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当科について・教授からのメッセージ
教授 齋藤 滋
 富山大学産科婦人科学教室では、常に患者さんの立場に立ち、より良い医療を行うことを心がけています。教室員は若いですが、臨床にはとても熱心で、病棟は明るい雰囲気でいっぱいです。当科の目標は「リサーチマインドを持った良き産婦人科医」となることで、臨床以外に研究や若い先生方への教育を精いっぱい行っています。産婦人科診療は周産期(産科)、婦人科(腫瘍)、生殖・内分泌、女性医学の4分野より成り立っています。

 周産期部門では、早産の原因が感染症や炎症であることを世界に先駆けて発表し、炎症を評価する方法や、子宮の中の細菌をその日のうちに検出できる方法を独自に開発し、臨床に役立てています。私は早産に関する厚生労働省研究で部門長を務めており、全国から注目されています。この方法を行うことで、早産治療は大幅に改善しました。また、新生児科との協力のもと、早産、妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)、何らかの内科疾患を合併する妊婦、多胎妊娠(双子や三つ子)、赤ちゃんの発育が障害されている場合、心臓に異常のある赤ちゃんなどを生まれる前から産科で管理し、生まれた後は新生児治療室(NICU:12床、GCU:10床)で集中的に管理しています。このため日本周産期・新生児医学会において、富山大学附属病院は、富山県における基幹病院になっています。

 婦人科(腫瘍)部門では、良性疾患はできるだけ身体に負担のかからない内視鏡手術を行い、悪性腫瘍では患者さんに合った最良の治療を行っています。子宮体癌では、手術中の病理検査を基に、リンパ節郭清を省略できる患者さんに対しては大きな手術をせずに良好な治療成績を残しています。子宮頸癌の手術では、骨盤の神経を残し、排尿障害も最小限にしています。また放射線では、外から照射する以外に、子宮の中から照射する特殊な装置も使用しています。卵巣癌では、手術のみならず、できる限り抗癌剤を有効に活用し、3期の症例でも70%以上の方が5年以上生存しています。この数値は患者さんのガンバリとスタッフの献身的なサポートによるものです。患者さんの会「青空の会」も年一回開催しており、患者さんと医師、看護師の中で勉強会を催し、親睦を深めています。

 生殖・内分泌では、体外受精は行っていませんが、一般的な不妊治療と不育症治療を行っています。特に不育症は教室の研究テーマでもあり、富山県内、県外から多くの患者さんが受診され、大多数の方が出産されています。私は厚生労働科学研究不育症の研究代表者であり、国内の不育症研究のとりまとめを行っています。免疫の尺度を使った治療法は富山大学独自のものです。

 女性医学部門では、漢方外来を水・金午後に開設しており、更年期障害に対するホルモン補充療法と漢方療法の併用や、ホルモンを使えない方に対しての漢方療法を行っています。婦人科漢方研究会の代表世話人が私であり、また富山大学は全国でも数少ない和漢診療学講座があり、協力して治療にあたっています。

 このように、富山大学産科婦人科学教室ではあくまで患者さんへの治療を優先し、また臨床研究に裏打ちされた最新の治療も実践して良好な成績をあげています。
周産期部門(産科・新生児科)
早産の予防・治療
日本の周産期死亡率は世界最低ですが、その死亡の70%以上が早産児で占められています。
当教室では早産の過半数が感染によることを見出し、感染症の予防・治療による早産防止対策を積極的に行い、早産を減らすことに成功し、国内外から高く評価されています。
周産期部門治療イメージ
富山県母子救急の第3次医療機関としての役割
早産や母体合併症[妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)、多胎妊娠、合併症妊娠など]のある妊婦さんに、専門スタッフによる最先端の管理を行っています。
現在、富山県にある2つの第3次医療機関の1つの病院が富山大学付属病院です。
また、新生児管理の集中治療室(NICU)を備え、産科、小児科、小児外科、小児心臓外科の専門スタッフが連携を取り、一人一人の赤ちゃんにとって最善の管理を行う体制を常に完備しています。
不育症治療
不育症には適切な治療法があります

不育症とは、妊娠はしますが流産や死産を繰り返し、元気な赤ちゃんを生めない方を言います。約1~3%の頻度と言われています。
富山大学産科婦人科の齋藤 滋教授は、これまで日本産科婦人科学会で小委員長を務め、不育症の検査法、治療成績をまとめてきました。また、日本生殖免疫学会でも委員長となりスクリーニング法を確立してきました。
そのことが認められ、2008年度から厚生労働省の研究班の委員長となり、全国の不育症の研究をまとめています。

