ごあいさつ
Greeting

 富山大学医学部は、1975年に富山医科薬科大学医学部として開学し、2025年で設置50周年を迎える歴史ある医学部となりました。建学の理念は論語の「里仁為美」であり、「仁の精神(思いやりの心)」をもって地域と世界で活躍できる医療人の養成を使命としています。現在までに医学科4,308人、看護学科2,169名の卒業生を輩出しており、医療、研究、教育、行政の各領域において、富山県内だけでなく、国内・海外で多くの卒業生が活躍しています。
 富山大学医学部は、その源流である富山医科薬科大学の理念を踏まえつつ、医学部と薬学部が一つのキャンパスに機能的に集約されている「地の利」や、「くすりの富山」の伝統をうまく活用しながら、医学と薬学の融合、西洋と東洋の融合、基礎と臨床の融合を目指し、質の高い教育や研究、社会貢献を行っています。
 医学科では、国際基準に準拠した教育を行っており、最新の基礎医学から臨床医学、地域医療から高度医療まで幅広く学ぶことができるカリキュラムになっています。一方で、詰め込み型教育から脱却すべくカリキュラムのスリム化を行い、学生が能動的に学べる環境を整えてきました。例えば、臨床実習では、地域医療実習などを取り入れ、長期間地域の病院で学ぶことで、地域で求められる医療を主体的に学ぶことができます。また、研究室配属や研究医養成プログラムを通して、先端的な医学研究を学部生時代から行うことも可能です。さらに世界で活躍できる視野を涵養するべく、国際交流にも力を入れており、欧米や豪州、アジアの医学部と相互交流を行い、多くの学生に海外で医学研修を行う機会を提供しています。
 看護学科の教育の特徴としては、全国で数少ない4年制課程で看護師、保健師、助産師の受験資格を同時に取得できる教育カリキュラムがあります。臨地実習では、病院だけでなく保健所などの行政機関でも実習を行い、将来看護師・保健師のどちらの道に進んでも、複眼的な視野で医療を見ることができる経験をすることができます。さらには、卒業研究を通して、看護研究を行うことで、将来の看護学を牽引するリーダーを養成します。また、大学院では、研究者コースだけでなく、専門看護師(CNS)コース、診療看護師(NP)コースを修士課程に開設しており、より高い専門性と優れた看護実践能力をもつ看護人材養成を行っています。
 研究面では、大学院総合医薬学研究科や附属病院と連携し、医学・看護学の幅広い分野の研究を行っています。また、国内との共同研究だけでなく、海外との国際共同研究も活発に行われています。特に、脳科学領域や感染症・免疫学、未病・老化研究領域では非常にレベルの高い最先端の研究が行われており、世界中から注目される研究成果を数多く発表しています。さらには、「くすりの富山」の伝統を活かし、薬学部や工学部と連携して異分野融合研究を行うことで、基礎・臨床医学から得られた研究成果を創薬へと繋げています。こうした研究成果を地域医療や地域の医薬品産業へと還元し、さらには地域課題解決にも活用するなど、積極的に社会貢献を行っています。
 高度な知識と技術は、高い精神性の上に築かれてこそ、社会にとって有益なものとなります。また、富山は素晴らしい自然と文化に囲まれ、海の幸をはじめとして食べ物も非常においしいところです。この恵まれた環境にある富山大学医学部で、「仁の精神」をもって地域と世界で活躍できる医療人・研究者を目指しませんか。皆様を心からお待ちしています。

富山大学医学部長 中川 崇

建学理念「里仁為美」
国際認証