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2025.10.15

急性期病院で糖尿病専門医が果たす役割
~糖尿病専門医が在籍する施設で大腸がん手術を受けた糖尿病を有する人の周術期合併症リスクが低下~


■ポイント
 日本全国の急性期病院から収集されたDPCデータベースと、施設毎の糖尿病専門医数の情報を統合解析した結果、糖尿病専門医が在籍しない施設に比べ、在籍する施設では、大腸がん手術を受けた糖尿病を有する人の周術期合併症リスクが低下していた。
 急性期病院において、糖尿病専門医が配置されることで、糖尿病のある大腸がん患者の手術後の予後が向上する可能性が示唆された。

■概要
 富山大学大学院博士課程 四方 雅隆大学院生(横浜市立大学 共同研究員)と横浜市立大学 後藤温教授らの研究チームは、日本糖尿病学会(理事長 植木浩二郎)の「急性期病院における糖尿病専門医の役割の解析:DPCデータの解析」 委員会(担当理事 島田朗、委員長 戸邉一之)で大腸がん手術者のDPCデータの解析を行い、糖尿病学会が認定する糖尿病専門医が在籍する医療施設は在籍しない医療施設を比較して、周術期合併症のリスク比は0.86倍(95%信頼区間:0.77-0.91)と低いことを明らかにした。
 糖尿病を有する者では、大腸がん手術において、糖尿病を有さない者と比較して術中・術後の合併症リスクが高いことが知られている。
 本研究では、糖尿病を有する者に対して、大腸がん手術を行った際の周術期合併症リスクを検討した。
 日本全国の急性期病院から収集されたDPCデータと、日本糖尿病学会が認定する糖尿病専門医の施設毎の在籍状況に着目した。
 糖尿病専門医が在籍する医療施設は在籍しない医療施設と比較して、周術期合併症リスク比が0.86倍(95%信頼区間:0.77-0.91)と低いことが明らかとなった。
 糖尿病を有する大腸がん患者の手術後の合併症リスクの低減のために糖尿病専門医が重要な役割を果たす可能性があることが示唆された。
 今後、急性期病院に糖尿病専門医を配置する医療体制の整備が、より安全な外科治療の実現に寄与すると期待される。
 本研究成果は、「Journal of Diabetes Investigation」に 2025 年 8 月 15 日に掲載されました。

論文名 : Effectiveness of the presence of diabetologists for perioperative complications in patients with diabetes undergoing colorectal cancer surgery: a nationwide inpatient database in Japan

著 者 : 四方雅隆1,2,後藤温3, 清水沙友理4, 亀井望5, 中條 大輔6, 遠藤格7, 島田朗8, 伏見清秀9, 植木浩二郎10, 戸邉一之2,11
1横浜市立大学 医学部公衆衛生学, 2富山大学 医学部第一内科, 3横浜市立大学 医学部公衆衛生学, 4横浜市立大学大学院 データサイエンス研究科, 5広島赤十字・原爆病院 内分泌・代謝内科, 6国際医療福祉大学 医学部 糖尿病・代謝・内分泌内科学, 7横浜市立大学 医学部医学科 消化器・腫瘍外科学, 8埼玉医科大学 医学部内分泌・糖尿病内科, 9東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科医療政策情報学分野, 10国立国際医療研究センター研究所 糖尿病研究センター, 11富山大学 未病研究センター

掲載誌 : Journal of Diabetes Investigation

DOI : https://doi.org/10.1111/jdi.70139

【本発表資料のお問い合わせ先】
 富山大学学術研究部医学
 特別研究教授 戸邉 一之
 TEL : 076-434-7219
 Email : 0766-26-2379

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【Press Release】
急性期病院で糖尿病専門医が果たす役割
~糖尿病専門医が在籍する施設で大腸がん手術を受けた糖尿病を有する人の周術期合併症リスクが低下~

                

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