ガイダンス
Guidance

看護学の立場から

 看護は、ヒューマンケアの理念に基づき、人が人間としての尊厳を維持することを支え、その人らしい健康な生活が送れるように支援することです。臨床看護学では、小児期、成人期、老年期等のライフステージの特徴をもとに、健康ニーズを把握し、疾病予防、その治療とケアを視野に入れた小児看護学、成人看護学、老年看護学、胎児期から生命の誕生の時期に至る妊娠や周産期の支援を学ぶ母性看護学、さらに心の健康に焦点をあてた精神看護学、地域社会・コミュニティを基盤とした地域看護学・在宅看護学から成り立っています。人間を多角的にとらえ「からだ」「こころ」「くらし」「いのち」4つの側面からアプローチします。

「からだ」を支えたい…

 人間は命ある限り、さまざまな病気や予期しない外傷に直面します。医療者としていかに患者様を救うのか、救えるのか、看護師としてしなければいけないことに自信が持てるように学びます。そのためにはまず人間の体の構造を学び、次にどのようにして病気になっていくのか、あるいは外傷を受けた場合はどのような状態になるのかを学びます。そして治療とケアの方法は何かを考えます。医学の授業を多く受けることでその輪郭ができ、実際の臨床の現場で役立つ看護師になれます。そして多職種連携の中で活躍できる医療者を目指します。

「こころ」を支えたい…

 基礎看護学では、看護の基礎となる「看護とは」について学び、看護の対象となる人々の生活過程を整える視点を学んでいきます。対象である人間の見つめ方、また看護における病気の見つめ方を学びましょう。本学では、“フロレンス・ナイチンゲール”の「看護覚え書」をもとに学んでいきます。ここには「人の健康について直接責任を負っている者に、考え方のヒントを与えたい」と述べられています。つまり、「看護とは」を学ぶにはヒントをもとにして自分自身が考えていくことを必要とします。次に、基本的な看護技術を学ぶ場では患者に合わせた安全・安楽な援助を修得できるように学生自身が工夫できるような指導を心掛けており、学生の可能性を伸ばしていきたいと思っています。体と同様に心を支える看護観をもとに、それを表現する“技”である看護技術を一人ひとりが統合できる学びを目指しています。そして、その土台を精神看護学ほかすべての臨床看護学領域につなげていきます。

「くらし」を支えたい…

 地域では家庭、学校、職場や施設等の場において、乳児から高齢者、健康な方、療養中の方、障がいのある方々が各々のライフサイクル、健康レベル、価値観や健康観に応じて生活をしています。地域看護学では、個々の多様性・個別性を重視した上で「人々がQOLを保ち生活をする」を目標に、コミュニティの健康課題の決定、当事者・家族自身による課題解決と支援の在り方を理解し、看護職に必要な理念や知識、技術を学びます。県・市町村の行政機関、訪問看護ステーションなどの協力も得て、疾病予防・健康増進に取り組むための個別・集団支援、継続看護、多職種連携、地区組織やボランティアの育成と協働、地域包括ケアシステムの構築について学びます。これが、看護学の基盤に立った活動とその人らしい生活を支えるケアにつながり、すべての看護活動領域での実践に基づく看護の創造を可能とします。

そして、「いのち」をつなぎたい…

人は命を次世代につなぐため、子どもを産み育てるという営みを続けています。母性看護学では、そのことを中心に女性の一生を通した健康支援の方法について学びます。女性が妊娠し、出産を経て子どもを育てるプロセスにおいて、母子の身体的健康はもちろん、母子の愛着形成も欠かすことができません。母子がより健康に過ごすための情緒的支援についても学びます。また近年の社会では、晩婚化に伴う高齢初産の増加、産科合併症の比率の上昇、不妊症、不育症などの健康問題や人工妊娠中絶、出生前診断、乳児虐待など生命や人権にかかわる倫理的問題も生じています。また月経前症候群、子宮内膜症、子宮がんなど女性特有の症状や病気で苦しむ若い世代も増えてきています。このような背景から、女性が自分自身の体を知り、生き生きと過ごすための支援に関しても学びます。助産学では、母子とその家族にとって生命の誕生という感動的な出会いを支援するため、母性看護学の知識を基にすべての妊産褥婦とその児に対して科学的根拠に基づいたケアの提供を目標として、専門性の高い知識と技術を学びます。

健康と看護のSDGs

 世界の人の命を守る17の目標となるSDGs(Sustainable Development Goals)は他人事ではありません。全世界の人々が少しでも健康であり続けるために、安心で安全な健康社会の構築が必須です。そのためには個人と社会を支える看護力の浸透が必要で、富山大学看護学科は「No Nurse, No Life」を掲げています。現代社会が必要としている人材を目指しましょう。