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2025.06.06

世界初、膵臓外科手術の安全性を高める新たな指針を開発

■ポイント
 膵頭十二指腸切除術は、膵臓がんや胆管がんなどに対して行われる高難度手術であり、術後の重篤な合併症や死亡リスクが高いとされている(術後死亡率約3%、重症合併症率30-40%)。
 本研究では、National Clinical Database(NCD)のRisk Calculatorによって算出される2つの予測値が、術後経過不良と強く関連することを明らかにした。
 この研究成果は、膵臓外科手術の安全性を高める世界初の指針として注目される。

■概要
 富山大学学術研究部医学系 消化器・腫瘍・総合外科の木村七菜 病院助教、藤井努 教授らの研究グループは、膵頭十二指腸切除術における術後経過不良の予測因子を統計的に解析し、新たな手術適応指針を開発しました。
 解析の結果、本邦のNational Clinical Database(NCD)のRisk Calculator(リスクカリキュレーター)に基づく以下の2項目が術後経過不良の発生と強く関連していることが示されました。
 1) 術後ADL低下の予測発生率
 2) Clavien-Dindo分類グレードIV以上の予測発生率
 これらの因子を手術適応の判断基準とすることで、より安全な手術の実施が可能になります。これは世界で初めての報告となります。
 本研究成果は、2025年5月28日(水)に、国際学術誌「Annals of Gastroenterological Surgery」のオンライン版に掲載されました。

論文名 : Risk evaluation of the NCD risk calculator for open pancreaticoduodenectomy in elderly patients: A validation study

著 者 : 木村七菜1, 伊藤綾香1, 酒井彩乃1, 平野勝久1, 八木健太1, 武田直也1, 渋谷和人1, 吉岡伊作1, 室谷健太2, 藤井 努1
1富山大学 学術研究部 医学系 消化器・腫瘍・総合外科
2久留米大学 バイオ統計センター

掲載誌 : Annals of Gastroenterological Surgery (2025 年 5 月28 日(水)付け)

DOI : https://doi.org/10.1002/ags3.70045

【本発表資料のお問い合わせ先】
 富山大学 学術研究部医学系
 教授 藤井 努
 TEL : 076-434-7331
 Email : fjt@med.u-toyama.ac.jp

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【Press Release】
世界初、膵臓外科手術の安全性を高める新たな指針を開発

                

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