第3内科同門会
今年も同門会総会の季節となりました。同門会の先生方におかれましては、ますますご
健勝のことと拝察いたします。
新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類感染症となって以来、社会生活の制限が大きく緩和されましたが、それに伴って第9波と思われる患者さんの増加
が見られており、先生方の診療にも大きな負担となっていることと思います。その一方、私の診療所の患者さんを診る限りにおいては、重症化する患者さんは減りつつあり、インフ
ルエンザと同様に、「時に罹ってしまう、少し重い風邪」のような認識の中に、日常生活に溶け込んでいくのかもしれません。
さて、昨年から今年にかけて同門会にとりましても様々なできごとがありましたが、特に同門の先生方にお知らせしたいことを記載いたします。
2022年10月より、同門会顧問で富山大学内科学第三講座教授の安田一朗先生が、日本胆道学会の第6 代目の理事長に就任なさいました。同門の先生が、全国規模の学
会の理事長に就任されることは、同門会員一同にとっても大変名誉なことであり、安田先生の益々のご活躍を応援してまいりたいと思っております。
本年3 月18 日から19 日にかけて開催された「日本臨床倫理学会 第10回年次大会」の会長を、同門会の前会長でいらっしゃった南砺市民病院院長の清水幸裕先生がお勤
めになられました。私も初めて日本臨床倫理学会に参加させていただきましたが、大変多くの参加者が活発に議論されていたことが強く印象に残り、大会は大成功であったと認識しております。
本年4 月に、炎症性腸疾患内科教授として、この分野のエキスパートである渡辺憲治先生をお迎えすることができました。富山県のみならず北陸全体の炎症性腸疾患の診療にリーダーシップを発揮していただき、
また最新の知見を富山から世界に発信していただきたいと思っております。
ここ3年間、新型コロナウイルス感染症対策に多くの労力が割かれ、多額の財政出動がなされました。感染対策の効果についても様々な検証が進んでいるようですが、厚生労働省が発表する令和4年度の簡易生命表を
見ますと、令和4年の平均寿命の令和3 年との差に対する死因別寄与年数は、新型コロナウィルス感染症において、男性で0.12年、女性で0.13年の減少にとどまっているようです。
欧米各国と比べても、新型コロナウイルス感染症による平均寿命の減少はわずかでした。日本人の国民性もあるのでしょうが、多くの医療人の努力も貢献していると感じています。
一方今年に入ってから3 年間先送りされてきた医療政策が、一気に進められているようにも感じます。先生方も、働き方改革、感染症法の改正、インボイス制度などの難解な問
題に直面しておられることと思います。また電気代などの物価が高騰する中、現在の診療報酬制度では、医療従事者の賃金が上昇することは、なかなか難しいかもしれません。
去年から始まったウクライナにおける戦争状態は全く解決に至る道筋は見えず、水害等による自然災害は日本や世界の各地で頻繁に起きています。富山でも7 月12 日に線
状降水帯が発生しました。一晩で雨はやんだものの、築55 年の小院でも、ひどい雨漏りが発生してしまいました。この原稿を書いている9 月に入ってからも、モロッコで地震が起
こり、リビアでも大規模な洪水が起きて多くの犠牲者が出ているようです。しかしこれまでの地球上の歴史は、多くの天変地異と紛争と疫病の積み重ねのようにも思われます。
予測不能の困難な事態に同門会としても何ができるか?予算規模の小さな組織ですので資金の援助などは難しいと思われますが、たとえば、各医療機関に多少なりとも役に立つ情報を提供することなどは考慮できるかもしれません。
同門会の会則には、その目的として「会員相互の親睦を図り、あわせて医学、医療の向上、進展に寄与すること」とあります。会則に示された目的に向かって運営してまいりたいと思います。
同門会の先生方の、ますますのご指導・ご鞭撻をよろしくお願いいたします。
令和 5年 11月 11日
同門会会長 土田 敏博