医学部4年次になると全国共用試験のCBT とOSCE に合格してStudent Doctorとして臨床実習を開始します。今後は、この共用試験に合格することが医師国家試験の受験資格になってきます。皆さんが初期臨床研修医としてスタートするときには、優れた研修プログラムを用意している富山大学附属病院の初期臨床研修医になってもらいたいと思います。卒後臨床研修センターでは、初期臨床研修医の皆さんの面倒をしっかりみていますので、安心してください。特に初期臨床研修医の一人一人にはメンターとして先輩医師が個別に配置され、あらゆる相談にのってくれます。初期研修が修了すると、各自が目指す専門医になるための専攻医研修が始まります。当院には専門医の19 基本領域すべてが揃っています。富山大学で自分の希望する専門医を選ぶことができ、皆さんのなりたい医師になることができるのです。

　医学部の地域枠、富山県一般枠、富山県特別枠で入学した学生諸君は、富山県の地域医療に貢献する意思をもち、その意思を実現できるよう医学部1年次から将来へむけての相談を始めます。附属病院は富山県の医療の最後の砦であるとともに富山県の地域医療に必要な医療人材の養成を担う機関です。
　地域医療といっても富山大学附属病院から診療所まで幅広く勤務できる病院があります。今後、ますます富山県の人口は減少し、医師が不足していくことが予想されています。富山大学医学部に入学した皆さんの多くが、富山県の医療に将来にわたって携わっていただきたいと強く念願しています。
　附属病院で行っている先端医療の一部をご紹介すると、循環器センターでは小児心臓外科手術を多数行っており、日本のトップ施設です。また、補助人工心臓を扱えるのは北陸で当院のみです。包括的脳卒中センターでは24時間体制ですべての脳卒中治療を担っています。膵臓・胆道センターには、膵臓がんの治療と胆道内視鏡治療のため、全国から多くの方が紹介されてくる日本のトップ施設です。附属病院では、糖尿病センターをはじめすべての診療科で高度先進医療を実施しています。臨床研究管理センターでは医師主導治験などを行い、医学の進歩に貢献しています。これらの高度先進医療は、医師だけでなく薬剤師、看護師、医療スタッフ全員で協力してこそ成しえるものであり、すべての医療人材の育成が必要です。
　さらに、これからの富山県の医療では総合診療医や家庭医の需要も高まります。高度先進医療から総合診療まですべての医療人材を育成し、今後とも附属病院は地域医療を支える役割を果たしていきます。