診療・研究グループ紹介

診療・研究グループ紹介

胆膵グループ



グループの紹介

2018年10月より膵臓・胆道センターが開設し、近隣はもとより遠方からも多数のご紹介を頂いております。

また膵臓・胆道サテライトセンターを済生会富山病院と糸魚川総合病院に設置することで、対象となる肝胆膵疾患の患者さんに対して精密な検査と素早い治療が可能となりました。 Cancer BoardではOn lineによる活発な議論を行なっており、紹介数の増加にかかわらず診療の質も担保できるように努めています。



グループメンバー

安田 一朗(内科学(第三) 教授)
林  伸彦(内科学(第三) 助教)
圓谷 俊貴(富山大学大学院・病院特別助教)
荻野 万里(富山大学大学院 医員)
阪本 洵 (附属病院 第三内科 医員)
川中 滉貴(富山大学大学院 医員)




研究内容

・膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)の水平方向進展度診断における経口膵管鏡(POPS)の診断能と安全性に関する後方視的観察研究

・胆道鏡所見に基づく胆管狭窄の良悪性鑑別のための機械学習

・膵癌の糖尿病合併に関する多施設共同後ろ向き疫学研究

・膵癌術前胆道ドレナージにおける金属ステントの有用性と安全性に関する多施設共同無作為化比較試験

・Low axial force設計Dumbbell head型SEMS(Self-expandable metallic stent)を用いた非切除膵頭部癌による胆道狭窄に対する金属ステント(fully covered vs uncovered)の有用性に関する多施設共同無作為化比較試験(HILZO study)

・膵癌の網羅的がん遺伝子解析における超音波内視鏡下穿刺吸引針生検の検体採取の実態調査研究

・膵腫瘍に対する超音波内視鏡下穿刺吸引生検(EUS-FNA)後の穿刺経路腫瘍播種(Needle tract seeding)の二次調査





肝臓グループ



グループの紹介

 肝臓部門では近年スタッフ数は減少しておりますが、1例1例を大切に、少数精鋭で富山県内トップクラスの肝疾患診療を行っております。 臨床で生じるclinical questionについては関連病院を含めたネットワークを使って臨床研究を実施し、学会発表・論文発表を行っております。 また臨床の未解明の疑問については、科研費などの研究資金も獲得し、基礎研究も続けております。



グループメンバー

峯村 正実(地域医療総合支援学講座 客員教授)
田尻 和人(内科学(第三) 准教授)
林  有花(附属病院 第三内科 病院特別助教)
村石  望(附属病院 第三内科 医員)
村山 愛子(富山大学大学院 病院特別助教)



現在進行中の研究課題

・肝がんの治療データベースの構築と治療法の検討

・慢性肝疾患の治療データベースの構築

・HBV感染患者におけるHBS抗原とその免疫応答の解析

・慢性肝疾患の治療データベースの構築(多施設共同研究)

・切除不能肝細胞癌に対する全身化学療法の治療効果の検討(多施設共同研究)

・肝硬変患者腹水中の菌体成分・免疫細胞の解析



最近の獲得研究費

2009-2010 肝炎ウイルスに対するモノクローナル抗体が認識するエピト-プと中和能の検討(代表) 科研費 若手B

2010   細胞チップシステムを用いた薬物性肝障害の病態解析と新規診断法の開発(代表) 富山第一銀行奨学財団

2010-2012 C型肝炎ウイルスにより誘導されるBリンパ球の抗原特異性の解析(代表) 武田科学振興財団

2013-2017 B型肝炎創薬実用化等研究事業(分担) 厚生労働省科学研究費補助金

2017-2019 新規高感度システムを用いたHBs抗原とその免疫応答の解析(代表) 科研費 基盤C

2020-2023 Tm mapping法による肝硬変腹水中の細菌の同定・定量と自然免疫応答の解析 科研費 基盤C

2024-  Large-HBs抗原解析によるB型肝炎ウイルス感染症の病態解明と新規バイオマーカーの開発



Pubmed掲載英文論文

2024年 代表2本、分担7本、症例報告2本
2023年 代表2本、分担17本、症例報告2本
2022年 代表2本、分担12本
2021年 分担11本、症例報告5 本
2020年 代表1本 分担5本 症例報告2本
2019年 代表1本 分担7本 症例報告2本





