2024.07.24
破骨細胞のエネルギー代謝制御分子 SIK3 は、 骨粗鬆症の新しい治療標的となる
■ポイント
・ 骨粗鬆症の新しい治療標的として SIK3 というタンパク質を同定した
・ 破骨細胞が骨を溶かす際、細胞内のエネルギー制御分子である SIK3 が活性化した
・ Sik3 遺伝子の欠損や、その阻害剤処理により、破骨細胞の骨吸収作用が抑制された
富山大学学術研究部医学系整形外科 川口善治教授、亀井克彦(当時博士課程 4 年)らの研究グループは、大阪大学大学院医学系研究科・生命機能研究科 箭原康人准教授、岐阜大学工学部 竹森洋教授との共同研究によって、SIK3の阻害剤であるプテロシン Bという天然物質に、破骨細胞の機能を抑制する作用があることを発見しました。
加齢とともに骨の密度と強度が低下し、骨粗鬆症を発症します。川口教授らの研究グループは、骨の吸収を担う破骨細胞において Sik3 遺伝子を欠失するマウスを作製したところ、Sik3 欠失マウスでは破骨細胞の機能が低下し骨量が増加することを発見しました。さらにSIK3 阻害剤であるプテロシン B が、破骨細胞の分化を抑制する作用を持つことを明らかにしました。以上の結果から、破骨細胞のエネルギー代謝制御分子である SIK3 は、骨粗鬆症の有望な治療標的であると考えられました。プテロシン B は、骨粗鬆症治療薬のリード化合物になりうると考えられます。
本研究成果は、米国骨代謝学会機関紙「Journal of Bone and Mineral Research」に 2024 年 7月 20 日に掲載されました。
【本発表資料のお問い合わせ先】
富山大学学術研究部医学系 整形外科
教授 川口 善治
TEL : 076-434-7353
Email : zenji@med.u-toyama.ac.jp
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【Press Release】
破骨細胞のエネルギー代謝制御分子 SIK3 は、 骨粗鬆症の新しい治療標的となる