ガイダンス
Guidance

看護学の立場から
人を全人的にとらえる看護職を育むカリキュラム

対象理解

 保健師、助産師、看護師は人の尊厳を重視し、人々の発達課題と生活の場を考慮して、からだ・こころ・くらしのありようを統合体としてとらえ、理解していく能力が求められます。専門的な用語ではこれを「対象理解」と表し、あたかも相手の目線で物事を捉えられるようになること、相手の立場に立って気持ちを想像し、対象の看護ニーズをとらえることが重要になります。
 人を理解するということは看護の本質であり、言うのは簡単ですが、修得するのにはトレーニングが必要です。4年生でも、実習において「電子カルテ情報をとることはできたけれども、個別性のある看護計画を立てることは難しかった。」と感想を述べる学生が多々います。このような状況を学生自身が乗り越える手段として、対象に関心を向け、寄り添い、言葉を交わし、生の声を聴いていく方法をとっています。

ケアリング

 熱心に患者に関心を向けることを専門的な用語では「ケアリング」と言いますが、援助的な態度をとりながら関係性を構築していく相互的なかかわりです。人間対人間の関係性を主軸に、ケアする人とケアされる人の相互関係によって、双方が成長していくという関係性のことでもあります。

援助ニーズのアセスメント

 対象の真のニーズは目に見えるものも、からだやこころの中にあって目に見えないものもあり、疾患や認知のゆがみは表面に表れないこともあります。このように検査データとして表れないようなニーズを専門的には「潜在的ニーズ」と呼び、逆に目に見えるもの、つまり検査データに表れるものや言語化されたものを「顕在的ニーズ」と言います。潜在的・顕在的なニーズを看護実践に取り上げていくためには、ヒトの身体構造、疾病の機序、こころの仕組み、発達課題、人にとっての役割を学ぶことが重要です。

看護診断・計画

 潜在的・顕在的ケアニーズをもとに、看護職が提示できるものに「看護診断・計画」があります。基礎看護学では看護診断の概要を修得しますが、対象者の暮らす場によって、または疾患によって看護診断の優先順位は異なってきます。そのため、専門科目である基礎看護学から始まって、母性看護学、小児看護学、成人看護学、精神看護学、老年看護学、地域看護学と学修し、領域別に重要となる看護診断・計画を展開します。考案した介入が有効なものか否かは、対象者の反応で評価します。まさに患者中心の看護の評価をすることが出来ます。
 看護職は、求人倍率が常に2倍以上と社会から期待されている職種です。富山大学での学びをいかして羽ばたいていってほしいです。

おもしろい大学の
「おも白いたまご」みつけました。
立山の大自然の麓で自ら
殻を割ります。
飛び回る雷鳥をイメージして、
成長していきましょう。

【母性看護学講座 教授 長谷川 ともみ】