炎症性腸疾患グループ



グループの紹介

 炎症性腸疾患グループでは、近年治療の進歩が目覚ましい炎症性腸疾患の診療を担当しています。IBD診療ではメサラジン製剤、ステロイドの他、免疫調節薬・抑制薬や抗TNF-α抗体製剤、抗IL-12/23 p40抗体製剤、抗α4β7インテグリン抗体製剤、JAK阻害剤や血球成分除去療法など様々な治療法があり、患者さんにあった治療法を提供を行っています。



グループメンバー

渡辺 憲治(炎症性腸疾患内科 特命教授)
高嶋 祐介(富山大学大学院 医員)
高橋 冴子(附属病院 第三内科 医員)



臨床研究の取り組み

・クローン病におけるカプセル内視鏡検査の有用性・安全性に関する多施設共同前向き研究(SPREAD-J)

・潰瘍性大腸炎における発症年齢とステロイド大量静注療法の効果との関連

・潰瘍性大腸炎治療例の予後−QOLの観点から−多施設共同前向き研究

・潰瘍性大腸炎患者における白血球数を指標とした免疫調節薬投与と治療効果の検討

・チオプリン製剤服用中の患者の妊娠・出産の安全性と児のNUDT15遺伝子多型との関連解析

・生殖可能年齢にある自己免疫性疾患罹患女性の妊娠・出産動向と、妊娠前カウンセリングの有用性についての調査

・家族性地中海熱遺伝子関連腸炎の診断法確立

・潰瘍性大腸炎患者における抗TNF-α抗体薬中止時の免疫調節薬併用の再燃率の検討(参加予定)






消化管グループ



グループの紹介

 消化管グループでは、内視鏡治療を中心を中心とした、消化管疾患全般を担当しています。特に、食道・胃・大腸の早期癌に対してESD/EMRを行っています。県内外から治療困難な症例の紹介が多く、積極的に治療に取り組んでいます。また当院耳鼻科と合同で、表在型咽頭腫瘍に対するELPSも行っています。
 最近では、内視鏡システムに搭載しリアルタイムに動作可能な、内視鏡治療・検査を支援する人工知能(AI)を開発・自作しています。



グループメンバー

藤浪  斗(附属病院 光学医療診療部 准教授)
島田清太郎(附属病院 第三内科 助教)
高橋 直希(附属病院 第三内科 医員)



臨床研究の取り組み

・急性下部消化管出血患者のクリニカルアウトカムの実態とその関連因子の解明:多施設共同後ろ向き研究

・内視鏡検査施行時の鎮静剤使用に関する安全性の調査

・Post-ESD coagulationの標準化に向けた止血支援AIの内視鏡介入に関する検討

・食道 ESD/EMR における偶発症に関する全国調査

・原因不明消化管出血の原因探索

・表在型食道癌に対するアルゴンプラズマ凝固法の有用性についての検討

・十二指腸有茎性病変に対する内視鏡治療の有効性についての検討

・胃内視鏡的粘膜下層剥離術におけるS-Oクリップ牽引法の有効性についての検討



AI開発

 私たちは独自のAI開発環境を構築し、世の中にないオリジナルの内視鏡AI開発に取り組んでいます。内視鏡分野において、AI搭載が標準化されつつあります。現在市販されている内視鏡AIは内視鏡検査を支援し、病変の拾い上げ(発見)と病変の質的診断(組織型、良悪判定)が主流になっています。一方で「こういうAIがあれば良いのに…」というアイデアが日常診療の中から生まれることがあります。AIの開発には時間と資金がかかるためちょっとしたアイデアを試すことが困難でした。そこで当院では、AI開発環境を構築し、画像認識・物体検知・トラッキング・AIの可視化技術を自家開発することができるスタッフとともに、これまでに様々なAI開発に取り組み、学会・論文で発表してきました。 (詳しくはこちら)


・胃内視鏡検査 Blind spot監視AI

・機能性消化管疾患(FD,IBS)のAI診断 (三原,田畑ら.PLOS Digit Health. 2023 Feb 17;2(2):e0000058.)

