ごあいさつ
Greeting

医学部設置50周年に向けて:
ポストコロナ時代の医療人材養成

 富山大学医学部は、1975年に富山医科薬科大学医学部として開学し、間もなく設置50周年を迎える歴史ある医学部となりました。建学の理念は論語の「里仁為美」であり、「仁の精神(思いやりの心)」をもって地域と世界で活躍できる医療人の養成を使命としています。現在までに医師4075名、看護師1783名、保健師1941名、助産師134名を輩出しており、卒業生は保健、医療、教育、研究、行政の各領域において、地域と世界で活躍しています。
 富山大学医学部は、医学と薬学の融合、西洋と東洋の融合、基礎と臨床の融合を目指した富山医科薬科大学の歴史を踏まえて、また、富山県内の国立大学の再編・統合により日本海側有数の総合大学となったスケールメリットを生かした教育や研究、社会貢献を行っています。
 学生は、人文、経済、教育、理学、工学、都市デザイン、医学、薬学、芸術の各学部の教員が開講する多種多様な教養科目の受講を通じて、豊かな人間性を涵養します。また、専門科目では、医学と薬学が1つのキャンパスに集約されている「地の利」を生かした医学生、看護学生、薬学生に対する合同教育の受講を通じて、現代医療に求められる多職種連携の精神を涵養します。
 医学教育の特徴は、国際基準に則った医学教育の実施であり、日本医学教育評価機構(JACME)から国際基準に適合との認定を受けています。そのため、卒業生は米国医師国家試験の受験資格を有するなど、世界での活躍が可能です。また、昨年度、文部科学省補助金「ポストコロナ時代の医療人材養成拠点形成事業」に選定(補助期間:7年間)され、オンライン診療に関する教育など、ポストコロナ時代に必要な医療人材養成を開始しました。
 看護教育の特徴は、全国で数少ない4年制課程で看護師、保健師、助産師の受験資格を同時に取得できる教育の実施であり、さらなる看護教育の充実を目的として、日本看護学教育評価機構(JABNE)の認証取得に向けた教育改革が実施されています。また、今年度、大学院修士課程に診療看護師(NP)コースを新たに開設して、高度な看護人材養成を開始しました。
 研究では、とくに脳科学領域で世界最先端の研究が行われています。また、近年では、人工知能やビッグデータによる研究も盛んに行われており、国内外から注目されています。他学部教員との分野融合研究や、海外大学との国際共同研究も活発に行われています。こうした研究成果を地域と連携した地域課題解決にも活用するなど、積極的に社会への還元を図ることで、社会貢献を行っています。
 高度な知識と技術は、高い精神性の上に築かれてこそ、社会にとって有益なものとなります。富山大学医学部で、「仁の精神」をもって地域と世界で活躍できる医療人を目指しませんか。
 皆様を心からお待ちしています。

富山大学医学部長 関根 道和

建学理念「里仁為美」
国際認証