
不育症とは、妊娠はしますが流産や死産を繰り返し、元気な赤ちゃんを生めない方を言います。約1~3%の頻度と言われています。
富山大学産科婦人科の齋藤 滋教授は、これまで日本産科婦人科学会で小委員長を務め、不育症の検査法、治療成績をまとめてきました。また、日本生殖免疫学会でも委員長となりスクリーニング法を確立してきました。
そのことが認められ、2008年度から厚生労働省の研究班の委員長となり、全国の不育症の研究をまとめています。
不育症は正しい検査をして、その上で正しい治療を行なえば80%以上の方が元気な赤ちゃんを持つことができています。ただし、専門医が少ないので是非とも専門医の受診をお勧めします。富山大学へは北陸地区から多くの患者さんが集まっています。
当科では、0期のがん(上皮内がん)に対して低侵襲かつ確実な円錐切除術のみを行い、子宮を取らずに十分治療できることを立証しています。
またⅠb期からⅡb期までは広汎子宮全摘術を2名の婦人科腫瘍専門医(齋藤教授、日高准教授)が行っています。進行頚がんに対しては積極的に動注癌化学療法を行い、手術不能症例に対して手術可能にする治療を行っています。
放射線療法として、コンピュータで腫瘍を3次元で摘出し、腫瘍部だけを放射線照射する定位放射線治療や、腫瘍組織内に照射する組織内照射ならびに子宮膣内照射を富山県内で唯一行っています。
卵巣がんの治療成績は、化学療法の感受性ならびに手術療法の手技により異なります。当科では外科の協力を得て出来る限り腫瘍を摘出する積極的治療を基本とし、抗癌剤による補助治療も常に最新の治療方針を導入しています。
当科においてはがんは救急疾患として捉え、1日でも早く手術や放射線治療を行なえるよう全スタッフが懸命に手術室と交渉したり、CTやMRIなどの検査がスムーズにできるように努力しています。
当科では、子宮内膜症に対しては、KTPレーザーメスを用いて腹腔鏡下手術を積極的に行っています。このメスを用いて病巣部を徹底的に取り除くことができるようになりました。
腹腔鏡下手術で子宮内膜症の病巣を徹底的に取り除くことで、術後には月経痛や性交痛などが著明に軽減され、また、不妊症の患者様でも妊娠率が向上しています。
子宮筋腫の治療には大きく分けて、子宮筋腫を小さくする薬物療法と、子宮筋腫を取り除く手術療法があります。
薬物療法で使われる月経を止めてしまう薬は副作用があるため、使用できる人は限られています。
当科では患者さんと話し合った上で、腹腔鏡下手術も積極的に行っています。
従来、開腹による卵管摘出術が多く行われてきました。
当科では、できるだけ腹腔鏡下に卵管線状切開内容除去術(子宮外妊娠を起こした卵管に切開を加え、術後の妊娠を希望する患者には適している方法)を行っています。
当科では婦人科がんによる手術や放射線治療の影響として起こる、「下肢リンパ浮腫」に対して、予防・ケアを目的としたリンパ浮腫外来を開設しています。
当科の診察は、医師とがん専門看護師の二人体制で行っています。
まず、下肢の診察、計測、必要に応じ血液検査などを行い、浮腫の状態に応じて、弾性包帯・弾性ストッキングの装着・指導・処方や、専門看護師によるリンパドレナージを行っています。
更年期障害に対する治療は、これまでホルモン補充療法が中心となってきました。しかし、ホルモン補充療法のみでは効果が不十分であったり、その副作用でホルモン補充療法を 継続できない方もおられます。
最近では、米国国立衛生研究所のホルモン補充療法に関する臨床試験中止報告を、マスコミがセンセーショナルに報道したこととあいまって、自ら漢方治療を希望する患者様も急速に増えてきています。
そのような方を対象に当科では、患者様の体質(証)を決定した後に、最も身体にあう漢方薬を処方しています。
また、更年期障害に関わらず、月経困難、月経前緊張症(PMS)、不妊症、冷え性、肩こり、腰痛など、女性診療全てにおける漢方治療についてのご相談も随時お受けしています。