・Post-ESD coagulation標準化のための止血ナビゲーションAI (藤浪、倉石ら.Endosc Int Open 2024; 12(04): E520-E525)

・内視鏡仮想スケールAI (特許出願中)

・機能性消化管疾患(GERD)のAI診断(共同研究)



国際学会・国内主題演題発表(2022-2024)

・第18回 日本消化管学会学術集会 パネルディスカッション [内視鏡治療関連]

・第118回 消化器内視鏡学会北陸支部例会 パネルディスカッション [内視鏡治療関連]

・JDDW2022 消化器病学会総会 パネルディスカッション [機能性疾患関連]

・第105回 消化器内視鏡学会総会 パネルディスカッション [AI関連]

・APDW2023 (Bangkok) -Oral presentation- [AI関連]

・第120回 消化器内視鏡学会北陸支部例会 パネルディスカッション [内視鏡治療関連]

・第107回 消化器内視鏡学会総会 ワークショップ [AI関連]

・JDDW2024 消化器内視鏡学会総会 シンポジウム [内視鏡治療関連]

・ENDO2024 (Seoul) -Poster presentation- [AI関連]

・第86回 胃癌学会総会 シンポジウム [AI関連]

・第123回 消化器内視鏡学会北陸支部例会 パネルディスカッション [AI関連]

・第34回 臨床工学会 =BPA奨励賞受賞= [AI関連]





消化器腫瘍グループ



グループの紹介

 消化器悪性腫瘍の診断と薬物療法を中心とした、がんの診断と研究を行っています。進行期のがんは未だ予後不良なものが多く、日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)、西日本がん研究機構(WJOG)、北海道消化器癌化学療法研究会(HGCSG)などに所属し、グループで行われる臨床試験や治験を通して新規治療の開発に携わっています。また、臨床上の問題点は、当施設及び関連施設と協力して臨床研究を立ち上げ、得られた知見を国内外の学会発表や論文作成を通して発信しながら、知識・技術・経験の均てん化に取り組んでいます。最新の医療を実践するため、がん薬物療法専門医の取得はもちろん、High volume centerへの留学や基礎研究等を積極的に進めています。また、遺伝子診療部と連携しながら、消化器がんに関連する遺伝性腫瘍の診療にも力を入れています。



グループメンバー

安藤 孝将(附属病院 第三内科 講師)
梶浦 新也(腫瘍内科・緩和ケア内科 講師)
元尾 伊織(内科学(第三) 助教)
植田 優子(附属病院 第三内科 病院助教)
長田 巧平(附属病院 第三内科 病院助教)
作村 美穂(富山大学大学院 医員)
中山 優吏佳(富山大学大学院 病院特別助教)



臨床研究の取り組み

 各がん腫に対する前向き臨床研究・治験の詳細はこちらを参照ください。以下に現在登録中の代表的な多施設共同前向き研究を示します (2024年4月時点、治験以外)。


・進行頸部食道扁平上皮癌患者に対してDCFとIMRTを同時併用する根治的化学放射線療法の第Ⅱ相試験

・通過障害を有する食道癌に対するチェックポイント阻害剤併用薬物療法に関する多施設共同前向き観察研究

・進行・再発HER2陽性胃がん患者を対象とした三次治療におけるトラスツズマブデルクステカンの有効性の評価、及び一次治療後のバイオマーカーを探索的に検討する多施設共同前向きコホート研究(EN-MARK)

・切除不能進行再発胃腺癌もしくは食道胃接合部腺癌に対する3 次治療以降のFTD/TPI+RAM併用療法とFTD/TPI 単剤療法のランダム化第II 相比較試験(WJOG15822G)

・高度腹水を伴うまたは経口摂取不能の腹膜転移を有する胃癌に対するmFOLFOX6+ニボルマブ療法の第II相試験(WJOG16322G)

・70歳以上 HER2陽性の治癒切除不能な進行・再発胃癌患者を対象としたトラスツズマブ デルクステカンの多機関共同観察研究(EN-COURAGE)

・根治的外科治療可能の結腸・直腸癌を対象としたレジストリ研究 GALAXY trial

・切除不能または再発胆道癌を対象としたゲムシタビン/シスプラチン/S-1(GCS)療法と ゲムシタビン/シスプラチン/免疫チェックポイント阻害薬療法のランダム化比較第 III 相試験(YOTSUBA試験)

・家族性膵癌家系または遺伝性腫瘍症候群に対する早期膵癌発見を目指したサーベイランス方法の確立に関する試験(DIAMOND試験)




基礎研究の取り組み

 消化管の基礎研究グループとしてはこれまでの消化器腫瘍・発がん過程におけるエピジェネティック研究、消化管生理の研究を継続しつつ、トランスレーショナルリサーチとして、口腔内細菌叢の解析、膵癌の便プロテオーム解析の研究を行っています。


・胃粘膜DNAメチル化レベルを用いた胃がん発生高危険度群の捕捉に関する前向きコホート研究(AMED)

・5-FUに起因する口内炎の原因となりうる口腔内細菌叢の解析

・便プロテオーム解析に注目した膵癌のバイオマーカの探索研究