識されています。具体的には、疫学、予防医学、医学統計学、公衆衛生学、救急災害医学、病院経営学、法医学などについて講義と実習形式で学修します。地域社会との密接な連携や協働は極めて大切なため、行政機関や医師会、地域病院等の協力も得て、保健・医療・福祉・介護のシステムや連携体制を体系的に理解します。社会医学教育では、地域の実情に合った保健医療の実践に必要な知識と技術を修得します。

診療参加型臨床実習(4年次後期~6年次前期)

 基礎医学、臨床医学、社会医学を学修したあとの4年次生の半ばには、臨床実習に参加するために必要な試験があります。この試験は全国のどこの医学部でも行われるもので、厳密かつ厳正に行われ、臨床実習へ進むにあたり十分な知識・技術・態度を修得しているかを全国共用試験(コンピュータによる試験(CBT)と客観的臨床能力試験(OSCE))によって評価します。
 全国共用試験に合格すると、4年次生の後期からの臨床実習が始まります。臨床実習は見学ではなく、診療に参加することが求められます。富山大学附属病院の全診療科を約1年かけてローテートしながら、技術を修得し、プロフェッショナリズムを磨き、それまでの学修内容の理解を深め整理を行っていきます。その後の半年ほどは、更に発展させた実習形式で、希望の診療科で長く実習を行ったり、地域プライマリケアを行ったり、海外の施設で実習を行ったりする選択制臨床実習という期間が設けられており、6年次生の前期までに合計約1年半をかけて実習が行われます。
 その後は、卒業試験を経て、例年2月に行われる医師国家試験に向けての準備を進めていくこととなります。

臨床実習
2022年度 Student Doctor 認定証授与式

研究教育(1年次~6年次)

研究医養成プログラムにおける研究風景

 現代の医療を支えるものは科学的根拠です。科学的根拠には研究が必要となりますが、本学では在学中に研究を行う体制も整っています。3年次前期の「研究室配属」では、研究室に1か月間所属して研究を行い、英語文献を読んだり、データの収集・分析のほか、研究発表などを行います。
 より研究志向を持つ学生のために「研究医養成プログラム」という科目を選択できるようになっています。通常の講義・実習以外の時間で取り組むため、試験勉強や課外活動などと両立しながら、在学中に研究室に所属して学会発表や論文公表を行います。このプログラムの修了者は、本学の大学院博士課程(4年制)に進学した場合、一定の要件を満たすと3年間で博士号を取得することができます。

総合的な学修支援

 医学科の6年間のカリキュラムを経て医師免許取得までには、あくなき向上心とたゆまぬ努力が不可欠です。そのため、本学には学生を支援する様々な環境を整えています。たとえば、24時間利用可能な図書館は、多くの学生が昼夜勉学に励む場所として利用されています。「カリキュラム委員会」は学生と教員で構成され、話し合いながら教育の改善を図っています。また、学生と教員のつながりとしてクラス担任とグループ担任の制度があります。前者は学年ごとに3名の教員が配置され、必要に応じて修学や生活面での面談などを行っています。後者は1年次生から6年次生までの小グループに教員の担当がつく体制となっており、時々集まって、下級生が先輩や教員の話を聞いたりアドバイスをもらったりすることができます。お互いに支えあいながら前進していく体制があることは、本学の医学教育の特徴です。