 

不育症は正しい検査をして、その上で正しい治療を行なえば80%以上の方が元気な赤ちゃんを持つことができています。ただし、専門医が少ないので是非とも専門医の受診をお勧めします。富山大学へは北陸地区から多くの患者さんが集まっています。

不育症治療イメージ
婦人科悪性疾患
子宮頚がん

当科では、0期のがん(上皮内がん)に対して低侵襲かつ確実な円錐切除術のみを行い、子宮を取らずに十分治療できることを立証しています。
またⅠb期からⅡb期までは広汎子宮全摘術を2名の婦人科腫瘍専門医(齋藤教授、日高准教授)が行っています。進行頚がんに対しては積極的に動注癌化学療法を行い、手術不能症例に対して手術可能にする治療を行っています。
放射線療法として、コンピュータで腫瘍を3次元で摘出し、腫瘍部だけを放射線照射する定位放射線治療や、腫瘍組織内に照射する組織内照射ならびに子宮膣内照射を富山県内で唯一行っています。

通院イメージ
子宮体がん
子宮体がんの主治療は手術療法であり、その後の化学療法を施行しています。また無用なリンパ節郭清を行わず、進行症例にのみ骨盤のリンパ節郭清を行っています。
卵巣がん

卵巣がんの治療成績は、化学療法の感受性ならびに手術療法の手技により異なります。当科では外科の協力を得て出来る限り腫瘍を摘出する積極的治療を基本とし、抗癌剤による補助治療も常に最新の治療方針を導入しています。

当科においてはがんは救急疾患として捉え、1日でも早く手術や放射線治療を行なえるよう全スタッフが懸命に手術室と交渉したり、CTやMRIなどの検査がスムーズにできるように努力しています。

婦人科良性疾患
子宮内膜症

当科では、子宮内膜症に対しては、KTPレーザーメスを用いて腹腔鏡下手術を積極的に行っています。このメスを用いて病巣部を徹底的に取り除くことができるようになりました。

 

腹腔鏡下手術で子宮内膜症の病巣を徹底的に取り除くことで、術後には月経痛や性交痛などが著明に軽減され、また、不妊症の患者様でも妊娠率が向上しています。

婦人科良性疾患イメージ
卵巣嚢腫
良性の卵巣嚢腫は、ほとんどが腹腔鏡下手術が可能です。
卵巣嚢腫に対する腹腔鏡下手術は急激に増加しております。
当科では少しでも悪性が疑われたりする場合には開腹手術を施行しています。
子宮筋腫

子宮筋腫の治療には大きく分けて、子宮筋腫を小さくする薬物療法と、子宮筋腫を取り除く手術療法があります。
薬物療法で使われる月経を止めてしまう薬は副作用があるため、使用できる人は限られています。
当科では患者さんと話し合った上で、腹腔鏡下手術も積極的に行っています。

子宮外妊娠

従来、開腹による卵管摘出術が多く行われてきました。
当科では、できるだけ腹腔鏡下に卵管線状切開内容除去術(子宮外妊娠を起こした卵管に切開を加え、術後の妊娠を希望する患者には適している方法)を行っています。

リンパ浮腫外来

当科では婦人科がんによる手術や放射線治療の影響として起こる、「下肢リンパ浮腫」に対して、予防・ケアを目的としたリンパ浮腫外来を開設しています。

当科の診察は、医師とがん専門看護師の二人体制で行っています。

まず、下肢の診察、計測、必要に応じ血液検査などを行い、浮腫の状態に応じて、弾性包帯・弾性ストッキングの装着・指導・処方や、専門看護師によるリンパドレナージを行っています。

リンパ浮腫イメージ
漢方外来

更年期障害に対する治療は、これまでホルモン補充療法が中心となってきました。しかし、ホルモン補充療法のみでは効果が不十分であったり、その副作用でホルモン補充療法を 継続できない方もおられます。
最近では、米国国立衛生研究所のホルモン補充療法に関する臨床試験中止報告を、マスコミがセンセーショナルに報道したこととあいまって、自ら漢方治療を希望する患者様も急速に増えてきています。
そのような方を対象に当科では、患者様の体質(証)を決定した後に、最も身体にあう漢方薬を処方しています。
また、更年期障害に関わらず、月経困難、月経前緊張症(PMS)、不妊症、冷え性、肩こり、腰痛など、女性診療全てにおける漢方治療についてのご相談も随時お受けしています。

漢方外来イメージ